ビールとおつまみのセット販売は軽減税率の対象になる?

ビール

ビールに枝豆、または、ビールにピーナッツ、この組み合わせがたまらないという方も多いですよね。
お店によっては、ビールと枝豆やピーナッツなどのおつまみをセットで値引き販売しているところもあります。

ところで、ビールはお酒、枝豆とピーナッツは食品ですが、これらをセットで購入したら軽減税率の対象になるのでしょうか?
毎日飲まれる方は気になるところ、詳しく解説します。

1.食品は軽減税率の対象、お酒は対象外

1-1.飲食料品は軽減税率8%

まず、軽減税率8%の対象となるのは飲食料品です。飲食料品とは、食品表示法で定められている「食品」を指します。
食品衛生法に規定する「添加物」も含まれますが、「医薬品」「医薬部外品」「再生医療等製品」は除かれます。

つまり、枝豆やピーナッツなどのおつまみ、その他すべての食品は軽減税率の対象となります。

1-2.酒類は対象外

上記の「食品」には、ビールやワインなどのお酒類は含まれません。

正確にいいますと、「酒類」とは酒税法で定められている、アルコール分1度以上の飲料のことです。

ということで、通常のビールは軽減税率の対象になりませんが、ノンアルコールビールであれば対象になります。

2.セット販売は軽減税率の対象になるか?

2-1.一体資産

一体資産」あまり聞きなれない言葉ですが、セット販売で軽減税率の対象となるものは、「一体資産」として定められています。

食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているものに限る。)
改正法附則34①、改正令付則2

簡単に要約しますと、食品と食品以外のものをセットで販売していて、セット販売価格しかなく、それぞれ分けて販売はしていないものをさします。

たとえば、おもちゃとクッキーのセットで税別1,000円、分けて販売はしていませんという場合はOKです。

2-2.軽減税率の対象になる条件

次に、すべての「一体資産」が軽減税率の対象になるのではなく、次の2つの条件があります。

  1. 税抜価格で1万円以下であること
  2. 全体価格のうち食品の価格の占める割合を合理的に計算した結果、3分の2以上であること

たとえば、すでにあげた、おもちゃとクッキーのセット税別1,000円の例でいえば、内訳を計算したら、おもちゃが300円、クッキーが700円であれば、食品であるクッキーの価格の割合が70%と全体の3分の2以上ですので条件を満たしています。

2-3.通常、ビールとおつまみのセットは一体資産にならない

さて、本題ですが、ビールとおつまみのセット販売については、残念ながら、一般的には一体資産にならないと考えられます。

なぜなら、たいていビールもおつまみも別々に単品として販売しているからです。ビールとおつまみのセットでしか販売しませんというお店はあまり聞いたことがありません。

では、ビールとおつまみをセットで購入したら全部税率10%になってしまうのでしょうか?
そこは、そうなりませんので、ご安心ください。

ビールは酒類であり税率10%ですが、おつまみは食品ですので軽減税率8%となります。

2-4.セットで値引き販売の場合の計算は?

値引き前のもともとの価格の割合で、値引き後の価格を按分して、それぞれの価格を計算し税率をかけます。

仮に、税抜価格でビールが300円、おつまみの枝豆が200円、合計して500円のところ、50円割引して450円で販売していた場合は、次のように計算します。

・ビールの割合:300円÷500円=0.6
・枝豆の割合 :200円÷500円=0.4

・値引き後のビールの価格:450円×0.6=270円
・値引き後の枝豆の価格 :450円×0.4=180円

・ビールの税率:270円×10%=27円
・枝豆の税率 :180円× 8%=14.4円≒14円

合計(税込):270円+27円+180円+14円=491円

2つの税率が絡むとかなりややこしくなりますね。

3.一体資産であり、かつ、1万円以下で食品の割合が3分の2以上なら対象

ビールと枝豆では難しそうですが、たとえば、ワイン(5000円相当と仮定)と、燻製の高級肉(10000円相当と仮定)がセットで価格10,000円(税別)で販売されていて、それぞれ単品では販売されていなかったどうでしょうか。

一体資産であり、かつ、2-2.「軽減税率の対象になる条件」であげた2つの条件を満たしますので、軽減税率の対象となります。

贈り物用のギフトセットでは、上記のような商品もよくありますので、有効に活用すると良いでしょう。

まとめ

ビールとおつまみは、通常、単品で販売されていますので、一体資産にはなりません。

ビールは酒類のため軽減税率の対象ではありませんが、おつまみは食品であり軽減税率の対象になります。

ビールとおつまみで税率が分かれるということです。
レシートにもそれぞれの税率毎に記載されます。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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