【2027年~】新給付金「就業者負担軽減支援金」対象者・金額・いつ?いくら?
政府は、2026年9月15日、食料品の消費税減税と、新たな給付金制度「就業者負担軽減支援金」について、税制改正大綱を閣議決定しました。
給付額が6つのパターンに分かれ、また、毎年、給付額や給付時期が変わるなど、非常に複雑です。
現状でわかっている範囲で、最新情報をお伝えします。
目次
1.給付金の対象者・金額6パターン
(1)対象者
今回の給付金の正式名称は、「就業者負担軽減支援金」です。つまり、働いている人の負担を減らすことを目的としています。
給与所得者、個人事業主
会社員、公務員、パート、アルバイトなど、給与をもらって働いている人が対象です。
個人事業主、自営業、フリーランスなどは、就労とみなせる水準の所得がある場合に対象になります。
その水準がいくらかは決まっていませんが、おそらく、パートやアルバイトをしている人の給料を想定し、だいたい、収入が50万円から100万円程度の、範囲になるのではないかと思われます。
なお、会社員で副業をしている人の場合、20万円以下の所得は確定申告不要ですので、申告した人としない人で、差がでる可能性もあります。
年金受給者
年金受給者については、基本的には、対象になりません。
ただし、働いていて、現役世代と同じくらいの税金と社会保険料を、負担している人は対象になります。
具体的には、税金と社会保険料の負担額から、公的年金収入を引いた、純負担が、基準額を超える場合とされています。
基準額は決まっていませんが、現役世代が通常負担する、税金と社会保険料の水準とされています。
たとえば、年収200万円の給与所得者の、税金と社会保険料の負担は、約30万円です。
基礎年金だけ、満額の約85万円をもらっている人の場合、この基準を満たすには、税金と社会保険料の合計が、115万円以上である必要があります。
これを、給与所得者の年収に換算すると、だいたい年収600万円くらいです。かなり厳しい水準であることがわかります。
現時点では、年金受給者は、ほぼもらえないと考えたほうが良いでしょう。
大家
また、不動産所得だけの、大家さんも対象外です。今回は、勤労所得がある人が対象ですので、不労所得は対象になりません。
(2)金額6パターン
給付額は、年収などに応じて、6つのパターンがあります。

パターン1:定額
1つ目は、定額をもらうパターンです。年収、または所得の下限を超えた場合にもらえます。
年収の下限については、3種類の案が出ています。
- 年収106万円(所得32万円):社会保険加入
- 年収74万円 (所得0):給与所得0
- 年収53万円:雇用保険適用
このパターンの年収の上限は、住民税非課税ラインとなる、119万円です。
ちなみに、住民税非課税の年収のラインは、地域によって少し違います。
| 区分 | 住民税非課税の給与収入 | 市区町村の例 |
|---|---|---|
| 1級地 | 119万円 | 東京都23区、大阪市、札幌市など |
| 2級地 | 115.5万円(116万円※) | 伊勢原市、奈良市、那覇市など |
| 3級地 | 112万円 | 秩父市、阪南市、栃木市など |
※1万円未満を四捨五入して116万円としている自治体もあります。
地域によって、もらえる金額が変わるのかどうかは、政府の資料にも記載されておらず不明です。
パターン2:給付額が逓増
2つ目は、年収が増えるほど、給付額も増えていくパターンです。
年収が多い人ほど、たくさんもらえることに、違和感を感じるかもしれません。これは、就業促進の観点から、たくさん働く人ほど、多くもらえるようにしているからです。
パターン5:「年収の壁」加算
ここで先に、5つ目のパターンを紹介しますが、社会保険の年収の壁、106万円の壁と、130万円の壁による影響をなくすために、一定金額を加算します。
従業員数51人以上の会社で、パートで働く人は、週の勤務時間が20時間以上になると、社会保険に加入する必要があり、社会保険料の負担が発生します。
最低賃金で働く場合、社会保険に加入する時点での年収は、約106万円ですが、手取りが、約16万円、一気にダウンします。

そこで、最大16万円、加算される可能性があります。これは、今までに類を見ない、大きな金額です。
また、もう一つの年収の壁ですが、たとえば、パートの妻が、夫の社会保険の扶養から外れると、国民健康保険と国民年金に加入することになり、非常に高い保険料の負担が発生します。
夫の年収が500万円、妻の時給が1,298円のケースでは、妻の年収が130万円以上になると、世帯の手取りが、26万円くらい一気にダウンします。

元の手取りに回復するのは、妻の年収が、だいたい165万円のときです。
そこで、手取りが回復する年収まで、給付額を加算します。なお、政府の資料には、160万円という目安が記載されていました。
パターン3:基本額
3つ目は、基本額をもらうパターンです。一番基本的なパターンになると思われます。
下限は、パターン2で説明した、約160万円ですが、上限は今のところ不明です。
パターン4:給付額が逓減
4つ目は、年収が増えるほど、逆に、給付額が減っていくパターンです。
今までの給付金のように、ある年収を超えるとゼロになるのではなく、少しずつ減らすことによって、新たな年収の壁ができるのを防ぎます。
給付額が減り始める年収と、給付額がゼロになる年収は、これからの検討です。政府の資料には、恒久財源の確保、諸外国との国際比較、支給対象者の割合、などを考慮して定めると記載されています。
日本総研によれば、日本の平均世帯年収は540万円とされています。
また、国税庁の2024年のデータによると、平均給与は478万円です。
諸外国では、平均年収の50%前後までが給付対象です。これを参考にする場合、上限額は、次の表のようになります。
| 平均年収 | 上限額 (平均の50%) |
|---|---|
| 540万円 | 270万円 |
| 478万円 | 239万円 |
あくまでも予想ですが、給付金の対象者の上限は、270万円、または239万円、そして、給付金が減り始める年収は、200万円から220万円くらいになるかもしれません。
パターン6:子ども加算
6つ目は、子ども加算です。19歳未満の子どもを扶養している場合、その人数分が加算されます。
ただし、2027年と2028年は、16歳未満の子どもを扶養している場合になります。
その他の事項
その他としては、2029年以降、高所得の配偶者がいると対象外になります。高所得がいくらかになるかは、これから検討です。
2.給付金はいつ?いくら?もらえる
(1)給付時期

2027年度と2028年度は、消費税の税率をゼロにできなかったことによる、残り1%分の先行給付として、それぞれ、秋ごろに給付される予定です。
2029年度は、2回に分けて給付される予定です。2029年4月に、消費税を1%から8%に戻すため、その負担軽減として、4月に給付されます。
この4月の給付は、2028年度の、給付金をもらう資格がある人に対して、2029年度の半年分が給付されます。
そして、秋ごろの給付は、2029年度の、給付金をもらう資格がある人に対して、残りの半年分が給付されます。
2030年度以降は、毎年、秋ごろに、その年の受給資格者に対して、1年分が給付される予定です。
(2)具体的な給付額
給付額については、財源をいくら確保できるかと、対象者の人数が、ポイントになるのではないかと思います。
そこで、年収の壁の加算と、子ども加算を除いて、給付額を独自で試算してみました。
2027年・2028年
まず、2027年度と2028年度の財源は、消費税1%分の6,000億円です。それほど多い金額ではありません。
そこで、年収の下限が100万円、上限が270万円と想定しました。
国税庁の2024年のデータを参考にすると、年収100万円から、年収270万円までの、給与所得者の人数は、約1210万人です。
また、事業所得がある人のうち、同じ所得に該当する人数を抽出すると、約140万人です。
対象者は合わせて、1,350万人です。
すると、1人当たりの給付額は、約4.4万円です。
年収によって金額が違いますので、仮に、低い金額と高い金額で3倍の差があるとして、それぞれの人数の割合であん分すると、低い金額で約2.4万円、高い金額で約7.2万円になります。

2029年以降
2029度以降の財源は、どう確保するのかまったく不明ですが、仮に、所得税などを増税したとして、1.8兆円の財源を確保できたとします。
上限の年収を540万円にして、さきほどと同様の方法で、対象者の人数を割り出すと、3,620万人です。すると、1人当たりの金額は、約5万円です。
さきほどと同様に計算すると、低い金額で約2万円、高い金額で約6万円になります。

さらに増税して、5兆円の財源を確保できたとすると、1人当たりの給付額は、約13.8万円です。
そして、低い金額は約5.4万円、高い金額は約16.2万円になります。

給付額の独自試算のまとめ
ここまで紹介した試算をまとめてみました。対象者の人数、1人分の給付額の是非については、いろいろな意見があると思いますが、今後、政府が検討していく予定です。
| 年度 | 財源 | 総額 | 対象者の 人数 |
1人分の 給付額 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年度 2028年度 |
消費税1%分 | 6,000億円 | 1,350万人 | 約4.4万円 (低2.4万円・高7.2万円) |
| 2029年度 以降 |
所得税など増税 | 1.8兆円 | 3,620万人 | 約5万円 (低2万円・高6万円) |
| 所得税など さらに増税 |
5兆円 | 3,620万人 | 約13.8万円 (低5.4万円・高16.2万円) |
3.給付金の受け取り方
公金受取口座を登録している人は、申請をしなくても、市区町村から自動的に振り込まれる予定です。
ただ、口座登録をしている人は、現時点で約5割です。
まだ登録していない人は、2027年の給付時期までに、公金受取口座の登録をすれば、自動的に振り込まれます。
公金受取口座を登録しない人は、申請が必要になります。
今回の給付金制度は、国民全員に公金受取口座を登録させたい、という政府の思惑も絡んでいます。
4.対象から外れる人への支援
新たな給付金制度は、基本的に、働いていて収入がある人が対象です。そのため、こちらのように、生活が苦しいにもかかわらず、対象から外れてしまう人がいます。
- 年収53万円~106万円以下の低所得者
- 病気・障害などで働けない人
- 年金受給者で働いていない人
低所得者、病気・障害などで働けない人については、2028年度までに結論を出し、2029年度から支援をするとしています。
また、年金受給者で働いていない人については、次の年金法改正が予定されている、2030年までに結論を出すとしています。
しかし、現在、物価高で苦しんでいる人たちを、4年間も置き去りにしても良いのでしょうか?もしかすると、政府は、いよいよ高齢者を切り捨てようとしているのかもしれません。
一方で、預金の利息、株式の配当などで、申告不要のものは所得に含まれません。金融所得が多い富裕層は、自分が経営している会社から、役員報酬を少しだけ受け取れば、給付金をもらえます。
これは問題視されており、政府は検討するとしていますが、特に期限は示されておらず、後回しになっている感じです。
5.給付金の課題点
新たな給付金制度の恒久的な財源については、具体的に示されておらず、国会議員や国民から、不安の声があがっています。
国民からお金をとったうえで、お金を配る仕組みであり、非効率ですので、「最初から困っている人の減税をしたらどうか」、という意見もあります。
また、消費税減税について、高市首相は、「2年後に必ず8%に戻します」と言及していますが、「7%増税になるので、本当に戻せるのか」、という不安の声もあがっています。
私が運営しているYouTubeチャンネル「ZEIMO」で、視聴者の皆様にアンケートをとったところ、給付金に賛成する人は少なく、逆に、「給付金はいらないから、恒久的に減税して欲しい」という意見が最も多いです(9月17日時点)。

アンケートは引き続き実施していますので、ぜひご意見をお寄せください。こちらのQRコードか、概要欄のURLよりアクセスできます。
今後のスケジュール
なお、今回の内容は、まだ決定ではありません。今年10月以降、臨時国会が招集され、関連法案が提出されます。
衆議院で与党が過半数を占めているため、改正法案は成立するでしょう。
それを受けて、来年4月に消費税減税が実現し、秋ごろに最初の給付が行われます。
また、政府は、給付付き税額控除を検討していて、今回の給付金は、それまでの「つなぎ」としています。2029年以降は、制度が大きく変わる可能性もあります。
同様の内容をYouTube動画でも、さらに多くの図を使って解説していますので、ご覧ください。




