教育訓練給付金の対象講座・資格やもらえる金額をわかりやすく解説
働きながら資格取得やスキルアップの勉強をするだけで給付金をもらえる制度、「教育訓練給付金」があります。
美容師・調理師などの資格はもちろんのこと、英会話、TOEIC、ITパスポート等でも給付金をもらえます。
教育訓練給付金の対象者や条件、対象講座・資格、もらえる金額、手続き方法についてわかりやすく解説します。
目次
1.教育訓練給付金(教育訓練給付制度)とは
「教育訓練給付金(教育訓練給付制度)」とは、厚生労働大臣が指定した講座を受講すると、その受講料の一部が国から給付される制度です。
対象講座は、2024年11月現在でおよそ16,000にのぼります。英会話などオンラインで受講できるものや、土日・休日に開講するものも多いため、仕事をしながらでも受講しやすいです。また、退職後1年以内の方であれば、失業中でも給付金をもらうことができます。
この給付金のいいところは、資格試験に合格しなくても、対象の講座を修了し、所定の要件を満たせば支給対象になることです。
2.教育訓練給付金の対象者
教育訓練給付金を受け取るには、初回申請時に雇用保険に1年以上加入していることが条件です(2回目以降の申請では、雇用保険に3年以上の加入が必要)。
また、一度給付を受けると、次の申請は3年以上経ってからでないと行えません。
失業中であっても、上記の雇用保険加入要件に加え、退職後1年以内であれば対象となります。
要件を整理すると、下記のすべてを満たす方が対象です。
- 在職中、または退職後1年以内の方(適用対象期間を延長している場合は最大20年以内)
- 雇用保険の加入状況
-初回申請の場合は、雇用保険に1年以上加入(専門実践教育訓練を受ける場合は2年以上)
-2回目以降の申請は、前回の受講開始日以降、雇用保険に3年以上加入 - 前回支給日から今回の受講開始日までに3年以上が経過していること
なお、パート・アルバイトや派遣労働者の方も上記条件を満たせば対象になります。
3.教育訓練給付金の種類と対象講座・もらえる金額
教育訓練給付金(教育訓練給付制度)には、教育訓練の種類に応じて3種類あります。
①一般教育訓練 | ②特定一般教育訓練 |
③専門実践教育訓練
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目的 | 一般的なスキルアップ・資格取得 | 速やかな再就職・早期のキャリア形成 |
中長期的なキャリア形成
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給付金額(※) | 受講費用の20% (最大10万円/回) |
受講費用の50% (最大25万円/年) |
受講費用の80%
(最大64万円/年) |
講座の例 | TOEIC、ITパスポート、 簿記検定など |
大型自動車免許、 介護職員初任者研修など |
美容師、調理師、
保育士、MBAなど |
※4,000円以下の場合は支給されません。
それぞれの給付金ごとに解説していきます。
4.①一般教育訓練給付金-最大10万円
一般的なスキルアップ・資格取得が目的で、一番もらいやすい給付金です。
給付金額は、受講料の20%(最大10万円)です。
対象講座
対象となる講座は幅広く、英語(TOEIC)やITパスポート、簿記検定など、一般的な資格が多くあります。
そのほかにも次のように幅広い講座が対象です。
オンライン英会話スクールや資格予備校のオンラインコースも含まれています。
講座を受講する前に、「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」を使って、事前に対象講座かどうかを確認しておきましょう。
申請方法
講座を修了したら、修了日翌日から1ヶ月以内に、住所地を担当するハローワークで給付金の申請を行います。
提出先 | ハローワーク |
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主な添付書類 | ・教育訓練給付金支給申請書 ・教育訓練修了証明書 ・領収書(クレジットカードで支払った場合はクレジット契約証明書) ・マイナンバーカード ・教育訓練経費等確認書 など |
期限 | 修了日の翌日から1ヶ月以内 |
5.②特定一般教育訓練
2019年10月に新設された制度で、基本の仕組みは一般教育訓練と同じですが、速やかな再就職や早期のキャリア形成を狙いとしています。
次章で解説する「専門実践教育訓練」と同様に、講座開始前にキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作成し、受講開始日2週間前までにハローワークで受給資格の確認を行う必要があります。
代表的な講座には大型自動車免許第一種・第二種、介護職員初任者研修などがあります。ただし、それ以外の資格については特定一般教育訓練として開講しているコースが少なく、一般的には利用機会が限られるのが現状です。
対象講座は少ないため、ここでは詳細を省略します。
6.③専門実践教育訓練-最大256万円
本格的に学び資格取得をする人のための給付金です。
美容師、調理師、看護師、保育士、MBAなど、専門性の高い資格取得のために、受講期間1年以上の「専門実践教育訓練」を利用すると、年間最大64万円の給付を受けられます(最大4年の場合は256万円まで ※1)。夜間や土日開講コースもあるため、働きながら学ぶことも可能です。
受講中は受講費用の50%(年間上限40万円)が半年ごとに申請で支払われ、修了後1年以内に資格を取得して雇用保険に加入すれば、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加給付(※2)されます。
さらに、2024年10月1日以降に受講をスタートした方が、訓練後に賃金が5%以上アップした場合、さらに10%(年間上限8万円)が上乗せされ、合計で年間64万円が支給される可能性があります。
また、10年以内に複数の専門実践教育訓練を受講しても、支給の累計額が256万円を超えることはありません。
※1 法令上4年のカリキュラムが必要な資格取得の場合の上限です。多くの場合は最長3年で192万円が上限。
※2 在職中の場合、修了後1年以内に資格を取得すれば、20%(最大16万円)が追加給付されます。
申請方法
申請方法は、やや複雑です。
専門実践教育訓練では、受講を始める前にキャリアコンサルティング(※)を受けてジョブ・カードを作成し、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格の確認が必要となります。
※ 受講開始前1年以内にキャリアコンサルティングを受けていれば、その費用を2万円を上限に受講費用に含められます。
講座を修了したら、修了日翌日から1ヶ月以内に、住所地を担当するハローワークで給付金の申請を行います。
提出先 | ハローワーク |
---|---|
主な添付書類 | ・教育訓練給付金支給申請書 ・教育訓練給付金の受給資格者証(受講開始前にハローワークで交付) ・受講証明書または専門実践教育訓練修了証明書 ・領収書(クレジットカードで支払った場合はクレジット契約証明書) ・マイナンバーカード ・教育訓練経費等確認書 など |
期限 | ハローワークから通知された支給期間の終了日から1ヶ月以内 |
7.教育訓練給付金の注意点
指定の講座だけが支給対象
教育訓練給付制度を利用するうえで押さえておきたいのは、厚生労働大臣指定の講座だけが支給対象になる点です。同じ学校やスクールでも、対象外のコースがあるので、申し込み前に必ず確認してください。
申請は対象講座1つにつき1回だけ
複数の指定講座を受講した場合でも、申請できるのは一つの講座のみとなります。一度に複数のコースについて支給を請求することはできないので、費用が最も高い講座を選んで申請するなど、計画的に利用しましょう。