2024年の国の税収は過去最高、2025年はさらに増収予定

一般会計税収 2024年

年収の壁「103万円の壁」引き上げの議論の中で、「財源が足りない」とよく言われています。はたして、本当に足りないのでしょうか?

実は、国の税収は過去最高を記録しています。

1.2024年の国の税収は過去最高、73.4兆円の予測

2024年11月29日の財務省の発表によると、2024年の国の一般会計税収は73.4兆円と過去最高の予測となりました。

一般会計税収 2024年

【出典】財務省:一般会計税収の推移

2024年は定額減税(所得税3万円、住民税1万円)を実施したため、もともと減収(69.6兆円)の予測でしたが、3.8兆円上振れして、73.4兆円の予測となりました。

賃金アップで所得税が想定以上に伸び、企業の業績が好調で法人税も想定以上に伸びたことが原因です。さらにインフレで消費税も伸びています。

2024年の一般会計税収
  当初の予測 最終予測
所得税 17.9兆円 20.1兆円
法人税 17.0兆円 18.1兆円
消費税 23.8兆円 24.3兆円

2.2025年はさらに増収で、78.4兆円の予測

賃金アップやインフレは続いており、2024年12月25日の政府予算案によると、2025年の一般会計税収はさらに5兆円も増えて78.4兆円となる予測です。

所得税は、2024年の定額減税がない分、約2.3兆円増えますが、給与所得控除の最低ライン引き上げと基礎控除10万円引き上げにより最大0.7億円減りますので、約1.6兆円増えます。

企業の業績好調で法人税が増え、インフレで消費税も増えますので、合計で5兆円も増収となるということでしょう。

▷「178万円の壁」の財源は足りている

「103万円の壁」を「178万円の壁」に引き上げた場合、所得税と住民税でそれぞれ3.8兆円、合わせて7.6兆円の財源が足りないとされています。

しかし、2024年は3.8兆円上振れしましたので、すでに所得税分の財源は足りています。

地方税収についても、2023年は約45.7兆円と過去最高を記録しています。地方消費税2.2%分がインフレで増えていること、賃金アップで住民税が増えていることが要因でしょう。

これだけでは3.8兆円には届きませんが、2025年は国の税収がさらに5兆円も増えるのですから、国から地方への地方交付税を増やせば良いでしょう。

3.消費税の伸びが一番大きい

国の一般会計税収について、1990年度と2024年度を比較すると、その内訳に大きな変化があります。

1990年度は、所得税の税収が一番多かったのに対して、2024年度は消費税の税収が一番多くなっています。

消費税の税率は1990年は3%でしたが、2024年は10%(うち国税分は7.8%)ですので、税収が増えるのは当然といえば当然でしょう。

一般会計税収 2024年

税収が増えるということは、逆をいえば、国民は負担が増えているということです。

年収の壁引き上げによる所得税・住民税の減税も大切ですが、それ以上に、消費税の減税も必要かもしれません。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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