残高不足で振替納税できないとどうなる?延滞税は?【2023年版】

口座 通帳

所得税・消費税などの税金は、振替納税(口座振替)で納付することができます。

ただ、もし、振替日に残高不足で振替納税できないと、自分で納付しなければならなくなり、延滞税もかかります。

確定申告・予定納税の振替納税の期限と、残高不足で納付できなかったときの対処方法、延滞税について解説します。

1.振替納税の期限(国税)

振替納税」とは、所得税・消費税などの国税や、自動車税・固定資産税などの地方税を、銀行口座から口座振替(口座引き落とし)で納付することができる制度です。個人だけが利用できます

地方税については、自治体により期限や振替日が異なるため、説明を省略しますが、基本的な概念は国税と同じです。

国税の場合、振替納税の振替日は、本来の納税期限より約1ヶ月前後、遅くに設定されています。

2023年(令和5年)に納税する、2022年分(令和4年分)の確定申告に対する所得税・消費税の振替日は、次のようになっています。

税金 法定納期限 振替日
所得税(+復興特別所得税) 2023年3月15日(水) 2023年4月24日(月)
消費税(+地方消費税) 2023年3月31日(金) 2023年4月27日(木)

所得税・消費税のどちらも、本来の法定納付期限を約1ヶ月過ぎてから振替されますが、延滞税はかかりません。

2.残高不足で振替納税できなかった場合

振替納税では、上記の振替日に、登録した口座に納税する分の残高が残っている必要がありますが、もし残高不足で振替納税できなかったら、どうなるでしょうか?

(1)再振替される?

クレジットカードや光熱費の場合、それぞれ扱っている企業・団体にもよりますが、たいていの場合、後日に再度、振替(再引き落とし)されます。

しかし、税金の振替納税では、再振替はされません。再振替されませんので、自分で納付の手続きが必要になってしまいます

本来は何もしなくても自動的に引き落とされる便利な「振替納税」ですが、振替日に口座が残高不足の状態ですと、逆に手間が増えてしまいます。

(2)延滞税はかかるの?

振替納税できなかった場合、その瞬間から、税金を延滞している状態になります。

しかも、振替日ではなく、本来の納付期限から延滞していることになります。つまり、

たとえば、所得税は、本来の納付期限が2023年3月15日(水)で、振替日は2023年4月24日(月)ですので、振替できなかったら、すでに40日延滞していることになります。

その延滞日数に対して、延滞税がかかります(地方税の場合「延滞金」)

国税は2ヶ月以内なら延滞税の割合が少ない

ただ、延滞しても、期間が短ければ、延滞税の割合は少ないので、早めに支払えば、まったく延滞税を支払わずにすむ可能性もあります。

所得税・消費税など国税の場合、2023年時点の延滞税の割合は、次のとおりです(毎年変わります)。

  • 納付期限から2ヶ月以内の部分:2.4%
  • 納付期限から2ヶ月超の部分:8.7%

※地方税は1ヶ月が分岐点で割合は同じ

延滞税 割合

たとえば、所得税20万円を、振替納税できなかった場合、延滞日数40日ですので、

延滞税=20万円×2.4%×40/365=526円 → 500円(100円未満切り捨て)
そして、1,000円未満の延滞税はなしになりますので、結果的に延滞金0円になります。

3.振替納税できなかったときの納付方法

振替納税できなかったら、通常の納付と同じで、自分で納付の手続きをします。

振替納税以外の納付方法として、次のような方法があります。

  1. 納付書を利用して現金で納付
  2. クレジットカード納付
  3. スマホアプリ納付
  4. QRコードによるコンビニ納付
  5. ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
  6. インターネットバンキング・ATMで納付

(1)納付書を利用して現金で納付

納付書に記入し、金融機関または税務署の窓口で、現金で納付します。納付書は、税務署または金融機関に置いてあります。

(2)クレジットカード納付

国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし、クレジットカードで納付します。納税金額1万円当たり、約83~84円(税込)程度の決済手数料がかかります

(3)スマホアプリ納付

国税スマートフォン決済専用サイト」から、スマホアプリ決済を利用して納付できます(このサイトには、スマホからのみアクセスできます)。決済手数料はかかりません。納付可能な金額の上限は30万円です。

2023年4月時点で利用可能なアプリはこちらです。

  • PayPay
  • d払い
  • au PAY
  • LINE Pay
  • メルペイ
  • Amazon Pay

(4)QRコードによるコンビニ納付

国税庁の「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」から、納付に必要な情報を入力してQRコードを作成し、コンビニで納付します。納付可能な金額の上限は30万円です。

(5)ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)

事前に「ダイレクト納付利用届出書」を提出していると、e-Tax(WEB版)から、登録している口座から口座引き落としができます。

ただ、そもそもダイレクト納付を利用している人は、e-Taxで確定申告をした後に、納付するはずですので、振替納税を利用する人は使わないでしょう。

(6)インターネットバンキング・ATMで納付

インターネットバンキングやATMで納付情報を入力することで納付可能です。

これらの納付方法について、詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

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4.予定納税も振替できなかったら、自分で納付

所得税・消費税を一定金額以上、納税した方は、年の途中で、その納税した金額の何割かを納税する必要があります(予定納税)。

  • 所得税については、予定納税基準額が15万円以上の場合、
  • 消費税については、前期の消費税額(地方消費税を除く)が40万円超の場合

が対象になります。

振替納税をしている方は、予定納税も、自動的に振替となります。

(1)所得税の予定納税

所得税の予定納税の振替日は、年2回あり、法定納期限と同じです。

  法定納期限 振替日
第1期 2023年8月1日(月) 2023年8月1日(月)
第2期 2023年11月30日(水) 2023年11月30日(水)

【出典】国税庁:主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日

(2)消費税の予定納税

消費税の予定納税の振替日は、前期の消費税額(地方消費税を除く)によって回数が異なります。

  • 48万円超400万円以下:年1回
  • 400万円超4,800万円以下:年3回
  • 4,800万円超:年11回

年1回の場合

  法定納期限 振替日
1回目 2023年8月31日(木) 2023年9月27日(水)

年3回の場合

  法定納期限 振替日
1回目 2023年5月31日(水) 2023年6月26日(月)
2回目 2023年8月31日(木) 2023年9月27日(水)
3回目 2023年11月30日(水) 2023年12月26日(火)

年11回の場合

  法定納期限 振替日
1~3回目 2023年5月31日(水) 2023年6月26日(月)
4回目 2023年6月30日(金) 2023年7月26日(水)
5回目 2023年7月31日(月) 2023年8月24日(木)
6回目 2023年8月31日(木) 2023年9月27日(水)
7回目 2023年10月2日(月) 2023年10月26日(木)
8回目 2023年10月31日(火) 2023年11月24日(金)
9回目 2023年11月30日(水) 2023年12月26日(火)
10回目 2024年1月4日(木) 2023年1月29日(月)
11回目 2024年1月31日(水) 2023年2月27日(火)

【出典】国税庁:中間申告分の納期限及び振替日について

5.振替納税についてよくある質問

振替納税できない理由はなぜですか?

振替納税できない理由として次のようなものがあります。

  1. 引き落とし日に残高が足りない
  2. 消費税は手続きをしていなかった
  3. 引っ越しをした

2.について、振替納税の依頼書には、所得税と消費税を選ぶ欄があります。所得税を選んだが、消費税を選んでないという場合は、消費税では振替納税がされません。

3.について、引っ越しをして管轄の税務署が変わると、再度、振替納税の依頼書を、引越し先の税務署に提出する必要があります。

振替納税はどのように手続きしますか?

振替納税依頼書(預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書)を、所得税・消費税それぞれの納付期限までに、税務署または口座のある金融機関に提出します。e-Taxでも依頼書を提出できます。

また、振替納税依頼書を提出する代わりに、所得税・消費税の申告書の振替継続希望欄に「○」を記載して提出することでも、手続きが可能です。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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