固定資産税の軽減措置とは?|家を建てる前に知っておきたい3つのルール
この記事では固定資産税が減額される条件、固定資産税の軽減措置についてわかりやすく解説します。[続きを読む]
固定資産税は高額になりやすく、また支払いも毎年発生するため計画的にお金を用意している方も多いと思います。ですが、年によってはどうしても支払いが難しいと感じることもあるでしょう。この記事では固定資産税を免除してもらうための条件や手続き方法について税理士の杉谷大輔さんに解説していただきます。
目次
固定資産税は、同一市町村内に同じ人が所有する土地、家屋、償却資産のそれぞれの課税標準額(税率を乗じる金額)の合計額が次の金額に満たない場合は課税されません(これらの金額を「免税点」と言います)。
課税標準額が免税点に満たない資産は、たとえば土地であれば北海道の原野、建物であれば土地に固着したかなり古い倉庫、償却資産であれば店舗用機械が考えられます。
固定資産税は土地や建物といった財産を持っている人が課税される税金ですので、納税が免除されることは原則ありません。この点について、たとえば兵庫県西宮市は次のとおり説明しています。
もっとも、災害によって資産に被害を受けた人や生活が困窮している人については、自治体によって減免措置を受けることができる場合もあります。上述した西宮市も、「生活困窮し、生活保護を受けられた方に対しては減免措置を講じる場合があります」としています。
出典:西宮市HP
なお、どういった場合に固定資産税の免除を受けることができるかは、お住まいの市町村によって異なります。たとえば、同じ大阪府でも、大阪市と堺市では次のような違いがあります。
大阪市 | 堺市 | |
---|---|---|
対象者 | 火災、震災および風水害などにより固定資産に損害を受けた人 | 家屋(住宅)について災害により被害を受けた人 |
対象資産 | 土地・建物 | 土地・建物 |
減免割合 | 損害の程度による | 損害の程度による |
大阪市 | 堺市 | |
---|---|---|
対象者 | 対象者 生活保護法の規定による生活扶助を受けている人 | ① 生活保護法の規定による生活扶助を受けている人 ② 生活扶助以外の公の扶助を受けている人及び社会福祉事業者から扶助を受けている人 |
対象資産 | 対象者が所有し、かつ、自ら使用する家屋およびその敷地 ※当該家屋の延べ面積およびその敷地面積のうちそれぞれ70平米を超えない部分に限る |
①の人が所有する資産 ②の人が所有し、かつ自ら使用する家屋及びその敷地 ※当該家屋の延べ面積およびその敷地面積のうち、家屋については50平米までの部分、敷地については100平米までの部分に限る |
減免割合 | 全額 | 全額 |
大阪市 | 堺市 | |
---|---|---|
対象者 | 次の全ての要件を満たす人 ・65歳以上の人、特別障害者の人、またはひとり親(寡婦または寡婦)の人 ・前年中の所得が住民税均等割非課税限度額以下である人 ・その家屋および敷地以外の固定資産を所有していない人 ・固定資産税および都市計画税の年税額の合計が5万円以下である人 |
対象者 次の全ての要件を満たす人 ・65歳以上の人、特別障害者の人、またはひとり親(寡婦または寡婦)の人 ・前年中の所得が住民税均等割非課税限度額以下である人 ・その家屋および敷地以外の固定資産を所有していない人 ・固定資産税および都市計画税の年税額の合計が5万円以下である人 次の全ての要件を満たす人 ・65歳以上の人、特別障害者の人、またはひとり親(寡婦または寡婦)の人 ・前年中の所得が住民税均等割非課税限度額以下である人 ・その家屋および敷地以外の固定資産を所有していない人 ・固定資産税および都市計画税の年税額の合計が5万円以下である人 |
対象資産 | 所有者居住用の延べ面積が70平方メートル以下の家屋およびその敷地 | ・所有者居住用の延べ面積が70平方メートル以下の家屋 ・上記の家屋の敷地 |
減免割合 | 半額 | 半額 |
詳細はお住まいの市町村によって異なりますが、次の場合は固定資産税の免除や軽減を受けることが可能です。
以下、それぞれの場合について、①どういった特例を利用するのかと、②何をすればいいのか(どんな書類を集め、いつまでにどんな手続きをすればいいのか)について、大阪市を例に紹介します。
生活扶助を受給している場合の特例の適用を受けることができます。
生活保護を受けるに至った日の後最初に到来する納期限までに次の書類を市税事務所へ提出します。
一定の要件を満たす特別障害者の場合の特例の適用を受けることができます。 原則6月30日までに、次の書類を市税事務所へ提出します。
新築住宅の場合の固定資産税の減額の特例の適用を受けることができます。 認定長期優良住宅の特例を受ける場合以外は、申請不要です(自動的に特例の適用を受けることができます)。
認定長期優良住宅の特例の適用を受ける場合は、新たに固定資産税が課税される年度の初日の属する年の1月31日(2021年1月2日以降に新築した場合は、2022年1月31日)までに、次の書類を市税事務所へ提出します。
新型コロナウイルス感染症に係る固定資産税軽減措置の軽減措置の適用を受けることができます。
ただし、この特例の適用を受けるための申告期限は2021年2月1日まででしたので、新型コロナウイルス感染症に罹患していたなどのやむを得ない理由によって期限までに申告できなかった場合以外は、現時点で申告を行うことはできません。
次の書類を市税事務所へ提出します。既に申告期限を過ぎているので、申告書を提出できるようになったら速やかに提出します。
【出典】
固定資産税の減免申請書
固定資産税の減免要件確認書
新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額の規定の適用に係る申告書
新型コロナウイルス感染症に係る固定資産税・都市計画税の軽減措置
固定資産税を納期限の後に納付した場合は、本来の税額に加えて延滞金を支払うのが原則です。
納付が確定した延滞金を免除してもらうことはできませんが、次の理由により固定資産税を期限までに支払うことができないときは、市町村への事前の申請によってその支払いの猶予を受けることが可能で、その猶予期間中は延滞金の支払いが免除されます。
出典:京都市HP
いかがでしたでしょうか。今回は固定資産税が免除される条件や手続きなどについてお伝えしました。
ここまでお伝えしたように、固定資産税の減免措置については自治体によって異なります。支払い猶予の相談なども受け付けてもらえる可能性があるので、支払いが苦しいと思ったらまずは自治体に相談することをおすすめします。