譲渡所得の内訳書とは?|手書き作成・ネット作成の手順を図解!
家や土地などの不動産を売却して利益が出ると「譲渡所得」として確定申告が必要です。譲渡所得の申告には様々な「特例」があ…[続きを読む]
家や株などを売った利益(譲渡所得)の申告には「確定申告書B」が必要です。さらに不動産の場合は確定申告書第三表の作成も必要になるなど、確定申告自体には慣れていても譲渡所得の申告書作成には自信がない……という方も多いのではないでしょうか。
今回は譲渡所得を得た時の確定申告書の作成方法についてお伝えします。
目次
譲渡所得がおありの方は、確定申告書の作成の前に譲渡所得の内訳書を作成しましょう。確定申告書の各記入欄には、内訳書の内容を転記するものが多いです。
内訳書を作成済みの方はお手元に用意して申告書を作成しましょう。
確定申告書にはAとBの2種類の様式がありますが、譲渡所得の申告は確定申告書Bでしか行うことができません。また、不動産の売却をされた方は確定申告書第三表も必要です。
確定申告が初めてではない方はよくご存じかと思いますが、譲渡所得に限らず確定申告書の作成には以下のような書類も必要になります。
続いて確定申告書の書き方を説明しますが、その前に、譲渡所得には「総合課税」と「分離課税」の2種類があることを頭に入れておきましょう。
総合課税は給与所得や事業所得など、その他の所得と合算して税金の計算を行います。一方分離課税は、その他の所得とは切り離して単独で税金の計算を行います。総合課税と分離課税のどちらに該当するかは、以下のように判定します。
いずれの場合も、先ほどお伝えした通り確定申告書は「確定申告書B」を使用します。
ではいよいよ確定申告書の書き方を説明していきます。まず、土地・建物、株式等の譲渡所得の申告(分離課税)の場合の確定申告書の書き方を説明します。
この場合、確定申告書第三表も必要です。
申告書上部に住所、氏名、マイナンバー、生年月日等の基本情報を記入したら、基本情報記入欄のすぐ下にある「種類」欄では「分離」に〇を記入します。
↑赤枠部分で「分離」を選んでまるをします
続いて「収入金額等」と「所得金額等」のエリアですが、分離課税の場合、譲渡所得の金額は第三表で記入するため、第一表の「総合譲渡」欄は空欄でOKです。給与所得や事業所得など、譲渡所得以外の所得がある方は該当欄を記入します。
なお「税金の計算」エリアにも記入事項があるのですが、それは第三表を作成してから記入する流れになります。したがって先に第三表の書き方を解説します。
上部に住所、氏名を記入したら以下の手順で表に記入をしていきます。
「分離課税」欄の該当する欄に、資産を売却した際の収入金額を記入します。不動産の譲渡所得の記入欄はまず「短期譲渡」と「長期譲渡」に分かれます。これは先ほど触れた通り、1月1日時点での所有期間が5年以下なら短期、5年超なら長期となります。
さらに短期譲渡は「一般分」と「軽減分」、長期譲渡はそれに加えて「特定分」に区分されます。この区分のどこに記入すべきかは以下の表を参考にしてください。
短期譲渡 | 一般分 | 軽減分以外 |
---|---|---|
軽減分 | 国や地方公共団体への譲渡 | |
長期譲渡 | 一般分 | 特定分・軽課分以外 |
特定分 | 優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡 | |
軽課分 | 所有期間が10年超の居住用建物・土地の譲渡 |
上記の区分のうち、該当する欄に「譲渡所得の内訳書」2面の「譲渡価額」欄の数字を転記します。
株式の売却の申告をする方は「一般株式等の譲渡」「上場株式等の譲渡」のいずれか該当する欄に売却収入の金額を記入します。
該当する区分欄に、「譲渡所得の内訳書」3面の「譲渡所得金額」欄の数字を転記します。
以下の通り記入します。
確定申告書B第一表の「所得金額等」エリア「⑫合計」欄の金額を転記します。
確定申告書B第一表の「所得から差し引かれる金額」エリア「㉙合計」欄の金額を転記します。
「総合課税の合計額」欄の金額から「所得から差し引かれる金額」欄の金額を差し引いた金額を記入します。なお、1,000円未満の端数は切り捨てて記入してください。
「所得金額」欄の短期譲渡所得の金額を転記します。短期譲渡所得がない方は空欄でOKです。
「所得金額」欄の長期譲渡所得の金額を転記します。長期譲渡所得がない方は空欄でOKです。
なお、株式の売却をされた方は「69 70対応分」欄にその金額を記入します。
譲渡所得以外の所得に対する税金の額を計算し、記入します。所得税の計算方法は以下の通りです。
所得税率と控除額は所得金額によって異なるため、以下の国税庁ホームページで確認してください。
国税庁:所得税の税率
短期譲渡所得に対する税金の額を計算し、記入します。短期譲渡所得の所得税の計算は「短期譲渡所得の金額×30%」の計算式で計算します。
長期譲渡所得に対する税金の額を計算し、記入します。長期譲渡所得の所得税の計算は「長期譲渡所得の金額×15%」の計算式で計算します。
83~90欄までの合計額を記入します。
なお、株式の売却をされた方は「78対応分」欄に、株式譲渡に対する税金の額を計算し、その金額を記入します。株式の所得税の計算は「株式の譲渡所得の金額×20%」の計算式で計算します。
以下の通り記入します。
譲渡所得の特例を受けられる方は適用される特例について記入します。
第三表の作成が完了したら、再度第一表の「税金の計算」エリアの作成に戻ります。
第三表の「83から90までの合計」欄の金額を転記します。
㉜~㊵欄の各種控除を利用する方は、「上の㉚に対する税額又は第三表の91」欄の金額から各種控除額を差し引いた金額を記入します。㉜~㊵欄が空欄の方は「上の㉚に対する税額又は第三表の91」欄の金額をそのまま記入してください。
災害等で損害を受けたことによる減免を受ける方以外は「差引所得税額」欄の金額をそのまま記入してください。
「再差引所得税額」欄の金額に2.1%を乗じた金額を記入します。
「再差引所得税額」欄の金額と「復興特別所得税額」欄の金額の合計額を記入します。
給与から天引きされた源泉所得税がある方はその金額を記入します。
「所得税及び復興特別所得税の額」欄の金額から、㊻~㊽欄の金額を差し引いた金額を記入します。
予定納税をしている方は、「申告納税額」欄の金額から予定納税の金額を差し引いた金額を記入します。予定納税をしていない方は「申告納税額」欄の金額をそのまま記入してください。
なお、税金の支払いが生じた方は「納める税金」欄に、税金が還付となる方は「還付される税金」欄に記入することになります。
譲渡所得のうち総合課税となるものとは、土地・建物や株式等以外の資産を譲渡した場合です。このケースの確定申告書の書き方を解説します。
分離課税と書き方が異なるのは以下の3点です。
「総合譲渡」欄に譲渡した資産の売却収入の金額を記入します。なお、「短期」「長期」欄のどちらに記入するかは「所有期間が5年以内」なら短期、「所有期間が5年超」なら長期となります。
「総合譲渡・一時」欄に、「譲渡所得の内訳書(総合譲渡用)」で計算した所得金額を記入します。また、「合計」欄にその他の所得との合計額を記入します。
「課税される所得金額」欄に、「所得金額等」エリアの「合計」欄の金額から「所得から差し引かれる金額」エリアの「合計」欄の金額を差し引いた金額を記入します。これ以降は分離課税の確定申告書の書き方と同様です。
いかがでしたでしょうか。今回は譲渡所得の確定申告について、申告書の書き方を説明しました。作成した確定申告書は譲渡の内訳書と併せて期限までに税務署に提出します。
譲渡所得の確定申告の全体の流れやなどは下記の記事で総合的に解説していますので、疑問が残っている方はぜひご活用くださいね。