年末調整は産休・育休中でも必要?育休明けでも扶養に入れる?
育児休暇中や育休明けの年末調整はどうしたらいいのか、配偶者控除や生命保険料控除で節税する方法、育休中にもらうお金に税…[続きを読む]

年末調整では扶養親族について申告する必要がありますが、夫婦共働きの場合は記入に迷うケースも多いでしょう。
妻と夫のどちらの扶養にすべきか、保険料控除などのいろいろな控除も夫婦どちらで利用するのが適切なのか……その選択によって還付金の金額も大きく変わる場合があります。
今回の記事では、夫婦共働きの場合の年末調整で押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
夫婦共働きの場合の年末調整はどのように行うのでしょうか? 年末調整の手続きは、それぞれの勤務先で別途に行います。
その際、年末調整書類の右上の世帯主の欄には、結婚(入籍)の際に住民票で登録した世帯主の氏名を記入し、配偶者の有無の欄の「有」に丸をつけます。

配偶者が扶養の範囲内で働いている場合は、配偶者控除の欄に配偶者の氏名や生年月日、マイナンバー、配偶者の見込みの今年の収入を記入します。

共働きの場合であっても下記の条件を満たす場合は配偶者控除が受けられます。
この金額を超えていても、配偶者の所得の見積額が133万円(給与所得であれば201万円)以下であれば配偶者特別控除の対象になります。
勤務先で結婚の届け出などを済ませていて、婚姻の事実関係が確認出来ていれば、特に提出書類などはありません。また、配偶者による記入などは必要ありません。
正社員でも育休等で収入が減った場合は、一時的に控除を受けられる場合があります。育休などで支給される各種手当ては、配偶者控除の対象になるかどうかの所得には含めません。詳しくは以下の記事をご覧ください。
配偶者控除の他にも、様々な所得控除があります。夫婦共働きの場合は、どちらで申告するか選択することが出来ますがどのように申告したら良いでしょうか? 確認していきましょう。
治療費や薬代などの支払った医療費のうち一定額を控除出来る制度です。
生計を一にする家族であれば、それぞれの医療費を合算して控除できますので夫婦のうち、収入が高く所得税率が高いほうで控除を受けたほうが良いです。ただしこちらは年末調整では控除の申請ができないため確定申告を行いましょう。
一般生命保険や個人年金保険、学資保険などの生命保険料、地震保険料についても、同様に、実際に掛け金支払った人で控除を受けることが出来ます。そのため夫婦のうち所得税率が高いほうが保険料を支払い、申告したほうが良いでしょう。
住宅ローンの残高に対して控除を受けられる住宅ローン控除については、そのローン名義人(ローンを組んだ契約者)だけが控除を受けられます。
夫婦それぞれの名義で借り入れを行うペアローンの場合は、それぞれのローン残高に応じた控除を受けられます。
子供がいる場合の年末調整書類の書き方はどのようにすれば良いでしょうか?
扶養対象の16歳以上の子供がいる場合は、用紙の中段の「扶養控除対象親族(16歳以上)」の欄に氏名やマイナンバー、生年月日、見込み年収などを記入します。
夫婦どちらか片方だけが記入できます。

令和8年分は、令和7年分と書式が少し異なります。
通常の扶養親族に追加して、19歳以上23歳未満(平成15年1月2日~平成19年1月1日生まれ)で、所得58万円(年収123万円)超~所得100万円(年収165万円)の子供がいる場合も、記入します。

16歳未満の扶養親族は、子供手当ての対象となる場合があり、扶養控除の適用外となりますが、用紙の下部に記入欄がありますので、同様に氏名、マイナンバーなどを記入します。
夫婦どちらか片方だけが記入できます。

19歳以上23歳未満(平成15年1月2日~平成19年1月1日生まれ)の子供がいる場合、所得58万円(年収123万円)を超えると、扶養控除は受けられませんが、所得所得123万円(年収188万円)以下であれば、特定親族特別控除を受けられます。
別紙の「特定親族特別控除申告書」に記入します。夫婦どちらか片方だけが記入できます。

年収850万円超の人が、23歳未満の扶養親族がいる場合、所得金額調整控除を受けることができます。
別紙の「所得金額調整控除申告書」に記入します。
こちらは、今までの扶養控除関連と違い、夫婦の両方で記入することができます。

子供はどちらの扶養に入れるのがよいでしょうか? 基本的には夫婦のうち税率の高く、控除の効果の大きい年収の高い方の扶養とするのがよいでしょう。
また、税金だけでなく健康保険にも扶養があります。会社が支給する「家族手当」の要件ともかかわる為、注意が必要です。
会社によっては、扶養としていない場合は家族手当の対象としていない場合もあるため、会社の規定をよくみて、どちらの扶養にするか決めるのが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は夫婦共働きの場合の年末調整の際に知っておきたいことをご案内しました。
共働きの場合は、各種控除を夫婦どちらで受けるか、子供がいる場合はどちらの扶養とするか選択することが出来ます。基本的には、年収の高い方の(控除)扶養とすべきですが、前出のように家族手当の金額などによってどのようにすべきかはケースバイケースです。
それぞれの要件を確認して、世帯全体で有利になるようにうまく選択しましょう。