マイナンバーにデメリット・リスク・悪用される危険性はあるの?

マイナンバー デメリット

2015年から開始されたマイナンバー制度。
私たちの生活の中にも徐々に溶け込み、マイナンバーカードを用いた各種手続きができるようになっています。

機能が増え便利になる一方で、中には、マイナンバーに対するリスクを懸念している人もいるでしょう。

情報漏洩や不正利用など、あらゆるリスクが考えられますが、マイナンバーにそういった心配はないのかみていきましょう。

1.情報漏洩のリスク

マイナンバーを運用している中で考えられる1つ目のリスクは「情報漏洩」です。

マイナンバーを管理している政府・自治体から漏洩するケースや、企業からの情報漏洩、さらには、マイナンバーカードの紛失や盗難によっても起きる可能性があります。

個人情報が紐づけられたマイナンバーが漏洩してしまうのは、かなり不安ですよね。

ただ、マイナンバーの管理方法については、「制度面」及び「システム面」において厳格な対応が求められています。

制度面では以下の措置を講じることで個人情報を保護しています。

  • 本人確認
  • 法律外での特定個人情報の収集・保管の禁止
  • 法律外での特定個人情報ファイル作成の禁止
  • 第三者委員会による監査・監督
  • 特定個人情報が流出した場合の罰則強化
  • マイナポータルによる情報提供などの記録を確認

システム面においても下記の措置が講じられています。

  • 個人情報を分散して管理する
  • 情報連携を番号ではなく符号によって行う
  • アクセス制御を用いて閲覧者を制限・管理
  • 通信の暗号化

ポイントとしては「個人情報の分散管理」が挙げられるでしょう。

一元管理ではなく、各機関がそれぞれの個人情報を管理し、必要時に連携を行うという仕組みですので、たとえ情報漏洩が起きても被害を限定的に抑えることが可能です。

こういったさまざまな措置がなされているため、マイナンバーの情報漏洩リスクに対しては「情報漏洩のリスクが小さい」「漏洩したとしても生じるリスクが小さい」ということがいえるでしょう。

ただし、将来的なマイナンバーの機能拡張によって、新たなリスクが生じる可能性もあります。

2.なりすましの悪用のリスク

情報漏洩以外にもマイナンバーのリスクは考えられます。

例えば、自分の個人番号を見知らぬ誰かが勝手に悪用するといったことが挙げられるでしょう。

日本のマイナンバー制度と似たような制度を持つアメリカや韓国などの海外では、マイナンバーによるなりすまし被害も報告されています。

アメリカで用いられている「社会保障番号」でも「なりすまし被害」の件数は非常に多く、2006年〜2008年の3年間で1,170万人にも及び被害額は毎年約5兆円と見逃せないリスクです。

しかし、日本のマイナンバー制度ではこういったリスクを軽減する制度設計がなされています。

まず、マイナンバー(12桁)を知っているだけでは本人認証ができません

口頭でマイナンバーを伝えるだけでは本人認証はできず、認証には「マイナンバーカード」や「運転免許証」といった顔写真付きの身分証明書が必要です。

顔写真を用いた本人確認を行うため他人がなりすましてマイナンバーを用いるといったことはできません。

また、民間事業者もマイナンバー法が規定する目的以外でマイナンバーを収集・保管することができないため、民間サービスでマイナンバーが本人認証に使われることもありません。

  • マイナンバーだけで本人認証はできない
  • マイナンバーの使用に制限をかける

こういった制度設計からマイナンバーのなりすましリスクは他国の同様の制度と比較しても低いと考えられます。

ただし、将来的にマイナンバーの用途拡大や機能の増加に伴い、また異なるリスクが想定される可能性もあります。

マイナンバーカードの顔写真に偽の写真を貼り付けてなりすましを行うといった可能性も想定できますし、マイナンバーカードのICチップを悪用し、不正な行政手続きが行われる可能性も考えられます。

システム運用面でのリスクは制度設計によって小さく抑えられているものの、マイナンバーカードが盗難されると、一定のリスクが想定されるので注意してください。

3.マイナンバーでどんな個人情報が知られてしまうの?

マイナンバー(個人番号)には、以下の情報が紐づけられています。

  • マイナンバー(12桁)
  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 性別
  • 収入・所得
  • 雇用保険
  • 健康保険・年金

ただし、これらの個人情報が一元的に管理されているわけではなく、1つ1つが分散管理されています。

また、マイナンバーを知っていても情報を管理するシステムにアクセスできなければ情報を入手することはできませんので、マイナンバーが知られたとしても大きな被害になりません。

例えば、マイナンバーからその人の収入を知るには、番号だけでなく国税庁のシステムにアクセスしなければなりません。

しかし、徴税に関する業務を行っている職員でない限り、国税庁のシステムへのアクセスは困難ですので、マイナンバーのみで個人情報が丸裸にされるといった心配はありません。

下記のようなリスクも心配は不要なので安心してください。

  • 財産や収入などが丸裸にされてしまう
  • 学歴、職歴、犯罪歴、結婚歴などの情報が知られてしまう
  • クレジットカードが不正利用されてしまう
  • スマホの乗っ取り被害に遭う

ただし、マイナンバーカードの紛失・盗難の場合には、なりすましのリスクが高まる可能性があるので、紛失した際は、下記へ連絡して、すぐに利用停止措置を行ってください。

個人番号カードコールセンター(全国共通ナビダイヤル)
TEL:0570-783-578
紛失・盗難などによる一時停止については、24時間365日対応

4.マイナポイントにデメリットや危険性は?

2020年9月から、キャッシュレスで買い物をしたりチャージしたりすると、マイナポイントと呼ばれるポイントがもらえます。25%還元で、最大5000円分です。

このマイナポイントをもらうためには、マイナンバーカードを利用して事前の予約や申し込みが必要ですが、マイナポイントにもデメリットや危険性はあるのでしょうか?

結論から申しますと、マイナポイント自体に、何らかのデメリットや危険性はないといえます。

事前の予約や申し込み

まず、事前の予約や申し込みは、政府が用意したマイナポイントのサイトで行いますが、ここで必要なのはマイナンバーカードだけであり、何か特別な個人情報を入力したり、勝手に抜かれたりすることはありません。

マイキーIDという番号が払い出されますが、これを誰かに知られたとしても、このマイキーIDでログインするわけでなく、マイナンバーカードを利用してログインしますので、特に影響はないと思われます。

マイナポイント予約をするには、パソコン+ICカードリーダーか、対応スマホが必要ですが、強いてデメリットをあげるならば、ただこの作業だけのために、機器を購入することでしょうか。最大5000円分のポイントのために、パソコンやスマホを購入するのは割にあいません。

ただ、全国各地に支援端末が設置されますので、これを利用すれば、パソコンやスマホがなくても作業が可能です。

マイナポイントをもらうとき

次に、買い物やチャージでもらえるマイナポイントですが、このポイントはマイナンバーカードに記録されるわけではありません。

マイナポイントの申し込み時に、選択したキャッシュレスに対してポイントがつきます。たとえば、PayPayを選択していれば、PayPayの残高に付与されます。

仮に、危険性があるとするなら、PayPay等のキャッシュレスサービス自体に問題があって、ポイントが失われたり、個人情報が漏れたりするということでしょうか。ただ、各サービスとも、万全のセキュリティ対策を施しているはずです。

5.マイナンバーだけが危険なわけではない

政府は、マイナンバーを非常にセキュリティレベルの高いものと位置づけています。

利用者には、他人に番号を教えないように、また、企業などマイナンバーを取り扱う機関には、厳格な管理をするように求めています。

本人認証には「マイナンバー」と「顔写真つきの身分証明書」が必要ですが、マイナンバーが情報漏えいすると、確かに、このうちの一つの情報である「マイナンバー」が知られてしまいますので、悪用されるリスクがゼロとはいえません。

そのため、マイナンバーに不安を抱く人もいるかと思いますが、マイナンバーだけが特別に危険というわけではありません。

従来から使われている運転免許証やパスポート、在留カードも紛失や盗難に遭えば、何らのリスクは生まれます。

クレジットカードは券面に記載されている番号とセキュリティコードがあれば買い物ができてしまいますので、カード番号が漏洩したり、カードを紛失することによる不正利用のリスクは、マイナンバーより、かなり高いといえます。

「マイナンバーは危ない」「マイナンバーは安全」という偏ったイメージを持つ方もいますが、マイナンバーが特別危険なわけではありませんし、かといってリスクがゼロではありません。

クレジットカードや運転免許証などと同様に、利便性とリスクが共存しています。

重要なのは、正しい知識を収集してリスクを正確に把握し、正しく利用していくことでしょう。

6.今後、マイナンバーの利便性が増えると、リスクも増える

現状、マイナンバーに紐づけられている個人情報は限定的ではあります。

しかし、今後マイナンバーの利便性向上を目的にさまざまな情報が紐づけられるようになると、リスクも増大する可能性があります。

例えば、現在政府では下記のような内容を検討しています。

  • マイナンバーカードを保険証代わりに利用(2021年10月から本格運用開始)
  • マイナンバーカードを免許証・在留カード代わりに利用
  • マイナンバーをスマホと一体化
  • マイナンバーと銀行口座との紐付けを義務化

これらが実施されればマイナンバーの利便性は増しますが、それと同時に情報漏洩やカード紛失時のリスクも大きくなります。

マイナンバーのデメリットや危険性は、むしろ今後の仕組み次第ともいえますので、細かくチェックしておきましょう。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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