意外と知らないマイナンバー制度、いつから?目的は?
特別定額給付金やマイナポイントで「マイナンバー」を活用する機会が増えていますが、そもそも「マイナンバー制度」がどのようなものかご存知でしょうか?
いつから制度がスタートし、どのような目的で実施されているのか、私たちの生活にどのように関わるのかなど、意外に知らないことがたくさんあるはずです。
ここでは、そんな「マイナンバー制度」の概要や目的、利用方法などを一通り解説していきます。
目次
1.マイナンバー制度とは?
マイナンバー制度は、通称「マイナンバー法」によって制定されたものです。
(正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」)
日本に住民票を持つ全ての人(外国人を含む)を対象にそれぞれ12桁の個人番号(マイナンバー)を割り振ります。
与えられた個人番号は原則変更できず、情報漏洩などによって不正に利用された場合を除き、生涯に渡って同じ番号を使うことになります。
マイナンバーを用いることで社会保障、税、災害対策の3つの分野で政府・自治体が効率よく個人情報を管理することができます。
例えば、社会保険料の減免の対象になるかどうかを判断する際、マイナンバーに紐づけられた情報を参照すれば、すぐに対象かどうかの判断が可能です。
このように個人の情報を番号を元に管理することで、確実かつ迅速な対応を行えるようになっています。
2.マイナンバー制度はいつから始まった?
マイナンバー制度の開始は2015年(平成27年)まで遡ります。
2015年10月にマイナンバーカードを発行するための「通知カード」が配布されました。
※2020年5月25日以降、通知カードは廃止されましたが、住所変更しない限り、しばらくそのまま利用できます。
役所などで所定の手続きを行うとプラスチック製の「マイナンバーカード」が交付されます。
そして、2016年(平成28年)1月に運用が開始され、行政手続きなどで利用できるようになりました。
3.マイナンバー制度の目的は?
マイナンバー制度の目的は主に以下の3つが掲げられています。
- 公平・公正な社会の実現
- 国民の利便性の向上
- 行政の効率化
具体的には、「税・社会保障・災害対策」の3つの分野で、効率よく迅速なサービスを提供することを目的としています。
①公平・公正な社会の実現
マイナンバー制度によって、所得や行政サービスの受給状況を把握しやすくなります。
社会保障の不正受給や脱税の防止をしながら、本当に必要な人に支援が届く仕組みづくりにつながります。
②国民の利便性向上
行政手続きのときに、記入箇所や提出書類が減るなど国民にもメリットがあります。
例えば、新型コロナウイルス感染症への10万円の支援策でも、マイナンバーを利用したオンライン申請が行われ迅速な給付にもつながっています。
③行政の効率化
国の行政機関と、地方公共団体の間でのやりとりなどが効率化され、行政手続きの時間と労力が大幅に削減されます。
これによって、迅速な支援が可能になります。
4.マイナンバーでわかること
各個人に与えられたマイナンバー(個人番号)には、下記の情報が紐づけられています。
- マイナンバー(個人番号)
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 性別
- 収入・所得(年末調整または確定申告した内容)
- 雇用保険
- 健康保険・年金
当初は「マイナンバー」「氏名」「住所」「生年月日」「性別」のみが紐づけられていましたが、徐々に「収入・所得」「雇用保険」(2016年から)、「健康保険・年金」(2017年から)が加えられました。
預金口座の紐つけも検討されており、2020年6月時点では任意となっているものの義務化が議論されています。
ただし、職歴、学歴、結婚・離婚歴、犯罪歴等といった情報は紐つけられていません。
あくまでも、国や市区町村などの行政を効率化するための情報のみです。
5.マイナンバーの利用方法
マイナンバーがどのような場面で使われるのかについて見ていきましょう。
私たちの生活にも大きく関わる部分です。
まず、マイナンバーでは「社会保障」「税」「災害対策」の3分野での活用が掲げられていました。
そのため、これらの分野での申請書や届出書などについてはマイナンバーの記入が求められます。
例えば、所得税の確定申告書にはマイナンバーを記載して提出しなければなりませんし、健康保険・厚生年金保険では加入時の各種届出にマイナンバーの記載が必要です。
- 所得税確定申告→2017年2月16日〜3月15日提出分から
- 健康保険→被保険者資格取得届(2017年1月1日提出分から)
- 厚生年金保険→被保険者資格取得届(2017年1月1日提出分から)
- 雇用保険→被保険者資格取得届、被保険者資格喪失届(2016年1月1日以降提出分から)
こういったケースを考えると、会社員の方であれば、勤務先にマイナンバーを提供します。
個人事業主の方であれば、確定申告でマイナンバーを記載します。また、ライター・デザイナーなどの一部の業務では、取引先が支払調書を作成して税務署に提出するために、マイナンバーが必要です。
金融機関に株、投資信託、公社債などの口座を開設する際には、マイナンバーを提供します。
ただし、マイナンバーを指定された用途以外で使ってはいけません。
顧客番号として利用したり、人に教えたりすることは認められていませんので、注意してください。
6.マイナンバーカードを作れば、さらに便利に
マイナンバーカードを作っておけば、便利でお得な利用ができるのでおすすめです。
まず、第一に「身分証明書」として活用できます。
本人確認書類として使えるので運転免許証を持っていない方にとっては便利な存在です。
そして、「電子証明書」として利用することも可能なので各手続きがネットやスマホから簡単に行えます。
代表的な例でいうと、オンラインで確定申告ができる「e-Tax」をマイナンバーカードを使って行うことができます。
その他、以下のような、お金の面でお得な利用方法もあります。
- マイナポイントで最大5,000円分の還元
- コンビニ交付サービスで手数料がお得になる
- ふるさと納税を確定申告なしで簡単に利用できる
これらについて詳しい内容は「マイナンバーカードに「お得」はある? お金につながるメリット解説」をご覧になってください。
7.マイナンバーは危なくないのか?
マイナンバー制度は私たちの生活をより便利にしてくれる反面、人によっては「番号に個人情報を紐づけられるのは不安」と感じる人もいるでしょう。
しかし、セキュリティにおいても万全の対策が講じられています。
例えば、マイナンバーが外部に漏れてしまったとしても悪用される危険はありません。マイナンバーを知っているだけでは、何もできないからです。
また、マイナンバーカードには必要最小限の情報のみが記録されており、預金残高や税金額といったプライバシー性の高い情報は含まれていません。
利用には暗証番号が必要ですし、顔写真付きのためなりすましで使うのも困難です。
万が一、カードを紛失した場合でも、24時間365日受付のコールセンターが設置されており、電話一本で利用停止措置が取られます。
「個人情報が流出するのでは?」と不安になってしまうかもしれませんが、マイナンバーカードには、しっかりとしたセキュリティ対策が施されているため、安心して持ち歩いて大丈夫です。
まとめ
マイナンバー制度について簡単にまとめます。
- マイナンバーは、日本に住民票があるすべての人に割り振られる12桁の番号
- 2016年1月から運用開始
- 利用用途は、社会保障、税、災害対策の3つの分野。それ以外の利用はできない。
- マイナンバーカードがあると便利(申請方法はこちら)
- マイナンバーは、セキュリティ対策がされている。