世界の消費税がない国【2023年版】
日本の消費税の税率は10%、今後はさらにあがっていきそうな予感があります。
ところで、海外には、消費税がない国があります。また、今まで消費税がなかったのに、最近、消費税が導入された国もあります。
消費税がない国を紹介するとともに、そういう国はどうやって財政をやりくりしているのかも紹介します。
目次
1.消費税がない国
(1)消費税がない国一覧
2023年8月現在、消費税(消費税に相当する税金)がない国を一覧でリストアップします。
地域 | 消費税がない国 |
---|---|
アジア | 朝鮮民主主義人民共和国、ブルネイ、香港(※1)、マカオ(※1) |
中東 | イラク、カタール、クウェート、シリア |
アフリカ | リビア |
北米 | 米国(※2) |
※1 正式には、香港、マカオは、中国の特別行政区です。
※2 アメリカ合衆国は国全体に消費税はありませんが、州や都市によって売上税があるところが多いです。
※いわゆる消費税に当たる付加価値税(VAT)、売上税(Sales Tax)、物品サービス税(GST)などが全くない国をリストアップしています。
※情報が古い場合もありますが、ご容赦ください。
消費税がない地域の一覧
国ではなく、各国の領土の一部ですが、消費税がない地域の一覧です。
- ヴァージン諸島(イギリス領)
- ガーンジー島(イギリスの王室属領)
- ケイマン諸島(イギリス領)
- ジブラルタル(イギリス領)
- バミューダ諸島(イギリス領)
すべて、イギリスが関連している領土です。
(2)最近、消費税が導入された国
今までは消費税がなかったのですが、最近、消費税が導入された国の一覧です。
- アフガニスタン(2021年~)
- アラブ首長国連邦(2018年~)
- オマーン(2021年~)
- サウジアラビア(2018年~)
- バーレーン(2019年~)
どれも中東の国ですが、最近になって導入されました。世界的には、消費税がない国は、ほんのわずかになりました。
カタール、クウェートも2023年8月現在は消費税がありませんが、導入が検討されています。
2.食料品の消費税がない国
消費税はほとんどの国でありますが、食料品には消費税がかからない(税率0%、または、非課税)国はたくさんあります。
2023年8月現在、食料品に消費税(消費税に相当する税金)がかからない国を一覧でリストアップします。
地域 | 消費税がない国 |
---|---|
アジア | インド、韓国、カンボジア、タイ、台湾、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ラオス |
中東 | アフガニスタン、イスラエル、オマーン、バーレーン |
アフリカ | エジプト、ケニア、チュニジア、ナイジェリア、南アフリカ共和国、モザンビーク、モロッコ |
オセアニア | オーストラリア |
北米 | カナダ、米国 |
中南米 | グアテマラ、パナマ、ベネズエラ、ペルー、メキシコ |
ヨーロッパ | アイルランド、英国、マルタ |
また、食料品に消費税はかかるけど、日本のように軽減税率になっている国は多いです。
そのほか、生活必需品や、その国で奨励する産業の製品に消費税がかからない国も多くあります。
3.特定の日だけ消費税が免除される国
ちょっと変わっていますが、コロンビアでは、1年のうち3日だけ、一部の品目について、消費税(付加価値税)が免除されかかりません。
2022年は、3月11日、6月17日、12月2日に実施されました。対象品目は、ファッション小物や家電・パソコン、通信機器、スポーツ用品、おもちゃ・ゲーム、服、学習用品、農畜産関連の財および中間財です。
消費税が免除された日の売上は増加し、2021年では、免税日3日間のeコマースの売り上げは総額2兆4,000億ペソ(当時のレートで1ペソ=約0.03円)に上ったそうです。コロンビアの2021年の名目GDPは、約1192兆ペソですから、GDPの約0.2%分、消費を押し上げたことになります。
日本でも、消費税がかからない日があったらいいですね。
4.消費税がない国の事情
(1)中東には消費税どころか教育費無料の国もある
中東の産油国のクウェートは、消費税がかからず、そのうえ教育費も無料です。クウェートが国民の負担を軽くすることができるのは、石油埋蔵量世界7位の資源大国のためです。国が潤っているので、税金を多く集めなくてよいわけです。
中東では、イラク、カタール、シリアも消費税がない国です。
ただ、中東の大国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦では、最近、消費税に似た付加価値税(VAT)を導入しました。また、アフガニスタン、オマーン、バーレーンも続いて付加価値税を導入しました。消費税ゼロでのやりくりは、やはり大変なようです。
(2)香港にも消費税はない
中国の特別行政区である香港は、制度としては消費税はありません。しかし、レストランやホテルでは10%のサービス料が加算されます。出国税や空港保安税といった税もあり、観光客には、消費税がない恩恵は小さいかもしれません。
(3)アメリカには消費税のない州がある
アメリカでは国全体では消費税がありませんが、州や都市によって売上税(Sales Tax)があるところと、ないところがあります。
売上税を課さない州があるのは、税金が安いと住民に喜ばれるので、人口流出を抑制したり、住民を集めたりすることができるからです。
デラウェア州は小さい州なので税収に困りそうですが、売上税を課していません。それは、同州が首都ワシントンD.C.に近いからです。売上税ゼロにすれば「ワシントンD.C.に住むより、デラウェア州のほうがよい」と考える人が増えることを期待できます。人口が増えれば、その他の税金を徴収することができるので「元は取れる」わけです。
その他、ニューハンプシャー州、オレゴン州、モンタナ州も売上税がありません。
しかし、その他のほとんどの州では、売上税があります。
ニューヨーク州では、州の売上税の他に、都市の売上税、さらに一部の地域は、Metropolitan Commuter Transportation District Tax(通称MCTD税)がかかります。たとえば、ニューヨークのクイーンズ区の場合、ニューヨーク州の売上税4%、ニューヨーク市の売上税4.5%、そして、MCTD税0.375%で、合計8.875%になります。
(4)少し事情が違う北朝鮮
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も消費税がない国ですが、その他の消費税ゼロの国とは事情が違います。
北朝鮮には消費税どころか一切の税金がありませんが、その代わり「強制募金」という仕組みがあります。
国民にとって「税より不快なもの」になってしまっています。
まとめ
世界の消費税ゼロ国をみると、石油で潤っている、他の州と差別化する、他の税金でまかなう、といった「やりくり」をしていることがわかります。
また、どちらかというと、新たに消費税を導入する国が多いです。
消費税ゼロの実現は難しいかもしれません。