世界の消費税率が高い国/低い国ランキング【2025年版】

ランキング

日本の消費税の税率は10%ですが、これを「高い」と感じている人は多いでしょう。

でも、世界には、消費税の税率がもっと高い国がたくさんあります。一方で、日本より税率が低い国もあります。

世界の消費税の税率が高い国・低い国のランキングを紹介します。

1.世界の消費税率が高い国ランキング

ランキングでは、どの国と比較するかが重要です。

財務省が発表しているバージョンがありますがヨーロッパ諸国に偏っていますので、独自調査によるランキングも作成しました。その両方を紹介します。

(1)財務省バージョン

財務省HPの「消費税などに関する資料」ページで、OECD諸国など51カ国の「付加価値税率の比較」を掲載しています(付加価値税は消費税に相当する税金です)。

これによると、世界で消費税が最も高い国はハンガリーで27%です。

そして、消費税率(標準税率)が高いトップ26は次のとおりです。

順位 税率 国名
1位 27% ハンガリー
2位 25.5% フィンランド
3位 25% クロアチア、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン
7位 24% ギリシャ、アイスランド、エストニア(※)
9位 23% アイルランド、ポルトガル、スロバキア、ポーランド
13位 22% イタリア、スロベニア
16位 21% ベルギー、チェコ、ラトビア、
リトアニア、オランダ、スペイン
22位 20% オーストリア、ブルガリア、トルコ
フランス、英国

※エストニアは、2025年7月、22⇒24%に増税

上位には見事にヨーロッパの国ばかりが並んでいます。また、ノルウェーとアイスランド以外はすべてEU(欧州連合)に加盟しています。

ちなみに、日本は、51カ国中、42位です(同順位に5カ国)。

日本政府は、このデータを参照して、日本の消費税率は低いので、もっと税率をあげる余地があると主張したいようですが、もともと税率が高いOECD諸国ばかり掲載されており、データに偏りがあるように思われます。

(2)独自調査ランキング

そこで、独自調査で、全世界204カ国中のランキングを作成してみました。消費税率が高いトップ20です。

順位 税率 国名
1位 27% ハンガリー
2位 25.5% フィンランド
3位 25% クロアチア、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン
7位 24% ギリシャ、アイスランド
9位 23% アイルランド、ポルトガル、スロバキア、ポーランド
13位 22% ウルグアイ、イタリア、スロベニア、エストニア
17位 21% モンテネグロ、アルゼンチン、リトアニア、ラトビア、
ベルギー、チェコ、オランダ、スペイン

ウルグアイ、モンテネグロ、アルゼンチンを加えた以外は、財務省バージョンとあまり変わりません。

日本は、203カ国中、151位です(同順位に19カ国)。順位としては全体のうち、4分の3くらいに位置していますので、財務省バージョンよりは、順位が少し改善されているかもしれません。

(3)欧州の消費税率はなぜ高い?

ヨーロッパの消費税率は、なぜこれほど高いのでしょうか。

高負担が当たり前

ヨーロッパでは、高福祉・高負担の思想が根付いていて、税金を多く払ってでも安心を確保したい、と考える人が多いです。

国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合を示す指数に国民負担率がありますが、ヨーロッパは国民負担率が高い国が多いです。

参考までに、2022年の国民負担率のトップ5です。すべてヨーロッパ諸国です。

  • 1位:ルクセンブルク 89.4%
  • 2位:フランス 68.1%
  • 3位:オーストリア 63.5%
  • 4位:フィンランド 63.2%
  • 5位:ベルギー 60.0%

【参照】財務省:国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国)

ちなみに、日本の国民負担率は48.4%ですので、それよりかない高いです。

EUの基準:VAT税率は最低15%

EUでは、1992年のEC指令の改正により、1993年以降、付加価値税の標準税率を15%以上とすることが決められています。そのルールのため、欧州諸国の消費税率が高くなっています。

食料品・日用品は軽減税率で低い

ランキングで紹介した消費税率は標準税率です。消費税率の高いほとんどの国では、食料品や日用品などに軽減税率が適用され、たいたい約半分くらいの低い税率となっています。また、0%や免除の品目もあります。

嗜好品や高級品などの税率が高い一方で、食料品・日用品などの税率を下げることで、一般庶民が困らないようにしています。

2.世界の消費税率が低い国ランキング

こんどは、消費税率が低い国のランキングです。

(1)財務省バージョン

財務省HP掲載データでの、消費税率が低い国TOP10です。

順位 税率 国名
1位 5% 台湾
2位 7% タイ
3位 8% ベトナム
4位 8.1% スイス
5位 9% シンガポール
6位 10% 日本、オーストラリア、カンボジア、韓国、ラオス

スイスを除いて、アジアの国々が並びました。日本も消費税率が低い国のTOP10にランクインしています。

世界で消費税が最も低い国は台湾で5%です。

(2)独自調査ランキング

財務省バージョンでは、そもそも消費税がない国が含まれていません。

そこで、独自調査で、消費税がない国も含めて、全世界97カ国中のランキングを作成しました。消費税率が低いトップ20です。

順位 税率 国名
1位 0%
(なし)
ブルネイ、東ティモール、香港(※1)、マカオ(※1)、
イラク、カタール、クウェート、シリア、リビア、
ナウル、マーシャル諸島
12位 4.5% アンドラ
13位 5% カナダ(※2)、台湾、ミャンマー、ソマリア、
アラブ首長国連邦、オマーン、イエメン
ミクロネシア連邦、エリトリア、ミャンマー
23位 5.75% 米国(※3)
24位 7% タイ、ラオス、ブータン、パナマ、ツバル
29位 7.5% ナイジェリア
30位 7.7% スイス、リヒテンシュタイン
32位 8% シンガポール、モルディブ

※1 香港、マカオは中国の特別行政区ですが、本ランキングでは国として扱っています。
※2 州によって独自の税金があり、連邦税と合計で最大15%です。
※3 米国には消費税がありませんが、州や都市ごとに売上税があります。ここでは、首都のワシントンD.C.の税率5.75%で比較しました。

財務省バージョンとは、ランキングがだいぶ変わりました。ちなみに、日本は低い方から数えると、35位です。

(3)中東・アジアの消費税率はなぜ低い?

中東諸国には、消費税がないか、あっても税率が低い国が多いです。

中東は石油マネーで国の財政が潤っており、国民からの税金をあまり必要としていないからでしょう。
ただ、かつては、アラブ首長国連邦、オマーン、バーレーンも消費税(付加価値税)がなかったのですが、最近になって消費税を導入しました。

ブルネイは石油・天然ガスの産出国で人口が少ないため、一人当たりGDPがASEAN域内ではシンガポールに次いで2番目に高いです。個人所得税や消費税はなく、国民は医療・教育費も無料です。

香港・マカオは国ではなく中国の特別行政区ですが、消費税はなく、所得税・法人税の税率も低いです。まさに、タックスヘイブンの様相を呈しています。

台湾の人たちは、税金も社会保障もあまり好まないようで、2017年の台湾の国民負担率は19.3%でした。これはOECD(経済協力開発機構)加盟国と比べると際立って低い数値です。参考までに、2017年の国民負担率は、デンマーク46%、ドイツ39.5%、日本30.6%、アメリカ27.1%、韓国26.9%でした。
つまり台湾の人たちは「税金の負担を軽くして自主自立で行こう」と考えていることがわかります。

3.世界の国、消費税率(標準税率)一覧表

世界のすべての国(日本が国家承認している国と、一部の自治区)の、消費税率(標準税率)の一覧表です(2025年7月時点)。

軽減税率が導入されている国も多くありますので、標準税率が高いからといって、必ずしも国民負担が多いわけではないことにご注意ください。

税率 国一覧
27% ハンガリー
25.5% フィンランド
25%
クロアチア, スウェーデン, デンマーク, ノルウェー
24%
アイスランド, ギリシャ
23%
ポルトガル, スロバキア, ポーランド, アイルランド
22%
イタリア, スロベニア, ウルグアイ
21%
モンテネグロ, アルゼンチン, リトアニア, ラトビア, オランダ, ベルギー, チェコ, スペイン
20%
ブルガリア, モロッコ, マダガスカル, 沿ドニエストル, ロシア, モルドバ, モナコ, ベラルーシ, フランス, スロバキア, オーストリア, エストニア, ウクライナ, イギリス, アルメニア, アルバニア, セルビア
19.25% カメルーン
19%
中央アフリカ, アルジェリア, ニジェール, チュニジア, コロンビア, チリ, ルーマニア, ドイツ, キプロス
18%
ブルンジ, セネガル, タンザニア, チャド, トーゴ, ブルキナファソ, コートジボワール, ベナン, マリ, ルワンダ, スーダン, コソボ, コンゴ共和国, タジキスタン, ギニア, インド, ガボン, トルコ, アゼルバイジャン, 北マケドニア, ジョージア, マルタ, 南スーダン, ドミニカ共和国, ペルー, ウガンダ
17.5% バルバドス
17%
セントクリストファー・ネイビス, モザンビーク, ギニアビサウ, ブラジル, イスラエル, ルクセンブルク, ボスニア・ヘルツェゴビナ, パキスタン
16.5%
ジャマイカ, マラウイ
16%
コンゴ民主共和国, セントビンセントおよびグレナディーン諸島, セントルシア, メキシコ, ヨルダン, モーリタニア, ケニア, ベネズエラ, ザンビア
15%
ドミニカ国, 南アフリカ, モーリシャス, レソト, ガーナ, ガンビア, サントメ・プリンシペ, サモア, 赤道ギニア, トンガ, ニュージーランド, バヌアツ, クック諸島, ソロモン諸島, ナミビア, グレナダ, セーシェル, セントビンセント・グレナディーン, バングラデシュ, サウジアラビア, スリランカ, トルクメニスタン, アンティグア・バーブーダ, シエラレオネ, ドミニカ, ホンジュラス, エチオピア, エスワティニ, カーボベルデ, ニカラグア
14.5% ジンバブエ
14%
ガイアナ, エジプト, アンゴラ
13%
エルサルバドル, コスタリカ, ボリビア, ネパール, 中国
12.5%
キリバス, ニウエ, ベリーズ, トリニダード・トバゴ
12%
キルギス, エクアドル, グアテマラ, ボツワナ, カザフスタン, ウズベキスタン, インドネシア, フィリピン, バハマ
11% レバノン
10%
ハイチ, パラオ, パプアニューギニア, オーストラリア, キューバ, ジブチ, コモロ, パラグアイ, スリナム, アフガニスタン, リベリア, マレーシア, モンゴル, ベトナム, 日本, カンボジア, 韓国, イラン, バーレーン
9% シンガポール, フィジー
8%
モルディブ
8.1%
スイス
7.7%
リヒテンシュタイン
7.5% ナイジェリア
7%
ラオス, タイ, ブータン, パナマ, ツバル
5%
ミクロネシア連邦, エリトリア, ミャンマー, カナダ, ソマリア, 台湾, アラブ首長国連邦, イエメン, オマーン
4.5% アンドラ
非課税
イラク, ナウル, 米国, リビア, シリア, クウェート, カタール, マカオ, 東ティモール, 香港, ブルネイ, バチカン, サンマリノ, マーシャル諸島

4.世界の消費税の種類

世界の消費税には大きく分けて、次のものがあります。

  • VAT(Value Added Tax;付加価値税):事業者の付加価値に対して課税される、最も多くの国で採用されている
  • GST(Goods and Services Tax;物品・サービス税):事業者の物やサービスの販売価格に対して課税される
  • Sales Tax;物品販売税:事業者の物の販売価格に対して課税される、仕入税額控除できないことが多い
  • Service Tax;サービス税:事業者のサービスの提供価格に対して課税される、仕入税額控除できないことが多い
  • Consumption Tax:消費税:仕入税額控除できない

一部の国では、制度が微妙に異なる場合もあります。

日本の消費税は、英語では「Consumption Tax」と表記されていますが、実際には、VAT(付加価値税)と同じ仕組みです。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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