世界の消費税が高い国/低い国ランキング

日本の消費税は2019年10月1日から10%に引き上げられますが、これを「高い」と感じている人は多いでしょう。
しかし財務省による「付加価値税率の国際比較」(2018年1月現在)によると、OECD(経済協力開発機構)加盟国やASEAN(東南アジア諸国連合)など50の国と地域の付加価値税で最も税率が高い国はハンガリーで27%でした。付加価値税は消費税と似た性質の税金ですので、この記事では同じものとみなして考察します。
最も消費税率が低い国は台湾とカナダの5%でした。
なぜ国・地域によって20ポイント以上もの差が生じるのでしょうか?
消費税が高い国・低い国のランキングを見ながら整理してみます。
1.消費税が高い国ランキング
消費税率が高いトップ10は次のとおりです。
- 1位:27%:ハンガリー
- 2位:25%:デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、クロアチア
- 6位:24%:フィンランド、ギリシャ、アイスランド
- 9位:23%:アイルランド、ポーランド、ポルトガル
見事にヨーロッパが並びました。また、ノルウェーとアイスランド以外はすべてEU(欧州連合)に加盟しています。
ヨーロッパ人には高福祉・高負担の思想が根付いているので、税金を多く払ってでも安心を確保したい、と考えるわけです。
なぜ消費税率がこれほど高いのでしょうか。税金と「幸せ」は関係が深そうです。国連の関連団体が行っている世界幸福度ランキング2019のトップ5は次のとおりです。
- 1位:フィンランド
- 2位:デンマーク
- 3位:ノルウェー
- 4位:アイスランド
- 5位:オランダ
幸福度1~4位はすべて税率トップ10に入っています。5位のオランダは消費税率トップ10には入っていませんが、税率は21%とかなり高率です。
ただ、税を高くすると必ず幸福になれるかというと、もちろんそうではありません。税率トップのハンガリーは、幸福度ランキングでは62位に沈んでいます。
また、G7(先進7カ国)の一員であるイタリアの税率は22%と高率ですが、失業率が高いことで有名です。またイタリアが所属するEUは、イタリア政府に対し、消費税をさらに上げて財政規律を維持するよう促しています。EUは、イタリアの財政赤字が悪化すると、通貨ユーロの信頼が落ちると考えているのです。この点はEUとイタリア政府でもめています。
したがって「高い消費税は人々を幸せにする」という法則が絶対正しいわけでもなさそうです。
2.消費税が低い国ランキング
それでは消費税が低い国を紹介します。調査対象50カ国のうち、税率が最も低い国を1位にしました。
- 1位:5%:台湾、カナダ
- 3位:6%:マレーシア
- 4位:7%:タイ、シンガポール
- 6位:7.7%:スイス
- 7位:8%:日本
- 8位:10%:韓国、インドネシア、オーストラリア、ベトナム、ラオス、カンボジア
アジアが並びました。台湾の人たちは、税金も社会保障もあまり好まないようで、次のような数字があります。
- 台湾の国民負担率:19.3%
国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合を示す指数に国民負担率があります。2017年の台湾の国民負担率は19.3%でした。
19.3%はOECD(経済協力開発機構)加盟国と比べると際立って低い数値で、デンマークの国民負担率は46%、ドイツ39.5%、日本30.6%、アメリカ27.1%でした。
つまり台湾の人たちは「税金の負担を軽くして自主自立で行こう」と考えていることがわかります。
欧米グループにも関わらずカナダが、消費税が低いランキングで1位になりました。5%です。これは経済が好調だからです。
カナダ財務省によると2018年4~9月期の財政収支は12億カナダドルの黒字でした。
カナダの財政収支は「100年の一度の経済事件」であるリーマンショックが起きた2008年度こそ12年ぶりに赤字に転じましたが、2015年度には黒字に復活しました。
国が潤っていると消費税を上げなくてもよいわけです。
3.日本は将来20%になる?
日本の消費税は2019年10月1日に10%になるので、韓国、インドネシアなどと肩を並べることになります。
OECDは、日本の消費税は将来的に20~26%にすべきである、と提言しています。なぜなら日本の財政赤字の額が今や天文学的数字になり、世界経済に悪影響を与ええる恐れがあるからです。
日本の借金のことを「公債残高」といいますが、その金額は2018年度末(2019年3月末)時点で883兆円になりました。これは赤ちゃんからお年寄りまで、国民全員が1人700万円の借金を背負っている計算になります。
OECDは消費税を増税しないのであれば、他の税金を増やすか歳出削減をすべきである、とも提言しています。
日本の財政赤字の最大の原因は社会保障です。つまり医療や福祉関連のお金です。医療も福祉もお金がかかるわけです。
まとめ
欧州の人々は消費税の高い税率を許容し、アジア人は高い消費税を好まないことがわかりました。また経済が上手く回っていると消費税率が低くなり、財政運営がうまくいっていないと消費税が高くなる傾向があります。