分割払いで購入した商品は消費税増税後も8%のまま?

分割払い

ついに始まる消費税増税と軽減税率。

これから高額な買い物を考えている人は、購入後増税によって支払額が変わるのかどうかが気になっているのではないでしょうか?

特に、分割払いやリボ払いで購入予定の人は支払いが長期的に続くため、購入金額が当初よりも増えていくと一括で買ったほうが本体価格が安く済んだ、なんてことにはなってほしくないですよね。

この記事では、そんな分割払いやリボ払いなどの支払いが長期的に続くものに関しての消費税について解説していきます。

1.実店舗で増税前に分割払いで購入した場合

消費税が8%から10%に引き上げられる中で、買い物のタイミングも調整しなければならなくなります。

まずは、実店舗で増税前に分割払いで購入したケースを考えていきましょう。
購入したタイミングは「増税前」でも、分割払いを続けていく中で10月1日を跨いでしまった場合、税率はどのようになるのでしょうか。

このケースについては「商品の受け取りが行われた時点の税率が適用される」ことになります。
分割払いの最中に増税が行われたとしても、商品の受け取りが増税前であれば、分割払いの金額にかかる消費税も増税前のままなので支払額に変化はありません。

また、分割払いに商品代金以外の手数料が加算されるケースもあります。
こういった手数料については「非課税」となるため、こちらも同様に増税によって支払額が増えることはありません。

厳密な話をすると、この消費税率が決定するタイミングというのは「資産の譲渡時」と定められています。
実店舗であれば、基本的に「資産の譲渡」=商品の受け取りは購入時に行われるため、増税前に購入したものであれば、増税前の税率が適用されることになります。

しかし、細かいケースを考えると、例えば、お取り寄せ商品をお店で注文し、前払いをして後日商品が届くといった場合や、前金を一部入金するといった事例についても考えなければなりません。

このような事例に対して、国税庁では「経過措置(新制度への移行時に一時的な緩和を行うこと)」を行い対応を図っています。

細かい事例については国税庁でQ&Aを発表しています。
以下のURLから閲覧できるので気になる方はチェックしてみてください。
「平成 31 年(2019 年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に 適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A 【基本的な考え方編】」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf

また経過措置について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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2.通販で増税前に分割払いで購入した場合

実店舗だけではなく通信販売についても考えていきましょう。

実店舗とは異なり、購入と商品を受け取るタイミングにズレがあるため、増税前後で複雑になってしまう可能性があります。これについても基本的な考え方を理解しておきましょう。

通信販売において「資産の譲渡」と認められるタイミングは商品の「発送日」と判断されます。この場合、増税前に注文/購入したものが増税後に発送/納品されたというケースも考えられます。
こういった事例で適用される税率はどのようになるのでしょうか。

実は、通信販売についても国税庁から「経過措置」に関する方針が示されています。
その内容を要約すると以下の通りとなります。

  • 2019年4月1日前に販売価格などの条件を提示(または提示の準備)を完了している
  • 2019年10月1日以前(増税前)に購入の申込みを受ける

これらの条件に当てはまる場合には、たとえ商品の受け取りが増税後であっても、適用される消費税率は増税前の8%です。
つまり、増税前に購入すれば基本的に消費税率は8%が適用されると考えてよいでしょう。
分割払いで購入した場合も同様ですし、手数料についても非課税であるため増税後に支払い金額が増えることはありません。

通信販売に関して詳しく知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。

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3.リボ払いやボーナス払いで購入した場合

分割払いだけではなく「リボ払い」や「ボーナス払い」についても解説していきましょう。
こちらについても基本的な考え方は分割払いと同様です。

適用される税率は購入のタイミングによって左右されるため、増税前にリボ払いで購入したものであれば、購入後に増税の影響を受けることはありません。
リボ払いには利息が発生するものですが、こちらについても非課税なので支払い金額に変化はありません。

まとめ

消費税引き上げのタイミングでお買い物をする場合、自分が購入したものに対してどちらの税率が適用されるのかは少し複雑ですが、基本的には増税前に購入しておけば、支払い方法は問わず購入後に支払い金額が増えることはありません。

通信販売については発送日が主な基準となるので、増税前後で支払い金額が異なる場合もあります。

しかし、経過措置によって増税前の税率が適用されるケースもあるのでよく確認しておきましょう。
たった2%の増税ですが、増税前後のタイミングでまとめ買いを考えている人にとってはかなりの差になります。増税前後で適用される税率をしっかり理解して賢くお買い物をしていきましょう。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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