ハッピーセットなど、おもちゃ付き食品は軽減税率になるの?

マクドナルドの「ハッピーセット」は、おもちゃがついてくることから子供に人気のハンバーガーセット商品です。さて、ハッピーセットをお持ち帰りで購入すると軽減税率になるのでしょうか?

答えを先に紹介すると、「飲食料品の消費税は8%」というルールが適用されて、ハッピーセットは8%になります。

ただ「なぜ8%になるのか」という理由はとても複雑です。というのも、販売の仕方によっては、ハッピーセットに似たおもちゃ付きハンバーガーセットでも10%になることもありますし、8%と10%の両方が適用されることもあるからです。

また、飲食料品と飲食料品以外のセット商品である「プロ野球チップス」は、カードのほうがメインで、ポテトチップスはサブと考えられるので消費税は10%になってしまいます。

セット商品の消費税は

  • 8%
  • 10%
  • 8%と10%の両方

の3パターンにわかれますので、その内容と理由を詳しく説明します。

1.ハッピーセットのお持ち帰りの税率は?

消費税のルールでは、飲食料品は8%(これを軽減税率といいます)、飲食料品以外は10%となっています。そうだとすると、ハッピーセットのハンバーガーとポテトとジュースの消費税は8%となり、おもちゃは10%になりそうです。

しかし、マクドナルドは、ハッピーセットのおもちゃの価格を0円(無料)にしています。子供におもちゃを無料でプレゼントすれば、そこに消費税はかかりません
そのためハッピーセットは、消費税のルール上は、おもちゃ抜きのハンバーガーセットを売っているのと同じなので8%です。

ただ、ハッピーセット以外の、おもちゃ付きハンバーガーセットは、8%になることもあれば10%になることもあります。または、ハンバーガーと飲み物は8%、おもちゃ10%になることもあります。
とても複雑なので、次の章で詳しく解説します。

2.一体資産とセット販売の違い

おもちゃ付きハンバーガーセットの税率を理解するうえで、ちょっと複雑な話をしますので、少しお付き合いください。
難しいと思われた方は、この章を読み飛ばして、「3.すべて8%になる場合」に進んでいただいても大丈夫です。

まず「一体資産」と「セット販売」という言葉について説明します。
この2つは次のように定義されます。

  • 一体資産とは、飲食料品と飲食料品以外の商品が「あらかじめ」セットされていて、客が好きな商品を選ぶことができないセット商品
  • セット販売は、客が商品を選ぶ形で飲食料品と飲食料品以外の商品を組み合わせるセット商品

(1)一体資産とは

店側があらかじめ商品を限定してしまう、お菓子(飲食料品)とおもちゃ(飲食料品以外)のセット商品や、紅茶の葉(飲食料品)とティーカップ(飲食料品以外)のセット商品が一体資産です。

つまり、分けて売ることができないものであり、「一体」となって売られていますので、「一体資産」と呼ばれます。

一体資産の消費税は原則10%ですが、例外的に8%になることがあります。その線引きはあとで解説します。

 

(2)セット販売とは

セット商品であっても、一体資産の性質を持っていないと「セット販売」とみなされます。

例えば、客が自由に飲み物を選べるセット商品は、「あらかじめ」セットされているわけではないので、一体資産とは呼べず、セット販売とみなされます。
セット販売は、飲食料品と飲食料品以外の商品を組み合わせてはいますが、ただ「同時に売っているだけ」です。

よって、セット販売のときは、ハンバーガーや紅茶の葉などの飲食料品の消費税率は8%、おもちゃやティーカップなどの飲食料品以外は10%がかかります。

(3)一体資産とセット販売の違い

ハッピーセットは一体資産でもセット販売でもありません。なぜなら、無料のおもちゃは単なるプレゼントなので、飲食料品以外の商品ではないからです。
ハッピーセットは、単なる飲食料品です。

しかしハッピーセット以外のおもちゃ付きハンバーガーセットは、販売の仕方によって一体資産になったり、セット販売になったりします。

一体資産となるケース

次のように販売すれば、一体資産になります。

  • ハンバーガー、ポテト、コーラ、おもちゃA、計700円(税抜)

客はハンバーガーもポテトもジュースもおもちゃも選べません。また個々の商品の価格も表示していません。

セット販売となるケース

一方、次のように販売してしまうと、セット販売になってしまいます。

  • ハンバーガー、ポテト、オレンジジュースまたはコーラ、おもちゃAまたはおもちゃB、計700円(税抜)

これは「オレンジジュースまたはコーラ」と「おもちゃAまたはおもちゃB」となっていて、客が選ぶことができてしまいます。つまり「あらかじめ」セットされていないので、一体資産にはなりません。それでセット販売になります。

次の販売方法でもセット販売です。

  • ハンバーガー150円、ポテト200円、コーラ150円、おもちゃA 200円、計700円(税抜)

客はセットの内容を選ぶことができませんが、セット商品を構成している個々の商品の価格が表示されているので一体資産にはなりません。

3.すべて8%になる場合

すべて軽減税率8%になる場合をみておきましょう。

まず、当然ですが、すべて飲食料品の場合は8%です。
すでにご紹介した、マクドナルドのハッピーセットは、おもちゃが無料ですので、実質、すべて飲食料品であり、持ち帰りは8%になります。

次に一体資産で、8%となる場合があります。
一体資産となるセット商品の消費税が8%になるのは次の二つの条件をクリアできたときです。

  • 一体資産の税抜価格が10,000円以下
  • 一体資産のうち、飲食料品の価格の割合が全体の3分の2以上になる

例えば、おもちゃ付きハンバーガーセットを700円で販売したとします。個々の商品の価格は客には表示していませんが、店側が実際は次のように決めていたとします。

  • ハンバーガー150円、ポテト200円、コーラ150円、おもちゃA 200円、計700円(税抜)

このとき飲食料品の総額は500円(=150円+200円+150円)で700円の3分の2以上になっています。
したがってこのおもちゃ付きハンバーガーセットは、軽減税率8%が適用される一体資産となります。

ビックリマンチョコやステッキ型チョコ等

よく話題に上がるビックリマンチョコは、お菓子の部分が全体の価格の2/3以上ですので、8%で買うことができます。
ステッキ型チョコも同様です。

4.すべて10%になる場合

次に、例えば次のようなおもちゃ付きハンバーガーセットは、全体に消費税10%かかります。

  • ハンバーガー、ポテト、オレンジジュース、おもちゃ、計2,500円(税抜)
    (表示はしていませんが、それぞれの価格はハンバーガー150円、ポテト200円、オレンジジュース150円、おもちゃ2,000円とします)

個々の商品の価格を表示せず、客が個々の商品を選べないので、このおもちゃ付きハンバーガーセットは一体資産です。
そして全体の価格は10,000円以下ですが、飲食料品の価格の割合がセット価格の3分の2に達していないので、10%になってしまいます。

プロ野球チップス、グリコのおまけつき(アソビグリコ)も該当

その他にも、プロ野球チップスやパイプ型チョコなどは一体資産ではありますが、飲食料品部分(ポテトチップスまたはチョコ)の価格が全体の価格の3分の2未満と考えられるので、消費税10%がかかります
グリコのおまけつきお菓子(アソビグリコ)も同様です。

パイプ型チョコの場合、チョコを食べたあとのプラスチック製のパイプ型の容器がおもちゃになると考えられるので、飲食料品以外の商品とみなされ「3分の2のチェック」がかかるわけです。

5.8%と10%の両方になる場合

最後に、8%と10%の両方がかかる場合をみてみます。
先ほど、おもちゃ付きハンバーガーセットでも次のように販売するとセット販売になると紹介しました。

  • ハンバーガー、ポテト、オレンジジュースまたはコーラ、おもちゃAまたはおもちゃB、計700円(税抜)

セット販売なので、ハンバーガー、ポテト、オレンジジュースまたはコーラには軽減税率8%がかかり、おもちゃAまたはおもちゃBには10%がかかります。

ただこの場合、それぞれの価格がわかりません。
そのときは、それぞれの商品の価値を合理的に判断し、700円の総額を合理的に按分して、それぞれの商品の価格を決め、そのうえで8%にする商品と、10%にする商品をわけます。

「合理的に按分する」とは「常識の範囲内で決める」という意味です。
つまり「ハンバーガーは150円ぐらいだろう、ポテトは200円ぐらいだろう、オレンジジュースまたはコーラは150円ぐらいだろう、おもちゃAまたはおもちゃBは200円くらいだろう」と常識の範囲内で決めて、ハンバーガー、ポテト、オレンジジュースまたはコーラには8%をかけ、おもちゃAまたはBに10%をかけることになります。

次の販売方法は、個々の商品の価格が表示されているのでセット販売になります。

  • ハンバーガー150円、ポテト200円、オレンジジュース150円、おもちゃA200円、計700円(税抜)

この場合も、ハンバーガー、ポテト、オレンジジュースまたはコーラには8%をかけ、おもちゃAまたはBに10%をかけます。

まとめ

おもちゃ付きハンバーガーセットは、消費税が8%になるときと、8%と10%にわかれるときと、10%になるときと、3つのパターンがありますので注意してください。

そのセット商品が一体資産に該当するのか、それともセット販売になるのかで、税率が変わってきます。

整理すると、次の表のようになります。

税率 形態 価格条件
すべて8% すべて飲食料品
一体資産
(次条件を満たすもの)
・分けて売られていない
・個別の価格がない
・客が選べない
税抜10,000円以下、かつ、
食品価格が全体の3分の2以上
すべて10% 上記以外
8%と10% セット販売
(上記以外)

もし一体資産であれば、飲食料品の価格が全体価格に占める割合が3分の2以上であればセット商品を8%で買うことができます。3分の2未満であれば、セット商品を10%で買うことになります。
もしセット販売であれば、飲食料品は8%で、飲食料品以外の商品は10%で買うことになります。セット商品でも、ばらばらに買っているのと同じです。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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