タブレット型POSレジを導入して軽減税率対策補助金を受けとる方法

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軽減税率対策補助金
9月30日にて軽減税率対策補助金の申請が終了しました。

2019年10月から消費税率が10%に上がりましたが、飲食料品などの一部の商品は軽減税率8%が適用されます。このことによって飲食店や小売店などは2種類の税率を扱うことになり、業務が煩雑化します。政府はその負担を減らすために、一定の条件に合致する中小企業や小規模事業者などに「軽減税率対策補助金」を給付します。

この軽減税率対策補助金にはさまざまなメニューがありますが、iPadなどのタブレットやスマホを利用したPOSレジを「モバイルPOSレジシステム」といい、そのための専用メニューがあります。

この記事では、軽減税率に対応できる「モバイルPOSレジシステム」を導入した事業者が受けられる「A-3型:複数税率対応レジの導入等支援」(以下、A-3型補助金)について解説します。
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1.A-3型補助金の概要

A-3型補助金は、対象事業者が複数税率に対応して区分経理などを行うために、iPadなどのタブレット、スマホを利用したモバイルPOSレジシステムに関する機器を導入したり改修したりした場合に給付されます。

補助金の対象となるのはタブレット端末を含むモバイルPOSレジシステム本体とそれに関連するもの一式です。対象機器の詳細と、補助金の額についても後段で紹介します。

2.A-3型補助金の対象になる事業者

A-3型補助金を受けることができるのは、次の条件などを満たした中小企業や小規模事業者などです。金額は資本金、人数は従業員です。

業種 条件
製造業・建設業・運輸業・その他の業種 3億円以下、300人以下
卸売業 1億円以下、100人以下
小売業 5千万円以下、50人以下
サービス業 5千万円以下、100人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業
並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下、900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下、300人以下
旅館業 5千万円以下、200人以下


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3.補助対象となるモバイルPOSレジ

A-3型補助金の対象のメインになるモバイルPOSレジシステムとは、複数税率に対応したレジ機能とPOS(販売時点情報管理)機能を搭載したタブレット、パソコン、スマートフォンのことで、レシートプリンタを含む付属機器を組み合わせてレジとして機能するものです。

「複数税率に対応する」とは、10%と8%の2つの税率ごとに日次ベースなどで計算し表記することをいいます。

また対象のモバイルPOSレジシステムには、次の7項目が記載された請求書や領収書などを発行する機能を備えていなければなりません。この7項目を記載した請求書などの様式のことを「区分記載請求書等保存方式」といいます。

  • ① 請求書発行者の氏名または名称
  • ② 取引年月日
  • ③ 取引の内容
  • ④ 対価の額
  • ⑤ 請求書受領者の氏名又は名称
  • ⑥ 軽減税率の対象製品である旨の表記
  • ⑦ 税率ごとに合計した対価の額

4.補助対象経費一覧

タブレット、PC、スマートフォンなどのモバイルPOSレジシステム本体以外にも、次の経費や物品などもA-3型補助金の対象になます。

  • レシートプリンタ、またはレシートプリンタを内蔵した一体型付属機器(レシートプリンタ内蔵キャッシュドロアなど)
  • バーコードリーダー、キャッシュドロア、クレジットカード決済端末、電子マネーリーダー、カスタマーディスプレイ、ルーターなどの付属機器
  • 商品マスタ設定費、運搬費など設置に要する経費

念のため、補助対象にならない経費を紹介します。以下の項目については補助金は給付されないので注意してください。

  • 企画、要件定義に関する費用
  • ハードウェアおよびソフトウェアの保守費用、月額払いなどのサービス利用料
  • 既存レジの撤去や除去の費用
  • 会議および打ち合わせの費用
  • ハンディーターミナル、テーブルオーダー、キッチンプリンタなど
  • レジロールやレジ用インクなどの消耗品
  • 消費税
  • 手数料
  • 付属機器としての自動釣銭機
  • 補助対象となるタブレットや付属機器以外のものを設置するときに経費


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5.補助率及び補助金上限額

補助率は以下のとおりです。

タブレットなどのモバイルPOSレジシステム本体 1/2
付属機器、導入費、設置経費 3/4

例えば、30万円のモバイルPOSレジシステム本体を購入したら、その1/2の15万円が補助金として支給されます。
ただし、補助金の額には上限があり、1システムあたり20万円となっています。ただ、商品マスタの設定、機器設置に要する経費は1台あたり20万円が加算されます。

1事業者あたりの上限は200万円です。
3万円未満のレジを1台のみ購入する場合は、補助率は4/5となります。

6.期限

補助金の対象になるのは、2019年9月30日までにレジの契約が完了したもの(未設置状態でも可)に限ります。
補助金の申請受付期限は、2019年12月16日までです。

7.具体的な製品の紹介

補助金の対象となるモバイルPOSレジシステムは、軽減税率対策補助金事務局に登録している製品に限ります。
対象製品については以下のサイトのページにすべて記載されています。

【外部サイト】A-3型 モバイルPOSレジシステム 型番検索|軽減税率対策補助金

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8.申請方法、必要書類、書き方まとめ

軽減税率対策補助金の申請方法は原則、レジを購入し、申請書を作成し、郵送で提出するだけです。
ただ必要書類が多岐にわたり、これらを用意するのは「大変な事務作業」といえるでしょう。必要書類は次のとおりです。

  • 軽減税率対策補助金事務局が指定する「軽減税率対策補助金(A-3型モバイルPOSレジシステム)交付申請書」
  • 対象サービス証明書、または対象パッケージ証明書(指定サービスベンダー発行の証明書)
  • 対象サービス・対象パッケージ・タブレット等・レシートプリンタ・付属機器購入時の領収書等の費用明細
  • 飲食料品等を記載した仕入請求書、または仕入納品書
  • 振込口座が確認できる通帳等
  • 申請者が個人事業主または法人格を持たない団体等の場合:個人事業主の本人確認書類
  • 申請者が法人格を持たない団体等の場合:公募要領等の提出書類一覧に記載の書類一式
  • 設置した店舗が外食等である場合:外食等での軽減税率対象商品の取扱いの申告書
  • 導入したモバイル POS レジ(レシートプリンタ等)が 1 店舗に複数台ある場合:モバイルPOSレジに関する複数台使用状況申告書

なお、申請単位の基本パターンは1事業者が1台のモバイルPOSレジを導入・改修する場合です。

基本パターン以外では、同一の申請者(事業者)が自身が所有する複数の店舗に複数台のモバイルPOSレジを導入・改修するケースがあり、この場合は複数台分をまとめて申請することができます。

またモバイルPOSレジをリースする場合は、モバイルPOSレジを使う事業者と、モバイルPOSレジの所有者であるリース会社の共同申請となります。事業者が申請者で、リース会社が共同申請者になります。

まとめ

軽減税率対策補助金A-3型は、小売店などがモバイルPOSレジシステムなどを購入したときに支給される「お金」です。この制度を利用すればコストを抑えて最新のレジシステムを導入できます。

軽減税率は複雑な仕組みだけに、便利機能がふんだんに盛り込まれたモバイルPOSレジシステムは事業者の強い「味方」になるはずです。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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