軽減税率の対象になる一体資産とは
お菓子とおもちゃ、紅茶とティーカップなど、飲食料品とそれ以外の商品がセットで販売されていることがありますよね。このよ…[続きを読む]
飲食料品はイートインで食べるにしろ、テイクアウトで食べるにしろ、通常は容器に盛り付けたり、梱包して販売されます。特に、おせち料理の重箱、高級果物の専用の桐箱など、料理によっては特別な容器が使われています。
今回は、こうした食品の容器や容器代、包装材料等の軽減税率の扱いについて解説します。
目次
飲食料品と容器が一緒に販売される場合の税率の判定はやや複雑であり、次の3つのパターンに分けて、軽減税率が適用されるかどうかが決定されます。
それでは、どのようなケースにどのパターンが適用されていくのか、パターンごとに食器や包装材料と軽減税率の関係を解説していきます。
飲食料品と梱包材料などを合わせて軽減税率の対象となるのは、飲食料品の販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときです。分かりやすく言い換えると、「飲食品を提供するのに欠かせない梱包材料などが必要な場合」です。
ここで、もう少し厳密に定義すると、「通常必要なものとして使用される包装材料等」とは、その飲食料品の販売に付帯するものであり、通常、飲食料品が消費され、または、その飲食料品と分離された場合に不要となるものが該当します。
例えば、飲料を液体のまま販売できませんので、缶やペットボトルに入れて販売します。この場合、飲料が入っている缶やペットボトルは販売に欠かせないものとなりますので、飲食料品の一部として扱われ軽減税率8%が適用されます。
同様に、精肉や生魚を販売する際のトレイや、惣菜の容器なども飲食料品の一部として扱われます。
割り箸(ようじ付き)やスプーン、お手拭きを付帯した状態で包装されたお弁当を販売し、お客様がテイクアウトすることもあるはずです。
これらの食器具はお弁当を食べる際にのみ用いられるものであるため、その販売はこれらの食器具も含め、軽減税率8%の適用対象となります。
また、生肉や果物など高級な飲食料品を販売する際に桐の箱に入れて販売されています。この場合は、桐の箱に商品名が直接印刷されているなど、その飲食料品を販売するためだけに使用されているのなら飲食料品と合わせて軽減税率が適用されます。
一方で、容器等に商品の名称などを直接印刷したとしても、その飲食料品を販売するためにのみ使用していることが明らかでないもの(例えば、その形状や販売方法から、装飾品、小物入れ、玩具など、ほかの用途として再利用させることを前提に付帯しているもの)については、一体資産に該当します。たとえば、米俵などです。
一体資産については、後述しますが、価格条件により、軽減税率8%か標準税率10%かのどちらかに分かれます。
贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合には、飲食料品とは別に標準税率10%が課税されます。どういうことかというと、個別包装や贈答用の包装などを別料金のサービスとして提供している場合です。
例えば、1,000円の飲食料品に100円の個別包装をする場合、飲食料品は8%の税率が適用され、個別包装サービスには10%の税率が適用されます。つまり、包装サービスは包装する商品がどんなものであっても税率が変わることはありません。無料サービスでなければ、紙袋など包装の種類にかかわらず10%の税率となります。
また、事業者が商品を包装するための梱包材料を仕入れる場合、それが食品を包装する目的であっても飲食料品には該当しません。食品を提供するために梱包材料を仕入れる場合でも、軽減税率が適用されませんので注意してください。
食品と食品以外のものを販売する場合には、一体資産という考え方があります。梱包材料などを使用した一体資産とは、陶磁器やガラス食器等の容器のように、食べ終わった後に食器や装飾品等として利用できるものを包装材料等として使用している場合が当てはまります。
よく見かけるのは、陶磁器にお弁当を盛り付けたり、専用の耐熱容器に入れて焼き菓子を作って販売している場合です。飲食料品には欠かせない容器ではありますが、食べた後も、容器として再利用可能なため、一体資産とみなされます。
一体資産のうち、軽減税率8%が適用されるのは、次の2つの条件を満たすときです。
例えば、陶磁器にお弁当を盛り付けている場合、お弁当の価格が2,000円、陶磁器の価格が1,000円、合計価格が3,000円であれば、条件を満たし、お弁当と陶磁器の全体に軽減税率8%が適用されます。
一方、お弁当の価格と陶磁器の価格がどちらも1,000円で合計価格が2,000円の場合には、お弁当と陶磁器の全体が標準税率10%になります。
したがって、一体資産として販売を行うことになる場合は、必ず容器と飲食料品の価格割合を考慮し、不必要に高額な容器を使わないなどの対策を講じましょう。
飲食料品の販売には容器や梱包材料が必要となりますが、税率の判定には次の3パターンがあります。
特に、①と③の区別が難しいケースがあります(桐の箱や米俵など)。
その場合は、実際の商品を所轄の税務署に持ち込んだうえで確認したほうが良いでしょう。
容器や包装材料として何を利用するかは、価格を考慮しながら慎重な判断が必要となります。