消費税ポイント還元制度の最新情報まとめ
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消費税増税の対策として、一定期間、消費者にポイントを還元する案が出ています。ところで、実はこのポイント還元制度を悪用すると、ポイントが無限にたまる可能性が出てきます。今回は、そのカラクリについて解説します。
まずは、ポイント還元制度の概要から見ていきましょう。
ポイント還元制度とは、消費者が中小の店舗などで商品やサービス(商品券、切手、印紙、プリペイドカードなどの一部商品を除く)を購入する際に、現金での購入ではなく、キャッシュレス決済(クレジットカードや電子マネーなど)で代金を支払うと、購入額の数%程度のポイントが付与されるという制度です。
消費者へのポイント付与はクレジットカード会社などが行います。クレジット会社などは、その後ポイント負担分を国から補助されるという形です。中小企業や個人が経営する小売、飲食、宿泊などで代金を支払った場合は5%、コンビニや外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンで代金を支払った場合は2%のポイントが、還元される予定です。
ポイント還元制度の悪用でよく用いられるものに転売と循環取引があげられます。
ここでは、それぞれがどのようなものか見ていきましょう。
転売とは、購入したものを自分で消費せずに、他人に売り渡すことをいいます。インターネットの普及とともに、さまざまなプラットホームにネットショップやインターネットオークションなどが開かれるようになりました。
同じ商品でも、店によって値段が違うことを利用して、定価より安く売られている店から商品を購入し、インターネットオークションなどで他人に高い値段で売却することが、誰でも簡単にできるようになりました。今では、転売を商売や副業にして生計を立てている人もいます。
転売と同じように、購入したものを他人に売り渡していくものに、循環取引があります。
循環取引と転売の大きな違いは、購入した商品が最終的に自分に戻ってくることです。
というのも、循環取引とは架空取引の一種で、不正会計などでよく用いられる手法です。
実際には、ものは動かずに、伝票上の取引だけで売買を繰り返しています。
例えばA社とB社、C社があるとします。A社が商品を1,000円で仕入れ、B社に1,100円で伝票上の売却をします。B社はその商品をC社に1,200円で伝票上の売却をします。最後に、C社がその商品をA社に1,300円で伝票上の売却をします。これを繰り返していきます。
このように商品やお金がぐるぐる回っていき、最終的に最初の人に戻ってくる、つまり循環しているので循環取引といいます。
会社が売上を増やしたいときや資金を移動したい場合などに使われる手法ですが、そもそも商品が動かず、A社の売上ではないので、不正会計となります。
では、転売や循環取引でポイントが無限にたまる仕組みを見ていきましょう。
転売は、購入したものを自分で消費せずに、他人に売り渡すことです。
例えばAさんが100万円の商品を購入した場合、5%のポイント還元を受けたら5万円分のポイントがもらえます。その商品をAさんが消費すれば問題ありませんが、Bさんに100万円で転売すれば、Aさんは5万円分のポイントをいわば無料で受け取ることと同じになります。
もちろんBさんにも5万円分のポイントが還元されるので、国としても、2重でポイントを付与したことになります。Aさんは転売をすればするだけ、無料でポイントを受け取ることが可能になります。
循環取引も転売と手法は同じです。転売よりも悪質なのは、商品は自分の元に残ったままで、ポイント還元を受けられることです。
例えばAさんが100万円の商品を購入した場合、5%のポイント還元を受けたら5万円分のポイントがもらえます。これをBさんに書類上100万円で売却すれば、Bさんにも5万円分のポイントがもらえます。さらにBさんがCさんに書類上100万円で売却すれば、Cさんにも5万円分のポイントがもらえます。CさんがAさんに書類上100万円で売却すれば、またAさんに5万円分のポイントが付与されます。
このように循環取引を使えば、取引している会社すべてに無限にポイントが還元されていきます。
ポイント還元は、消費税の増税後の消費や景気の落ち込みを軽減させるための政策です。
転売や循環取引によるポイント還元は、本来の趣旨とは異なります。国としても放っておくことはできないため、財務省が経済産業省に対策を検討するよう要請しています。今後、どのような対策が講じられるか注視していく必要があります。
ポイント還元制度は、消費税の増税後の消費や景気の落ち込みを軽減させるための政策ですが、転売や循環取引でもポイント還元が受けられるなど、さまざまな問題を含んでおり、今後もさらに多くの問題点がでてくる可能性があります。
転売や循環取引の問題はもちろん、消費税増税とそれにまつわる話題について、ふだんから注意しておきましょう。