【調査報告】固定資産税の納付におけるキャッシュレス決済の利用状況に関するアンケート結果

固定資産税

現在、固定資産税の支払いには様々な決済方法を利用することができますが、実際にはどのような支払い方法が最も多く利用されているでしょうか。

ZEIMOではこの度、2023年/2024年に固定資産税の支払をした方を対象に、固定資産税の支払い方法についてのアンケートを実施しました。

以下に、回答結果を報告します。

  • 実施:ZEIMO 編集部
  • 回答方法:Webアンケート調査
  • 調査日時:2024-04-30 ~ 2024-05-01
  • 調査対象:
    [予備調査]全国で持ち家に住む25歳以上 99歳以下の男女(1,000名)
    [本調査]2023年または2024年に固定資産税の支払いがあった方
  • 回答者数:100人

※本調査の内容やグラフを引用・転載する際は、出典元(ZEIMO)を明記してください。

固定資産税の納付におけるキャッシュレスの普及状況はまだ途上

research_キャッシュレス決済の利用有無

2023年4月から、固定資産税を含む地方税の納付書には「eL-QR(地方税統一QRコード)」が記載されるようになり、多くの自治体で楽天ペイやPayPayといったQRコード決済アプリでの支払いが可能になりました。

eL-QRに対応している決済アプリ

  • PayPay
  • au PAY
  • ファミペイ
  • d払い
  • 楽天ペイ
  • モバイルレジ
  • 楽天銀行アプリ
    など

しかし、今回の調査結果では回答者の6割がキャッシュレス決済を利用していないと回答しています。

その要因の一つとして、納税者の世代・年代があると推測されます。

持ち家に住んでいる1000人を対象に実施した予備調査にて、2023年または2024年の固定資産税の支払いをしたと回答した595名のうち、71%にあたる422人が60代以上という結果になりました。

固定資産税を支払うのは主に、普段からキャッシュレス決済を利用していない世代が多いと言えるかもしれません。

以下、固定資産税の納付にキャッシュレス決済を利用していない回答者への設問とその回答結果です。

Q.直近の固定資産税の納付に使用した決済方法をご回答ください

キャッシュレス決済を利用していない回答者の中で、最も人気の支払い方法は口座振替による納付でした。

research_現金納付の手段

Q.固定資産税の納付にキャッシュレス決済を使ってみたいと思いますか

research_キャッシュレス決済の利用意思

固定資産税の納付にまだキャッシュレス決済を利用していない回答者のうち、今後はキャッシュレス決済を使いたいと考えている回答者が過半数を超えました。

キャッシュレス決済は、慣れてしまえば利便性が高い一方、アプリのインストール、銀行口座やクレジットカード情報の登録、電子マネーのチャージなど、最初に一定の操作・知識が必要になります。

また、ポイント還元の規約なども複雑です。

固定資産税の支払いにキャッシュレス決済を利用しない理由としては上記のような要因も関係しているものと推測できますが、一方で、現金派の中でもキャッシュレス決済へのニーズ・関心も高まっていることがうかがえます。

ZEIMOでは、キャッシュレス決済を始めるうえでの分かりやすいガイドラインや、各決済サービスの比較に役立つ記事を今後も随時提供していきます。

固定資産税の納付に最も利用されているキャッシュレス決済サービスはPayPay

research_決済サービスのシェア

固定資産税の支払いにキャッシュレス決済を利用したと回答した人のうち、PayPayを利用した人が最も多いという結果になりました。

PayPayは登録ユーザー数が6000万人(2023年10月4日時点)を超えており、飲食店、食料品店、ドラッグストア等でも利用できる店舗が多く、スマホ決済アプリの中でも知名度が高いと言えます。

eL-QRの導入前から、固定資産税の支払いに利用できる市町村が多かったこともあり、今回の調査でも利用者数一位となりました。

次点で利用者数が多かった楽天ペイは、2023年4月から固定資産税含む税金、公共料金の支払いに利用できるようになりました。楽天カードと併用することでポイント還元を受けられる点など、人気の理由となっていることが推測されます。

固定資産税の支払いにキャッシュレス決済を利用する理由はポイント還元

research_決済サービスを選んだ理由

キャッシュレス決済を利用する一番の理由はポイント還元、次点の理由は利便性という調査結果となりました。

金融機関の窓口やコンビニで納付するのと比べ、自宅にいながら24時間アプリの操作で支払いが完結するスマホ決済は利便性が高いと言えます。

ただしポイント還元については、

  • 決済サービスによって規約が異なる
  • 税金の支払いにおいてはポイント還元の条件が通常より厳しいケースが多い

など、固定資産税の支払いにキャッシュレス決済を利用しても必ずしもポイント還元を受けられるわけではなく、常に最新情報の取得が求められます。

例えば、今回の調査で最も人気のあったPayPayも現在固定資産税の支払いではポイント還元を受けられない点には注意が必要です。

その他、固定資産税の支払いにまつわるアンケート結果

Q.固定資産税は四期分割で支払っていますか、一括で支払っていますか

  • 四期分割……53名
  • 一括……47名

固定資産税は金額が大きく、一括で払うだけでなく、四期分割で支払うことも可能です。どちらの支払い方法でも支払総額に差が出ることはありません。

今回の調査では、四期分割を選択した方の方が多いという結果になりましたが、一括で支払う方も少なくないようです。

Q.あなたの固定資産税の納付額をご回答ください

  • 5万円未満……12名
  • 5万円以上-10万円未満……48名
  • 10万円以上-15万円未満……24名
  • 15万円以上-20万円未満……10名
  • 20万円以上……6名

固定資産税の支払い金額は主に、5万円以上-10万円未満の割合が多いという結果となりました。

この金額帯であれば、キャッシュレス決済を上手に使うことで、数百から千円相当のポイント還元を受けることが可能です。

Q.あなたの固定資産税を支払うタイミングについて、近いものを選んでご回答ください

  • 納付書が届いてすぐに支払った……58名
  • 期限のギリギリに支払った……18名
  • 期限を過ぎてしまった……1名
  • 上記以外……23名

固定資産税の支払いは、納付書が届いてすぐに行う方の割合が多いようです。

キャッシュレス決済を利用する場合、ポイント還元ルールの変更やキャンペーン情報などを調べるために時間がかかる一方で、納付書さえ手元にあればその場で支払いを済ませることができるため、すぐに支払いを済ませることが可能です。

一方で、支払い期限を過ぎてしまうと延滞金が発生するだけでなくキャッシュレス決済を利用できなくなるケースも多く注意が必要です。

まとめ

今回の調査結果では、2023年または2024年に固定資産税の支払いがあった方の6割が、キャッシュレス決済を利用していないと回答しています。しかし、その過半数は今後はキャッシュレス決済を使いたいと回答しており、キャッシュレス納付へのニーズが拡大していることが読み取れます。

固定資産税の支払いにキャッシュレス決済を利用したと回答した人のうち、PayPayを利用した人が最も多く、次点で楽天ペイという結果になりました。

キャッシュレス決済を利用する理由として最も多くの回答者が挙げたのは「ポイント還元」でしたが、現状、一番人気のPayPayは固定資産税の納付においてポイント還元を受けることができず、二番手の楽天ペイには0.5~2%のポイント還元を受ける方法があります。

この点が、今後の固定資産税納付に利用される決済サービスのシェアに影響を与える可能性も大きいでしょう。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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