年末調整は、会社員や公務員など給料をもらって働く人のほとんどが対象者となりますが、一部、対象にならない人もいます。対…[続きを読む]
単発バイト・日雇いバイトは年末調整が必要なの?
アルバイトをしていると年末調整が必要になることも多いですが、1日だけ単発バイトをした、日雇いバイトをしたという場合も年末調整は必要なのでしょうか?
単発バイト・日雇いバイトと、年末調整・源泉徴収の関係についてわかりやすく解説します。企業の年末調整担当者でも、アルバイトの方でも、どちらでもご覧いただける内容です。
目次
1.単発バイト・日雇いバイトは年末調整の対象ではない
年末調整で対象になる人は、簡単に書くと、次のような人です。
- 1年を通じて勤務している人
- 年の途中で就職し、年末まで勤務している人
- パートで働いている人が年の途中で退職して再就職しておらず、年収103万円以下の人
細かい内容は省略していますので、詳しくはこちらをご覧ください。
要するに、ずっと継続して勤務している人が、年末調整の対象なのです。
ということは、逆に、単発バイト・日雇いバイトは、継続して勤務していないので、年末調整の対象にはなりません。年末調整の必要はありません。
2.単発バイト・日雇いバイトでも源泉徴収はされる
単発バイト・日雇いバイトは、年末調整は必要ありませんが、源泉徴収が必要ないという意味ではありません。
源泉徴収とは、会社が従業員(アルバイト・パートも含む)に給料を払うとき、所得税を差し引いて払うことです。
どのような場合にいくら差し引くかは、国税庁が発表している「源泉徴収税額表」に書いてあります。
実は、単発バイト・日雇いバイトの人も、1日の給料がある金額を超えると、源泉徴収されます。
単発バイト・日雇い(雇用期間2ヶ月以内)の場合、こちらの「日額表」の「丙」という欄を見て源泉徴収します。
(図は令和4年版ですが、金額が変わっていませんので、令和6年以降も同じです。)
日給(交通費除く)が9,300円未満なら源泉徴収されません。しかし、9,300円以上になると、少し引かれるようになります。
日額表を見ると、9,300円以上9,400円未満の箇所は、3円となっています。つまり、その日の給料から3円引いて払うのです。給料が多くなると、引かれる金額は少しずつ多くなります。
日当がきりのよいちょうど1万円というのはよくありそうですが、1万円の場合は27円引かれます。
源泉徴収で引かれていないけど、どうなの?
「あれ、税金を引かれたことなんてないけど?」という疑問があるかもしれません。
単発バイト・日雇いバイトの給料の支払いについては、厳密でやらない会社も多く、また、源泉徴収の必要性をそもそも知らない会社も多いです。そのため、源泉徴収されないことも多々あるかもしれません。
そもそも、1万円の給料から27円引いて9,973円払うほうが、小銭を用意するのに面倒なので、あえてやらないかもしれません。
ただ、源泉徴収の義務は会社側にあります。会社は税務調査に入られたとき、源泉徴収していないこと指摘されて追徴課税されるおそれはあります。
一方、労働者側は特に何も追及されることはありませんので、ご安心ください。
3.源泉徴収されてたら確定申告で税金を取り戻す
いちおう所得税の規則通りに給料が支払われていたら、一回でも9,300円以上の給料の日があった場合は、源泉徴収されていることになります。
少ない金額とはいえ、税金を払っているわけですので、取り戻したいところですよね。
1年間の給与収入が103万円以下であれば所得税はかかりません、0円です。仮に、103万円を超えていても、給与収入が少なければ、所得税の金額は少ないです。
そんなときは、自分で確定申告をすれば、源泉徴収で差し引かれた税金が戻ってくる可能性があります。
翌年の3月15日までに税務署に行って、確定申告をしましょう。その際に、バイト先から発行される「源泉徴収票」を持参します。
4.源泉徴収票は、単発バイト・日雇いバイトでも発行される
「源泉徴収票」とは、こんなものです。
その会社から年間でいくら給料を払ったか、税金をいくら引いたかが書かれています(こちらは会社員の場合の例ですが、単発バイト・日雇いバイトでも同じです)。
この情報をもとに、確定申告で、自分の収入とすでに引かれた所得税を申告するのです。
源泉徴収されてなくても、源泉徴収票は発行される
「源泉徴収されていないと、源泉徴収票は発行されない、発行しなくていい」という誤解があるようですが、これは間違いです。
源泉徴収されていなくても、その年に1円でも給料が支払われていたら、会社は労働者に対して源泉徴収票を発行する必要がありますし、これは任意ではなく義務です。
なぜなら、源泉徴収票を発行することで、源泉徴収していない(所得税を1円も引いていない)という証明にもなるからです。源泉徴収票がないと、所得税を引かれているのか引かれていないのかもわからず、正確な確定申告ができないのです。
本来は、会社は、その年に一回でも働いた労働者全員に源泉徴収票を発行すべきなのですが、連絡先がわからないとか、面倒だとかいう理由で、実際には、労働者から要求されたときだけ発行することが多いかもしれません。
気づかないうちに源泉徴収されていることもある!
実は、気づかないうちに源泉徴収されていることもあります。
さきほど、1万円の給料なら27円差し引く必要があるという話をしました。すると、手渡す金額は9,973円ですが、会社からすると小銭を用意するのは面倒です。
そこで、給料を10,027円払ったことにすれば、27円引いて、手渡す金額は、ちょうど1万円ですみます。
労働者にはそのことを伝えていないかもしれませんが、会社の経理では、10,027円払ったことにしている場合もあります。
こういうケースでは、源泉徴収票を発行してもらって初めて気づくことになります。年収103万円以下なら、源泉徴収された税金は全部取り戻せるのですから、翌年になったら、会社から必ず源泉徴収票を発行してもらうようにしましょう。
アルバイトの源泉徴収と源泉徴収票については、詳しくはこちらをご覧ください。
単発・日雇いバイトと年末調整についてよくある質問
単発バイト・日雇いバイトでも年末調整が必要ですか?
単発バイト・日雇いバイトでは、継続して勤務していませんので、年末調整は不要です。年収103万円以上だったり、所得控除を受けたいなら、自分で確定申告をします。
単発バイト・日雇いバイトでも源泉徴収されますか?
1日の給料が9,300円以上になると源泉徴収されます。差し引かれた税金は確定申告で取り戻せる可能性があります。