インボイス制度が廃止・延期になる可能性はあるの?

  • インボイス制度を廃止してほしいが、どうなっているの?
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そんな切実な疑問をお持ちの方に向けて、現状の、インボイス制度の廃止・延期の動向について解説します。

1.インボイス導入はいつ決まったの?

インボイス制度は安倍政権時代、2016年度(平成28年度)の税制改正で導入が決定されました。

実は、もともとは、インボイス制度は、2021年4月から開始予定でした。
ただ、2016年11月、消費税増税の延期が決定されましたので、インボイス開始も、2023年10月に延期されました。

そして、2018年度(平成30年度)の税制改正で詳細が決定され、法令に記載されました。(「消費税法施行令等の一部を改正する政令」(平成30年政令第135号))インボイスについては新消費税法第57条の4にその内容が定義されています。

【参照】軽減税率制度・適格請求書等保存方式 参考条文等

2016年といえば、みんなが、消費税10%増税やめてとか、軽減税率どうなるのとか、騒いでいた時期ですが、インボイスのことなんて、ほとんど誰も知りませんでしたよね。

国会では、国民があまり気づいていないうちに、インボイス導入を決定してしまったのです。元、安倍首相が悪者のようですが、実際には、財務省や国税庁がバックで強い圧力をかけていたようです。

インボイスは軽減税率とセット

インボイス制度は、実は、軽減税率とセットで導入されるものです。

本来、同時期に導入すべきものでしたが、そうすると影響が大きくなりますので、インボイス制度導入は、軽減税率導入の4年後になりました。

インボイス 軽減税率

軽減税率が導入され、税率が2つ以上になると、どちらの税率か区別する必要があります。

そのため、正確な消費税率と消費税額を把握するために導入されるのが、インボイス制度なのです。

つまり、インボイス制度を廃止するためには、軽減税率も廃止する必要があります。

インボイス制度は廃止されないの?

インボイス制度と軽減税率はセットですので、軽減税率を廃止しない限り、インボイス制度は廃止されないでしょう。
(詳しくは、下記の記事をご覧ください。)

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しかし、現時点では、軽減税率を廃止するような議論はまったくなく、インボイス導入も、決定事項となっています。国会で議案が提案され、審議可決され、消費税法という法律にしっかり記載されてしまいました。

すでに、2021年10月1日から、事業者登録も始まっています。なので、延期や廃止をするには、国会議員を動かして、法律を変えるしかありません。

法律を変えるためには、国民が声をあげることが重要ですね。ヤバイ、仕事なくなるかもとか、インボイス廃止してとか、声をあげると、国会議員は、選挙で私たちから選ばれる人たちですので、選挙もあるし、国民の意見を聞いておこうかと、耳を傾けてくれるかもしれません。

具体的に、延期や廃止を要求して、反対活動をしている団体を紹介していきます。

2.インボイス廃止(中止)・延期を求める声

インボイス制度には政党や各種団体、フリーランスや個人事業主から多くの反対意見があがっています。

政党

まずは各政党の見解を見てみましょう。

政党立場見解
自由民主党推進免税事業者への影響を最小限にするため、移行までの十分な準備期間と経過措置等の対策を講じる。
公明党推進消費税転嫁拒否を防ぐために必要な制度である。免税事業者への影響は経過措置や簡易課税制度の利用によって軽減できる。
社民党推進インボイス制度は歓迎。しかし、簡易課税制度の拡大や、経過措置の延長などの対策を講じるべき。
日本維新の会推進
(延期も検討)
インボイス制度は必要な制度である。しかし、新型コロナの影響を考慮し延期も検討すべき。
立憲民主党反対インボイス制度を導入しなくても、適正な課税が可能と判断したため、廃止法案を提出した。
日本共産党反対免税事業者は消費税を転嫁できておらず、そもそも「益税」はほとんど発生していない。インボイスの導入は中止すべき。
国民民主党反対コロナ禍の影響が収束するまで事業者の消費税を免除。インボイス制度は導入しない。
社民党反対 
れいわ新選組反対消費税自体を廃止すべきである。

これを見ると、自民党、公明党の与党に加え社民党が明確な賛成派と言えます。また、日本維新の会も延期を検討すべきとしつつもインボイス制度自体は必要であるとしています。

一方、明確に反対しているのは立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党、れいわ新選組の5党です。

立憲民主党は、当初は、コロナ禍が過ぎるまで延期すべきと表明していましたが、インボイス制度を導入しなくても、適正な課税が可能であることがわかったため、2022年3月30日、廃止法案を国会に提出しました。

日本共産党は、2022年5月30日、「消費税減税・インボイス中止法案」を参議院に提出しました。「今まで、消費税減税を国会質問などで求めてきたが、物価高が国民の暮らしを大変苦しめている状況のなか、法案を提出し、さらに強く政府に減税を求めると」いうことです。

業界団体

また、各種団体からも反対意見が多数あがっています。日本商工会議所や日本税理士会連合会をはじめ、様々な業界団体がインボイス制度への反対を表明しています。

  • 日本税理士会連合会
  • 東京税理士政治連盟
  • 東京商工会議所
  • 全国青色申告会総連合
  • 全国商工団体連合会
  • 全国建設労働組合総連合
  • 全国中小企業団体中央会
  • 中小企業家同友会全国協議会
  • 全国青年税理士連盟

主な団体をいくつか詳しく紹介します。

日本税理士会連合会

全国15の税理士会が集まったもので、会員数は79000人。なんと、税理士が反対しているんです。

税金に一番詳しい税理士が反対している、しかも、個人ではなく、全員が所属する連合会が反対していることは、とても意義があることだと思われます。

具体的には、インボイス制度の見直しと、延期を要求しています。その理由としては、

  • 事業者の事務負担が増える
  • 廃業のおそれがある
  • 公平性がない

というものです。

東京税理士政治連盟

東京税理士会を基盤とする政治団体です。凍結または廃止を要求しています。

東京商工会議所

東京23区内の商工業者で構成され、会員数は80000社です。フリーランス・個人事業主の人も、補助金や融資の相談で、何かとお世話になるところです。凍結を要求しています。

全国青色申告会総連合

全国で約4200の青色申告会があり、会員数は約109万人です。フリーランス・個人事業主がたくさん所属しています。こちらは、廃止を要求しています。

全国商工団体連合会

こちらは、インボイス反対のリーフレットを作成して呼びかけ、インボイス制度の中止を求める署名を推進しています。

個人事業主・フリーランス

業界団体だけでなく、個人事業主やフリーランスの中にも声をあげている人は多数います。

フリーランス協会が「インボイス制度導入によるフリーランスへの影響・不利益を最小限とするための取組み要請」を申し入れたほか、個人レベルでもSNSやブログで廃止を求める運動を行っている方もいます。

様々な方面から反対意見が噴出していることからも、インボイス制度が与える影響の大きさが分かります。

3.インボイスに反対するには?

インボイス制度に反対と思っている人は、反対している人をただ見守るだけでなく、自分も行動することが重要です。

インボイス制度を延期・中止するには、国会議員に意見書などを提出し、その結果として延期・中止の法案が提出され可決される必要があります。個人の力だけでは難しいですが、反対意見を集めて力を合わせれば可能性が生まれるかもしれません。

インボイス制度に反対するには、具体的にどうすればいいかを、いくつかあげていきます。

署名

まず、オーソドックスな方法として、署名があります。こちらは、全国商工団体連合会がホームページで掲載している、署名のフォーマットです。インボイス反対の署名をして送付します。

【参照】全国商工団体連合会:要請・嘆願書

100万ボイスアクション

消費税廃止各界連絡会(各界連)が主催していて、消費税減税とインボイス制度の実施中止を求めています。

具体的には、郵便はがきに自分の氏名・住所とメッセージを記入して、内閣総理大臣と財務大臣宛に送ります。
はがきの書式は、全国商工団体連合会のHPよりダウンロード可能です。

【参照サイト】全国商工団体連合会:各界連は「100万ボイスアクション」を提起

インボイス 100万ボイスアクション

インボイス 100万ボイスアクション

キャンペーンに賛同

次に、インターネット上で実施されている、キャンペーンに賛同するという方法があります。たとえば、change.orgというサイトで募集している、ストップインボイスというキャンペーンです。

財務省・国税庁・内閣府に抗議の文章を届けます。アカウントを作成後、ログインして、賛同ボタンをクリックするだけです。

【参照】change.org:《STOP!インボイス》多様な働き方とカルチャーを衰退させるインボイス制度に抗議します

SNS・ブログ

次に、SNSやブログで発信する方法です。

TwitterなどのSNSやブログで、インボイス反対を表明している、個人事業主・フリーランス・税理士など、たくさんの人たちがいます。これなら、誰でも今すぐ簡単にできますので、やってみてはいかがでしょうか。

国会議員で、Twitterで活動している人も多いので、直接メッセージを送ってみても良いかもしれません。

過去、消費税10%増税は2回も延期された

インボイス制度が延期・廃止になるかどうかは、国民の意見次第だと思います。

たとえば、消費税の増税は民主党政権時代の2012年に「消費増税法」として成立しました。消費増税法では「2015年10月に消費税を10%に引き上げる」との記載がありましたが、実際に消費税が10%に上がったのは2019年10月からです。その間、経済的な影響を理由に消費税増税が2回延期されました。

このように、法律に明記されたとしてもその後の景気動向や世論などによって実施が延期されることも有り得るのです。

インボイス制度についても、国民の大半が反対なら、再考せざるを得ないと思います。なぜかというと、国会議員は、選挙に影響が出るのをおそれますので、国民の大半の意見であれば、その意見を尊重するからです。

国民全体に問題意識を持ってもらう必要がある

ただ、現実をちゃんと見ておく必要があります。

全国の有権者数は、約1億500万人ですが、そのうち、免税事業者は、個人と法人合せて、約500万です。全体から比べると、非常に少ないですね。

これでは、免税事業者がどんなに意見をいっても、かき消されてしまうかもしれません。ですので、一般消費者にも、影響があることを理解してもらう必要があると思われます。

「STOP!インボイス」というサイトでは、お店に貼れるロゴをダウンロードできますので、お店を出している人は、これをお店に貼って、消費者にも、問題意識を持ってもらえるといいかもしれません。

【参照】STOP!インボイス

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに850以上作成(2021年時点)。
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