確定申告を税理士に依頼する場合の費用相場は?

税理士

確定申告は基本的には自分で行うものですが、どうしても難しい場合は税理士に依頼することも可能です。

この記事では、税理士にお願いしたいけれど、費用がどのくらいかかるか不安に思っている方に向けて、

  • 税理士の費用の決まり方
  • 税理士の費用の相場

をお伝えします。

1.税理士の費用はどうやって決まる?

税理士に確定申告を依頼する際、どのような基準で費用が決まるのでしょうか?

税理士に支払う報酬には明確な基準がないため、明確に正解を示すということはできません。しかし、多くの税理士は以下の4つのポイントで料金を決定していると言えます。

  1. 売上規模
  2. 訪問回数
  3. 記帳代行の有無
  4. 作業の難易度

売上規模

一般的に売上規模が大きければ大きいほど事業の取引量が増えると考えられます。したがって、その分税理士の作業負担も増えることが予想されるため、確定申告費用も上がります。

開業初年度の場合はだいたいの売上目安を元に報酬を決定するか、年間の売上高が確定した時点で報酬を決定するなど、税理士によって対応は異なるでしょう。

訪問回数

税理士と契約すると、会計事務所の担当者が定期的に訪問するというサービスが付きます。定期的な訪問を受けることで節税のアドバイスや資金繰りの相談、その他事業に関する様々な相談をすることが可能となります。

訪問サービスを受ける場合、その訪問頻度によって費用が変わります。当然、訪問が多ければ多いほど費用は上がると考えてください。
なお、訪問ではなく自分から会計事務所に出向いて相談するサービスや、電話やメール相談のみ等、税理士によって設けているサービスには差があります。

記帳代行の有無

日々の取引を会計ソフトに記帳してくれる「記帳代行」の有無は確定申告の費用に大きく影響します。記帳代行料は仕訳量に応じて変動し、「仕訳量=取引量」が多ければ多いほど料金は上がります。

自分自身で記帳作業を行えば確定申告費用は抑えることができますが、経理作業に時間を取られるうえミスの可能性も上がります。経理スタッフを雇うよりは安価に済みますので、事務作業に時間を割けない方は依頼した方が無難です。

作業の難易度

最後に、その確定申告の難易度によってプラスアルファの料金を設定している税理士も存在します。一般的に難易度が高いとされるのは以下のようなケースです。

  • 特殊な業種である場合
  • 輸出入をメインに行う事業である場合
  • 確定申告期限間際の依頼

税理士と言えども特殊な業種の確定申告は慣れないものです。規定の確認等に時間を要するため、その分、確定申告費用が上がることもあります。また、輸出入をメインで行う事業者は消費税の処理が複雑となるため、費用が上がることもあります。

それ以外に確定申告期限間際の依頼に対してプラス料金を設定している税理士もいます。確定申告の依頼は余裕をもって行いましょう。

2.確定申告・決算の費用の相場

確定申告を税理士に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのか、相場が気になる方が多いと思います。

確定申告の料金は税理士によってかなりの幅があるので明確に相場を示すのは困難です。さらに、下記の要素によっても税理士費用は変動します。

  • 記帳代行の有無
  • 顧問契約の有無
  • サラリーマンの副業、個人事業主の違い
  • 青色申告/白色申告の違い

それぞれのケースにおける確定申告の相場を解説していきます。

記帳代行の有無による確定申告費用の相場比較

税理士との契約内容には記帳代行を自分自身で行う契約と、記帳代行を税理士に依頼するいわゆる「丸投げ」の2パターンがあります。なお、下記の表は顧問契約を結ばない場合の相場を示しています。

売上規模 確定申告費用
記帳代行なし 記帳代行あり
500万円未満 3万円~5万円 5万円~10万円
1,000万円未満 5万円~10万円 10万円~20万円
3,000万円未満 10万円~20万円 20万円~30万円
5,000万円未満 20万円~25万円 30万円~40万円
1億円未満 25万円~30万円 40万円~50万円
1億円超 応相談

表の通り、記帳代行の有無によって料金が異なります。当然、記帳代行を依頼した方が料金は高くなりますが、事業の規模が大きくなると記帳代行を自分自身で行うのはかなり手間がかかります。
経費の判断に専門的な知識が必要となる可能性も高くなるため、アウトソーシングしてしまった方が結果として得になるケースも多いでしょう。

顧問契約の有無による確定申告費用の相場比較

税理士との契約には「顧問契約」を締結するパターンが多いと言えます。顧問契約による税理士のサービスは税理士によって異なりますが、各種税務署対応に加えて定期的な経営状況の報告、資金繰りのアドバイスや節税指南などのサービスを受けることができます。

一般的に、顧問契約ありの場合よりも、顧問契約なしで確定申告のみ依頼するほうが費用が高くなります。
顧問契約なしの場合には、税理士は月々のクライアントの状況を把握できておらず、確定申告の際に1年分を一気に処理することになりますので、費用が高くなるのです。

それぞれの相場は下記の表を参照してください。なお、記帳代行料を含んだ相場を示しています。

売上規模 確定申告費用
顧問契約なし 顧問契約あり
500万円未満 5万円~10万円 3万円~8万円
1,000万円未満 10万円~20万円 5万円~10万円
3,000万円未満 20万円~30万円 10万円~20万円
5,000万円未満 30万円~40万円 15万円~25万円
1億円未満 40万円~50万円 20万円~30万円
1億円超 応相談

法人は税理士と顧問契約を締結するのが一般的です。ただし、個人事業主については顧問契約を結ばないケースも多いため、必要となるサービスを見極めて契約を結びましょう。

サラリーマンの副業、個人事業主の確定申告費用の相場比較

確定申告を依頼する方の中には「サラリーマン(会社員・公務員など)の副業として事業を行っている」という方もいるでしょう。このように、サラリーマンの副業の確定申告をする場合と、個人事業主の確定申告には相場に違いがあるのでしょうか?

結論から言うと、副業であっても先ほど示した個人事業主の相場と大差はないと言えます。副業であっても個人事業主であっても、事業規模が同等であれば税理士が確定申告を行う作業量にほとんど違いがないためです。

ただし、副業の規模が小さい場合「事業所得」ではなく「雑所得」として申告する可能性が高いといえます。
雑所得の申告は事業所得の申告より税理士の作業量が少なく済むため、その場合は3万円程度で依頼ができると考えてください。

個人事業主と法人の確定申告相場比較

個人事業主の方にとって、個人事業として事業を続けるのか、法人を設立して事業を行うのか悩んでいる方もいると思います。どちらにも一長一短ありますが、法人化するタイミングを間違えると思わぬ損を招きかねないため、必ず税理士に相談するべきです。

また、個人事業主と法人では税理士費用も異なります。一般的に法人の方が必要となる作業が増えるため税理士費用も高くなる傾向にありますが、概ね顧問契約を締結している個人事業主とそこまで大きくは変わらないと考えて良いでしょう。

それぞれの費用の相場をまとめましたので、法人化を検討する際のひとつの材料として参考にしてください。

売上規模 個人事業主
(顧問契約なし)
個人事業主
(顧問契約あり)
法人
500万円未満 5万円~10万円 10万円~20万円 10万円~20万円
1,000万円未満 10万円~20万円 20万円~30万円 20万円~30万円
3,000万円未満 20万円~30万円 30万円~40万円 30万円~40万円
5,000万円未満 30万円~40万円 50万円~60万円 50万円~60万円
1億円未満 40万円~50万円 60万円~70万円 60万円~70万円
1億円超 応相談

青色申告/白色申告の確定申告費用の相場比較

個人事業主の確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
それぞれの違いを簡単に説明すると、青色申告は「複式簿記」が必須となり、白色申告は「単式簿記」による処理が認められています。複式簿記による青色申告は作業が複雑となる代わりに、青色申告の最大65万円控除や、損失を3年間繰り越せるといったメリットがあります。

白色申告による確定申告の場合、作業量が青色申告よりも少なく済むことが多いため、料金を分けて設定している税理士もいます。

個人事業主の白色申告の確定申告費用相場は、5万円~10万円程度と考えてください。ただし、白色申告であっても売上規模が1,000万円を超えるようなケースでは青色申告と同等の確定申告費用がかかる可能性もあります。

3.月額顧問料の相場

先ほど「顧問契約の有無」による確定申告費用の比較を行いましたが、ここでは顧問契約の内容ごとに税理士費用の相場をより詳しく解説します。

顧問契約の費用は一般的に「売上規模」「訪問回数」によって変わります。さらに、記帳代行の記帳代行の有無によってプラス料金がかかる可能性があります。詳細は税理士のホームページ等で確認しましょう。

売上規模 訪問回数ごとの顧問料(月額) 記帳代行料(月額)
年12回 年6回 年3回 年1回
1,000万円未満 2万円~3万円 2万円~2.5万円 1.5万円~2万円 1万円~1.5万円 左記にプラス5千円~1万円
3,000万円未満 2.5万円~3.5万円 2.5万円~3万円 2万円~2.5万円 1.5万円~1万円 左記にプラス5千円~1万円
5,000万円未満 3万円~4万円 3万円~3.5万円 2.5万円~3万円 2万円~2.5万円 左記にプラス1万円~1.5万円
1億円未満 3.5万円~5万円 3.5万円~4.5万円 3万円~4万円 2.5万円~3万円 左記にプラス1.5万円~2万円
1億円超 応相談

4.その他の業務の相場

税理士に依頼できる業務にはここまで紹介してきたサービス以外にも様々なものがあります。
ここからは、年末調整・給与計算・記帳代行を税理士に依頼した場合の相場を紹介します。

年末調整費用の相場

年末調整を税理士に依頼する場合の費用は、「社員数」に応じて変動するのが一般的です。

年末調整料金は「基本料+従業員数」で設定されているのが一般的です。基本料金の相場は1万円~3万円、プラス従業員数×1,000円~2,000円ほどの料金がかかります。

年末調整費用の相場は下記の表の通りです。

従業員数 年末調整費用
3人以下 10,000円~30,000円
10人以下 20,000円~50,000円
20人以下 40,000円~70,000円
30人以下 60,000円~90,000円
50人以下 80,000円~150,000円
100人以下 100,000円~

給与計算費用の相場

税理士法人の中には、社内に社労士が在籍していたり、外部の社労士と提携して給与計算業務を行っている場合があります。給与計算の相場料金は年末調整と同様、従業員数が基準となります。

一般的に「基本料金5,000円~20,000円」「従業員一人につき500円~1,000円」が相場と言えるでしょう。

記帳代行費用の相場

記帳代行作業を税理士に依頼する場合、月間の仕訳数に応じて料金が変動するのが一般的です。多くの税理士は記帳代行に下記のようなプランを設けています。

  • 一部を依頼するコース: エクセル等に現金出納帳を作成するなど、顧客側で多少の集計作業が必要
  • 丸投げコース: 領収書や通帳のコピー等をそのまま税理士に送付し、記帳代行の全てを税理士が行う

それぞれのコースごとの記帳代行料の相場は下記の通りです。

月間仕訳数 記帳代行費用(月額)
一部を依頼 丸投げ
30仕訳 750円~1,000円 1,500円~2,000円
50仕訳 2,500円~5,000円 5,000円~10,000円
100仕訳 50,000円~7,500円 10,000円~15,000円
150仕訳 7,500円~10,000円 15,000円~20,000円
200仕訳 10,000円~12,500円 20,000円~25,000円
250仕訳 12,500円~15,000円 25,000円~30,000円
300仕訳 15,000円~20,000円 30,000円~40,000円
400仕訳 20,000円~35,000円 40,000円~70,000円
500仕訳 25,000円~40,000円 50,000円~80,000円
500仕訳超 応相談

税理士によって異なりますが、記帳代行の一部を顧客側で負担する場合、丸投げコースの半額ほどの料金となることが多いようです。

まとめ

確定申告の税理士費用はどのように決まる?

税理士の費用は、主に次の要素によって決まります。

  • 売上規模
  • 訪問回数
  • 記帳代行の有無
  • 作業の難易度

ただし、税理士事務所によって、いろいろな費用体系がありますので、それぞれの税理士を比較してみると良いでしょう。

確定申告を税理士に頼む場合、費用の相場はいくら?

税理士の費用は売上規模や訪問回数、記帳代行の有無、作業の難易度によって変わりますが、あくまで目安としては下記の通りです。

  • 売上規模500万円未満……5万~
  • 売上規模1,000万円未満……10万~
  • 売上規模3,000万円未満……20万~
  • 売上規模5,000万円未満……30万~

全国の税理士紹介

参考までに、下記の姉妹サイトにて、全国の税理士を紹介しています。
掲載されている税理士は相続税申告がメインですが、年末調整をはじめ、決算申告など、それ以外の業務でも依頼を受けつけています。お近くの税理士にご相談されると良いでしょう。

関連姉妹サイト
監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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