マイナンバー通知カードが廃止、再発行や住所変更が不可に

「マイナンバー通知カード」が、2020年5月25日、ひっそりと廃止されました。

なぜ通知カードが廃止されたのか、そして、通知カードの廃止で何がどうなるのかを紹介します。

1.マイナンバー通知カードが廃止

マイナンバー通知カード(個人番号通知カード、通知カード)は、マイナンバーが付与されたときに、総務省から送られてきた薄緑色の紙製のカードです。
「マイナンバーカード」(個人番号カード)とは別のものです。

マイナンバー 通知カード

(1)いつ廃止されたの?

2020月5月24日までは有効で、2020月5月25日以降、通知カードは廃止されました。

(2)なぜ廃止されたの?

通知カードの修正が面倒

国が通知カードを廃止した動機は、「変更した氏名や住所を通知カードに記載することが面倒だったから」とされています。

通知カードが有効だったころ、本人が引っ越しなどをして住所が変わると、通知カードの裏面に新住所を書かなければなりませんでした。

わざわざ市区町村役場に出向いてその申請をする本人も、その作業をする市区町村職員も手間がかかっていました。

マイナンバーカードを普及させるため

もう1つの廃止の動機は、マイナンバーカードを普及させることです。

通知カードには「マイナンバーを証明する書類」としての機能が備わっていました。
そのため、就職時など勤務先等に通知カードを提示する人が多く、わざわざマイナンバーカードをつくろうという人が、国が思っていたほど増えませんでした。マイナンバーカードは、本人が手続しなければ発行されません。

国は、マイナンバーカードに搭載されたIT機能で、行政の効率化などを図ろうとしています。そのために巨額の予算を投じてきました。

マイナンバーカードを活用するには、国民にマイナンバーカードを持ってもらわなければなりません。
通知カードを廃止すれば、多くの国民がマイナンバーカードの発行手続きをしてくれるだろう、と考えたわけです。

2.通知カード廃止でも、そのままできること

マイナンバーの証明書としての利用

通知カード制度が廃止されても、通知カードの記載内容に変更がなければ、そのまま「マイナンバーを証明する書類」として使うことができます

ただし、結婚などで氏名が変わったり、引っ越して住所が変わったりしたら、マイナンバーの証明書としては使えなくなります。

注:
証明書としての利用について、通知カードでできるのは、マイナンバー(個人番号)の証明だけです。
身分証明には利用できませんので、別途、運転免許証など顔写真つきのものが必要です。

マイナンバーカード申請での利用

通知カードの下の部分に「個人番号カード交付申請書」がついていて、ここに23桁の「申請書ID」と「QRコード」があります。
これを利用して、スマホやパソコンでのマイナンバーカードの申請が可能です。

転居で住所が変わったり、結婚で姓が変わったりしていても、そのまま利用が可能です。

個人番号カード交付申請書

3.紛失時の再発行や住所変更ができなくなります

通知カードの廃止により、次の3つのことができなくなりました。

  • 生まれてきた赤ちゃんなどに通知カードを新規に発行する
  • 紛失時などに通知カードを再発行する
  • 通知カードの氏名や住所を変更する

通知カード紛失時の再発行や住所変更はできませんが、そもそも廃止されましたので、その必要はありません。

マイナンバーが記載されたカードとしては、今後は、マイナンバーカードを作成することになります。

4.通知カードを紛失したときのマイナンバーの確認方法

通知カードをなくすなどして、そこに書いてあった12桁のマイナンバーを忘れてしまっても、「マイナンバーが記載された住民票の写し」で確認することができます

住民票の写しは、市区町村役場で入手できます。

ポイントは、「マイナンバーが記載された」住民票を入手することです。

窓口で申請する場合は、必ずチェックボックスがありますので、忘れずにチェックしましょう。
(下図は、新宿区の例)

新宿区 住民票等の請求書

5.マイナンバーの通知方法

これまでは、生まれた赤ちゃんなどにマイナンバーが付与されると、通知カードが届いていましたが、廃止によってそれが届かなくなります。
そこで、新規にマイナンバーが付与されると、本人のところに「個人番号通知書」が届くようになりました

通知カードと個人番号通知書は、名前が違うだけでなく「書類としての位置づけ」も異なります。

通知カードはマイナンバーの証明書としての効力を持っていましたが、個人番号通知書は、本人にマイナンバーを知らせるだけの紙なので、マイナンバーの証明書にはなりません。

6.通知カードがないときのマイナンバーカードの作成方法

マイナンバーカードを作るには、本来は通知カードが必要ですが、通知カードが廃止されたため、通知カードを紛失してしまったら再発行はできません。

ただ、通知カードがなくてもマイナンバーカードの作成は可能です。

方法1:市区町村役場で申請書IDを入手する

市区町村役場で申請書ID(数字23桁)の入った申請書をもらえば、パソコンでも、スマホでも郵送でも、マイナンバーカードの発行を申請することができます。

方法2:手書きの申請書を利用する

手書きの申請書の様式を、マイナンバー公式サイトからダウンロードして印刷し、マイナンバーカードの作成手続きをすることができます。そのとき、申請書にマイナンバーを書かなければなりません。

しかし、通知カードを紛失していると、マイナンバーがわからなくなっているでしょう。
その場合は、市区町村役場で、「マイナンバー記載の住民票の写し」を申請し、そこに書いてあるマイナンバーを、手書きの申請書に書き写します。

まとめ

2020年5月25日、マイナンバーの通知カードが廃止されました。

通知カードが廃止されても次のことは、そのまま可能です。

  • 証明書として利用する(住所・氏名が変わらない場合のみ)
  • マイナンバーカード作成に利用する

一方、次のことはできなくなりました。

  • 新生児などに通知カードを新規に発行する
  • 紛失・盗難などで、通知カードを再発行する
  • 通知カードの氏名や住所を変更する

今後は、マイナンバーカードを作成して利用します。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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