新型コロナウイルスで保険金はおりるのか?

保険

新型コロナで病状とともに気になるのが、入院や診療の費用は保険の支払い対象なのか?仕事を休んだ場合はどうなるのか? など確認しておきたいお金のこと。

今回は様々な保険の新型コロナへの対応をまとめていきます。

1. 疾病を保障する保険(生命保険や医療保険等)

生命保険会社などで取り扱っている生命保険や医療保険の新型コロナに感染した場合の取り扱いは、どうなっているのでしょうか?

(1) 入院給付金

新型コロナ感染症は、保険金の支払い対象となる「疾病」に該当します。
そのため、医療保険や入院保険などの入院給付金は検査により陽性と判定されたか否かに関わらず、 医師の指示によって医療機関に入院している場合は支払われます。

医療機関の事情により、感染後に入院が出来ずに自宅やホテルなどで治療を受けた場合のみなし入院も支払の対象となります。

(2)検査費用の取り扱い

医療保険や医療給付では検査を受けた場合は給付要件とならず、入院であれば日数に応じて給付の対象となります。
しかし、新型コロナの検査で用いられるPCR検査は3月から公費負担のため、自費での費用負担は発生しません。

(3)オンライン診療や電話による診療の取り扱い

公費負担により自費の負担は発生しませんが、オンライン診療も通常の診療と同様に扱うこととされています。
【参照】公益社団法人 東京都医師会

(4)死亡保険金

通常の疾病と同じように新型コロナによる死亡も支払の対象になります。災害割り増し特約については個々の保険会社により、対応が異なりますが、割増の対象に含める保険会社が増えてきています。
詳しくはご契約の各保険会社にご確認ください。

(5)海外旅行保険

海外旅行中に新型コロナの影響により、治療や救援者の費用負担が発生した場合は、海外旅行保険の「治療・救援費用補償」や「疾病治療費用補償」、「疾病死亡保険金」は給付対象となります。

ただし、例えば「責任期間終了後、72時間以内に治療開始や感染が確認された場合」など潜伏期間と責任期間には一定の期限が設けられていますので、留意しましょう。

また、海外渡航中止勧告後の契約など契約時期によっては、支払いの対象とならない場合があります。詳細はご契約の保険会社にご確認ください。

2.傷害や休業を補償する保険(損害保険など)

(1)傷害保険

新型コロナによる肺炎は傷害には該当しませんので、傷害保険の支払い対象にはななりません。

ただし、特定疾病感染症危険補償特約が付いている場合は「政令により一類感染症から三類感染症と同程度の措置が講じられている指定感染症」に新型コロナを含める措置により、支払対象となる場合があります。
詳細はご契約の保険会社にご確認ください。

(2) 就業不能保険・所得保障保険

新型コロナの感染による就業不能状態は保険の支払い対象となります。
ただし、60日や180日の契約ごとに設定されている支払い対象期間を超えてからの支払いとなります。また、勤務先の指示による自宅待機や休業は対象外となります。

そのほか、新型コロナの影響による所得の減少は所得保障保険の支払い対象となります。

(3) 企業向け事業活動総合保険や興行中止保険など

企業活動の休業損失を補填する事業活動総合保険やスポーツやコンサートなどの興行中止保険は個別の保険会社にもよりますが、新型コロナの影響など指定感染症に関する損害は支払い対象外となる可能性が高いです。
詳細はご契約の保険会社にお問い合わせください。

3.公的保険や傷病手当金の取り扱い

新型コロナに感染による公的保険などの取り扱いをまとめています。

(1) 健康保険

新型コロナの医療費や入院費用は現在指定感染症に認定されているため、公費負担となります。自治体により世帯が負担する所得税額などによって一部、自己負担が発生する場合もあります。

(2) 傷病手当金

通常の疾病と同様に新型コロナによる3日以上の仕事の休業は、傷病手当金の支払い対象となります。陽性で自覚症状がない場合も同様に対象となります。

(3) 休業手当

休業手当の取り扱いは事業所の状況により異なります。

新型コロナにより、事業所全体が休業となった場合は支払いの対象となります。また、使用者の指示により休業する場合も同様です。しかし自己判断による感染の疑いなどによる自主的な休みは対象外となります。

4.保険会社による特別措置

新型コロナによる影響を受けた契約者のために金融庁からの要請により、各保険会社では以下のような便宜措置を図っています。

(1)保険料払込猶予期間の延長

新型コロナの影響により収入が減少した契約者に対して、保険料払込猶予期間の延長の措置が取られています。

(2)保険金請求手続きの簡易取り扱い

外出自粛などの影響で対面での保険契約や更新手続きが難しくなっているため、
書類などの手続きの簡素化の措置が取られています。

(3)新型コロナの感染者への見舞い金の支給など

保険会社によって保険契約の契約者や被保険者などが、新型コロナによる感染症と診断された場合、お見舞金(一時金)を支払いを行なっています。

対象は保険会社により異なりますが、個人年金保険を含むすべての契約が対象となっている保険会社もあります。

まとめ

新型コロナの各種保険の取扱いについてご案内しました。この記事の情報は、2020年5月末時点の情報に基づいて作成しています。保険会社の対応など、最新の情報は各保険会社のホームページ等でご確認ください。

【参照】

一般社団法人 生命保険協会 相談窓口一覧

一般社団法人 損害保険協会   相談窓口一覧

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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