新型コロナウイルス生活資金の貸付、流れと手続き方法

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世界中で猛威を振るう新型コロナウィルスですが、その影響は人々の健康だけではなく経済に計り知れない影響を与えています。特に雇用については、これから深刻な影響を与えると予測されています。国際労働機関(ILO)によると全世界で2,500万人もの人が職を失うだろうと発表されており、日本の雇用環境も例外ではなく多くの人々が職を失い、生活が苦しくなるとみられます。

政府や地方自治体は、このような事態に備え「生活資金の貸付制度」を用意しており、一時的な生活資金を支援しています。政府では、3月19日に個人向けの貸付制度の特例措置として103億円を支出することを決定しました。

ここでは「生活に困っている方」「休業された方」「失業された方」へ向けた「生活資金貸付制度」についてご紹介します。

1.生活福祉資金貸付制度とは?

生活福祉資金貸付制度」とは、各都道府県の全国社会福祉協議会が実施する低所得者や高齢者などが「生活が困難な場合」に現金を借入れることができる制度です。この制度は、新型コロナウィルスが流行する前からある制度であり、現在でも利用することができる制度です。

1-1.生活困窮者の自立支援のための制度

「生活福祉資金貸付制度」は、生活困窮者の自立支援のための制度であり、この貸付制度によって、申請者の安定した経済的自立を支援することを目的としています。この制度の貸付対象になる方は、次の世帯です。

①低所得者世帯
支援を受けることで経済的自立が可能と認められ、かつ、自立するまでの資金の借入れが金融機関等からできない住民税非課税世帯が対象になります。住民税非課税世帯とは、扶養親族がいない場合は総所得金額が35万円以下、扶養親族がいる場合は総所得金額が35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)の人数+21万円の世帯です(東京23区の場合)。この住民税非課税世帯は、お住いの市区町村によって異なります。

②障害者世帯
家族に身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人がいる世帯が対象になります。

③高齢者世帯
65歳以上の介護が必要とする高齢者がいる世帯が対象です。

借入れが可能な金額は、その借入れ理由によって異なります。借入れ理由は、

  • 総合支援資金:住居費や生活費に使用する
  • 福祉資金:事業を営むための費用など
  • 教育支援資金:学費などの学業に使用する
  • 不動産担保型生活資金:不動産を担保に借入れを行う

の4つに分類されます。各資金によって借入限度額、借入条件が異なります。詳しくは、こちらをご覧ください。

【参照】全国社会福祉協議会:生活福祉資金一覧

借入れする際には、原則的に連帯保証人を立てなければなりませんが、連帯保証人を立てなくても借入れができる場合もあります。ただし、連帯保証人を立てない場合は年1.5%の借入利息が発生します。

1-2.新型コロナウイルス感染症対策としての特例貸付

全国社会福祉協議会では、ご紹介した「生活福祉資金貸付制度」に準ずる形で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方を制度の対象とした「緊急小口資金等の特例貸付」を実施します。

2.緊急小口資金等の特例貸付の概要

全国社会福祉協議会が実施する「緊急小口資金等の特例貸付」には、休業された方向け(緊急小口資金)と失業された方等向け(総合支援資金)の2種類があります。

2-1.緊急小口資金(休業された方向け)の概要

緊急小口資金制度は、「一時的」に資金が必要になった場合に利用できる制度です。

制度の対象者は、すでに紹介した貸付対象者に加えて、「新型コロナウィルス感染症の影響を受け、休業などにより収入が減少し、緊急かつ一時的に生計を維持するための資金が必要な世帯」も含まれます。

貸付限度額については、既存の制度は10万円が限度額だったものが、「学校等の休業、個人事業主等の特例の場合は20万円」が追加されます。また、措置期間(返済が猶予される期間)は従来の2ヵ月以内から1年以内に変更、返済期間は1年以内から2年以内に変更されます。借入れた資金の利息に付いては、無利息になります。

貸付上限・学校等の休業、個人事業主等(※)の特例の場合のみ20万円以内
・それ以外は、10万円以内
据置期間
(返済猶予)
1年以内
返済期限2年以内(24回以内)
貸付利子無利子
※返済期限までに返済完了しない場合は、
残元金に対して3%の延滞利子が発生
所要日数申請から交付まで1週間程度(東京都の場合)

※世帯の構成員の中に個人事業主がいて、収入が減少した場合

返済期限は最長2年(24回)ですので、仮に満額で20万円を借りた場合、毎月8,330円ずつ返済することになります。

2-2.総合支援資金(失業された方向け)の概要

総合支援資金(生活支援金)は、日常生活の維持が困難になった場合に利用できる制度です。

制度の対象者は、すでに紹介した貸付対象者に加えて、「新型コロナウィルス感染症の影響を受け、休業などにより収入が減少し、「日常生活の維持が困難」になった世帯」が追加されます。

貸付限度額は、従来の制度から変更なく、単身世帯は月15万円以内、2人以上の世帯は月20万円以内です。ただし、措置期間(返済が猶予される期間)が6ヵ月以内から1年以内、利息が連帯保証人なしの場合は年1.5%が無利子に変更になります。また、返済期間は従来と変更なく10年以内となっています。

貸付上限月20万円以内(2人以上)
月15万円以内(単身)
貸付期間は原則3ヶ月以内
据置期間
(返済猶予)
1年以内
返済期限10年以内(120回以内)
貸付利子無利子
※返済期限までに返済完了しない場合は、
残元金に対して3%の延滞利子が発生
所要日数申請から交付まで最短20日(東京都の場合)

今回の新型コロナウィルス感染症による「緊急小口資金制度」と「総合支援資金」の特例措置では、借入金返済時になお所得の減少が続く「住民税非課税世帯」は、借入金の返済を免除することができることとしています。

返済期限は最長10年(120回)ですので、仮に満額で、20万円×3ヶ月=60万円を借りた場合、毎月5,000円ずつ返済します。

3.生活福祉資金貸付制度の注意点

「生活福祉資金貸付制度」は、金融機関の融資制度とは異なります。一時的に困窮する世帯への支援、生活再建への支援を目的にしている制度です。制度に申し込む際には、以下の注意点があります。

(1)生活福祉資金貸付制度は世帯を支援する制度

この制度は、個人ではなく「世帯」の自立を支援する制度です。そのため、家族構成や世帯収入などの状況が審査されます。審査の際には、借入れる人とその配偶者が社会福祉協議会との面談が必要になります。また、世帯全員の了解を得ることが必要です。

(2)貸付が自立支援になる場合が対象

申請者は、借入金の返済義務を負うことになります。この返済義務が自立支援にとって大きな負担になり、貸付が不適切と判断された場合は生活福祉資金貸付制度を受けることはできません。また、この制度よりも適した方法がある場合についても、この制度を受けることができません。

(3)面接で実情を話す必要がある

「生活福祉資金貸付制度」は、税金を原資としているため本来必要な人へ貸付ける制度です。適切な支援を受けるためには、現在の生活状況、今後の生活について面談で話す必要があります。面談後にどのような自立支援が行われるか決定することになります。

(4)生活困窮者自立支援制度と連携して支援を行う

制度を利用する場合は、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業を利用することが要件になります。自立相談支援事業では、自立のための相談や就職支援を行っています。

4.手続き方法

新型コロナウィルス感染症対策としての特例貸付の窓口になる団体は、「各市区町村の社会福祉協議会」です。3月25日から特例貸付の受付が開始されました

現在のところ(3月25日以降)、新型コロナウィルス感染症の影響で資金繰りが困難な方は、お住いの市区町村の社会福祉協議会に申し込みを行い、相談を行います。各市町村の社会福祉協議会は各都道府県の社会福祉協議会へ申込書を送付し、最終的に都道府県の社会福祉協議会が貸付の決定・送金を行う流れになります。

ここでは、東京都の場合を参考に説明します。

4-1.借入から返済までの流れ

通常の資金貸付の場合の流れを解説します。今回の特例貸付については、一部が簡素化されたり省略されたりする可能性もあります。

緊急小口資金(休業された方向け)の借入から返済までの流れ

  1. 相談:相談員と面接、家族の状況・収入・負債などの世帯状況のヒアリング
  2. 申込み:借入申込書と必要書類を、区市町村の社会福祉協議会に提出
  3. 審査:都道府県の社会福祉協議会で審査
  4. 貸付決定:貸付の可否について本人に連絡
  5. 資金交付:貸付決定日の翌営業日に本人の口座に資金を入金
  6. 据置期間:資金交付後1年以内は返済猶予期間となり、その翌月から返済を開始
  7. 返済:資金交付日の1年後から、返済開始、原則として毎月1回、金融機関からの口座引落とし、最長2年(24回)

申請から交付まで1週間程度かかります。

総合支援資金(失業された方向け)の借入から返済までの流れ

転居の必要がある場合とない場合で流れがやや異なりますが、ここでは、転居の必要がない場合を掲載します。

  1. 相談:相談員と面接、家族の状況・収入・負債などの世帯状況のヒアリング
  2. 自立計画作成:相談員と「自立計画」を作成
  3. 申込み:借入申込書と必要書類を、区市町村の社会福祉協議会に提出
  4. 審査:都道府県の社会福祉協議会で審査
  5. 貸付決定:貸付の可否について本人に連絡
  6. 借用書提出:印鑑登録証明書と合わせて提出
  7. 資金交付(初回):本人の口座に資金を入金
  8. 資金交付(継続):面談のうえ、就職活動状況や生活状況を判断して本人の口座に資金を入金
  9. 据置期間:資金交付後1年以内は返済猶予期間となり、その翌月から返済を開始
  10. 返済:資金交付日の1年後から、返済開始、原則として毎月1回、金融機関からの口座引落とし、最長10年(120回)

申請から交付まで通常、1ヶ月程度かかりますが、今回の特例では、最短20日に短縮されます。

4-2.必要書類

緊急小口資金(休業された方向け)の必要書類

緊急小口資金(休業された方向け)申請の際は以下の書類が必要となります。

  • ①借入申込書(相談窓口に準備してあります)
  • ②住民票の写し(世帯員全員分、発行後3ヶ月以内のもの)
  • ③本人確認書類(健康保険証または運転免許証、パスポート等)
  • ④借入申込者の世帯の収入証明(確定申告書や源泉徴収票)(※1)
  • ⑤借用書(相談窓口に準備してあります)
  • ⑥預金口座振替依頼書(相談窓口に準備してあります)
  • ⑦通帳(※2)と口座の届出印(返済の口座)
  • ⑧その他、社会福祉協議会が指定する書類

※1 生計中心者と、その配偶者、世帯の生計維持に寄与している方の分が必要です。

※2 申込み当日までの記帳を行う必要があります。次のような通帳が必要です。
①新型コロナウイルス感染症の影響で減収したことが確認できる通帳
②税金・社会保険料・公共料金等の支払いが確認できる通帳
※通帳で減収や税金等の支払いが確認できない場合は、次の書類が必要です。
③日常的に入出金を行っている通帳
④給与明細等の収入が確認できる書類

総合支援資金(失業された方向け)の必要書類

上記の「緊急小口資金」の必要書類に加えて、下記の書類が必要となります。

  • 実印、印鑑登録証明書
  • 失業・離職の場合は、それを確認できる書類(離職票、廃業届、源泉徴収票等)

4-3.申請先

お住まいの市区町村の社会福祉協議会です。下記のリンクから探すことができます。

【参照】都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)|全国社会福祉協議会

4-4.申請者は多数

申請を開始した3月25日から4月4日までの間に、約18,900件の申請がありました。そのうち、支給が決定したのは13,686件で総額22億7千万円に上るとのことです。

日本国内で経済的に困っている人の数からすると、まだごく一部の人しか申請していないと考えられます。申請を行うことは恥じることではありませんので、お困りの方は積極的に早めに申請を行うことをオススメします。

まとめ

今回は、「新型コロナウィルス感染症対策としての特例貸付」についてご紹介しました。この特例は緊急措置のため、申し込みを行う方の個別の事情によって対応が異なります。また、各地区の社会福祉協議会によっても対応が異なると思われます。

休業や廃業、失業などで経済的に生活が困難になると思われる方は、まずはお住いの地域の社会福祉協議会へ電話で相談してみましょう。また、これからの政府の方針によって特例貸付の対象者や貸付金額の拡大、手続きの簡略化などが行われる可能性があります。

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