新型コロナウイルスで支払い困難!税金や社会保険料は免除されるの?

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税金 節税 免除

新型コロナウィルス感染症の影響で、2月・3月に売上が激減しているお店や企業が多くあります。売上が減れば、キャッシュも減ります。
それでも、税金や社会保険料(医療保険、年金)は期日通り支払わないといけないのでしょうか?

実は、税金や社会保険料には、それぞれの事情に応じて、免除や猶予をする制度があります。これらの制度のほとんどは、コロナウイルスが発生する前から存在します。

また、通常の制度とは別に、ほぼすべての税金・社会保険料の支払いを1年猶予する措置も検討されています。

詳しく紹介しますので、ぜひともお役立てください。

1.税金・社会保険料を1年間猶予(検討中)

3月27日、政府は、2月以降に収入が大幅に減った事業者に対して、ほぼすべての税金と社会保険料の支払いを1年間猶予する、特例法案を検討していることがわかりました。

延滞税は免除とし、担保の差し入れも不要とします。

収入減の具体的な割合について、直近1ヶ月程度の収入が前年同期と比較して2割以上減った場合を対象に、検討中とのことです。

なお、ここでいう「税金」とは、自分が申告をして支払う税金を指しています。会社員が給与から天引き(源泉徴収)されている所得税および社会保険料については、今のところ、猶予の検討はなされていないようです。

※企業が日本年金機構に納める厚生年金保険料については、分割または猶予を認められますが、その場合、従業員からの徴収も先送りして良いかどうかは特に話題には上がっておらず、議論が待たれるところです。

2.税金の納税を猶予

ここからは、従来から存在する国税・地方税の原則的な納税猶予制度および、すでに決定されている緊急措置の内容の解説です。上記の特例法案が施行されるまでは、こちらの内容で各機関にご相談ください。

個人や会社が納税を行う税金には、国が管轄する「国税」と都道府県や市町村が管轄する「地方税」があります。これらの2つの税金には、それぞれ「納税猶予」という制度があります。

納税猶予」とは、税金の納税を猶予(先延ばし)する制度です。税金が免除されるわけではありませんが、延滞税の免除や差し押さえの免除など、新型コロナウィルスの影響で納税するために十分な資金がない企業や個人にとって、とても助かる制度です。「国税」と「地方税」では制度の内容が異なります。

(1)国税の納税猶予

「国税」の代表的なものとして、所得税、法人税、消費税、相続税などがあります。

「国税の納税猶予」は、次の要件に該当する人や法人が対象になります。

  1. 所得税、法人税、消費税などの国税を納付することにより「生活が困難になる場合」「事業を継続して行うことが困難になる場合」
  2. 納税することに誠実な意志があること
  3. 納税猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
  4. 納期限から半年以内に申請書が提出されていること(※1)
  5. 原則的に担保が提供されること(※2)

※1 2019年の所得税、消費税、贈与税の納期限は新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から納期限を1ヵ月延長しているため、納期限は4月16日になります。

※2 「原則として」担保を提供しなければなりませんが、担保が必要ない場合もあります。

上記のとおり適用条件がありますが、国税の滞納があった場合でも、税務署長の職権により「納税猶予」の適用を受けられる可能性があります。

また、国税庁では新型コロナウィルスの影響を考慮して、上記以外に「個別の事情」に該当する場合、「納税猶予」を認めると発表しています。「個別の事情」とは、以下のような状況が該当します。

①財産に損害が出た場合
例)新型コロナウィルス感染症の消毒で商品や棚卸商品を廃棄することになった場合

②本人や家族が新型コロナウィルス感染症に感染した場合
例)納税者本人、または扶養家族が新型コロナウィルスに感染した場合、納付できない国税のうち、治療にかかった費用

③事業を廃業、または休業した場合
新型コロナウィルス感染症が与えた経済的影響により、納税者が営んでいた事業を廃業した場合、または休業した場合、納付できない国税のうち、休廃業により発生した損失

④事業に著しい損失が発生した場合
新型コロナウィルス感染症が与えた経済的影響により、利益が著しく減少し損失を受けた場合、納付できない国税のうち、その損失額に該当する額

国税庁では、新型コロナウィルスの拡大による経済的損失を受けた場合の「納税猶予」の適用を拡大する見込みです。拡大するに伴い、「納税猶予手続きの簡略化」を行い、通常「納税猶予」に必要な「医師の診断書」や「収支明細書」の提出を省く予定です。また、「納税猶予」を受けるための担保の差し入れも、無理な場合は省略する方針です。

【引用】国税庁:新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方には猶予制度があります

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(2)地方税の減免と納税猶予

「地方税」の代表的なものとして、住民税、事業税、消費消費税、固定資産税などがあります。

地方税は国税とは異なり、各地方自治体に裁量権が与えられているため、お住まいの地域で対応が異なります。ここでは、「東京都」の「地方税の減免と納税猶予」についてご紹介します。

東京都:都税の減免制度

東京都では、現在のところ新型コロナウィルスの影響による地方税の対応について正式な発表はされていません。しかしながら、国税同様に、地方税の減免と納税猶予が行われるとみられています。現行の地方税法上の減免と納税猶予制度は、以下の通りです。

災害等による減免制度

災害等にあった場合は「減免申請」をすることで、納期限前の税金について被害の度合いによって税金の軽減、または免除が行われます。「減免申請」しなければ対象になりませんので注意しましょう。対象になる税金は、次のとおりです。

①個人事業税
資産に被害が出た場合に、損害の程度によって減免されます。損害金額が所得の20%を超える場合に適用されます。新型コロナウィルスの予防のため棚卸製品を消毒し、その商品が販売不可能になった場合などに適用される可能性があります。

②固定資産税、都市計画税
土地および建物が損害を受けた場合に減免されることになるため、今回の新型コロナウィルスの直接の影響で減免される可能性は少ないでしょう。

③都民税
都民税は、特別区民税や市町村民税の減免に基づいて減免されます。まずは、お住いの区役所に減免申請できるのか問い合わせを行いましょう。各区役所では、今のところ、損害の明確な基準を示していません。まずは、新型コロナウィルスによる被害がある旨を伝えましょう。

徴収猶予の制度

災害、疾病、事業の休廃業により損害が発生した場合は、原則1年以内の都民税の納税が猶予されます。また、分割による納付が可能になります。

都民税の納税猶予が認められると、督促や財産の差し押さえ、差し押さえた財産の売却が行われません。また、納税猶予期間中の延滞税が免除、または一部免除になります。

納税猶予の主な要件は、以下のとおりです。

  • ①災害を受けた場合
  • ②申請者または申請者と生計を一緒にする親族が病気にかかった場合
  • ③事業を廃止、休止した場合

新型コロナウィルスによる影響は上記3つに当てはまると思われます。その場合、申請者に都民税の納税猶予が適用されると考えられます。①と②に該当する場合は、納税期間中の延滞税が全額免除され、③の場合は延滞税が一部免除されます。

納税猶予の申請に必要になる書類は、納税猶予の適用を受けようとする金額が100万円以上かどうかで異なります。

・100万円未満の場合
  1. 徴収猶予申請書
    納税猶予に該当する事実を証明する書類の添付が必要になります。病気の場合は「医師の診断書」、事業を廃止した場合は「廃業届」を用意しましょう。
  2. 財産収支状況書
・100万円以上の場合
  1. 徴収猶予申請書(事実を証明する書類の添付が必要です)
  2. 財産目録
  3. 収支の明細書
  4. 担保の提供に関する書類

現状では、「医師の診断書」などの事実を証明する書類が必要となっていますが、国税庁が国税の納税猶予を簡略化する方針のため、提出書類が省略される可能性があります。また、100万円以上の納税猶予は担保の提供が必要ですが、こちらも国税庁の方針により変更になる可能性があります。

(3)困ったら早めに税務署・役所に電話で相談を

国税も地方税も「納税猶予」や「減免制度」の適用を受ける場合は、申請しなければなりません

新型コロナウィルスは、この先私たちの生活にどれくらい大きな影響を与えるか不透明であり、それぞれ異なる経済的事情があります。税金の納付は義務ですが、税金の支払いにより日々の生活が困難になる場合には、なるべく早めに税務署や市役所などに電話で相談をしましょう。税金の納期限後に納税猶予の申請を行うと、延滞税の対象になってしまうおそれがあります

また、自己破産を考えている場合でも、滞納した税金を放置してはいけません。税金は自己破産をしたからといって免除されることはありませんので、まずは行政の担当者に連絡することが重要です。

3.社会保険料の支払いを免除・猶予

有事の際は、税金とは別に「社会保険料」についても「保険料の免除・猶予制度」が存在します。新型コロナウィルスによる損害についても「社会保険料の免除・納税猶予」の対象になると思われます。

(1)国民年金保険料

個人事業主など、社会保険に加入していない方が加入している「国民年金保険料」については、前年の所得が一定額以下となった場合や廃業した場合など、国民年金保険料を支払うことが困難な場合に国民年金保険料の免除および猶予が認められます。

保険料免除

国民年金保険料の免除は、全額免除・3/4免除・半分免除・1/4免除の4段階があり、本人・世帯主・配偶者の前年の所得によって決められます。

保険料納付猶予

20歳以上50歳未満の人で、本人・配偶者の前年の所得が一定額以下の場合には、保険料の納付が猶予されます。

本人からの申請が必要

国民健康保険料の免除を受ける場合、猶予を受ける場合のどちらについても本人からの申請が必要です。申請をせずに放置したり、未納のままにしたりしていると、将来その期間に対応する年金が全く支給されなくなります。また、その期間に病気やケガなどにより障害を負ってしまった場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができません

くれぐれも、未納のまま放置せずに、年金事務所(日本年金機構)に相談しましょう。

(2)国民健康保険料

個人事業者の方などが加入している国民健康保険料の管轄は、お住いの市区町村になります。原則的に、各市区町村には減免制度が存在します。しかし、各市区町村で対応が異なりますので詳しくはお住いの自治体の担当部署へお問い合わせください。ここでは、例として「新宿区」の国民健康保険料の減免についてご紹介します。

新宿区の減免制度

国民健康保険料には、一律で決まる「均等割」と所得に応じて決まる「所得割」の2種類があります。

新宿区では、まず、所得に応じて「均等割」が最大7割軽減される制度があります。
また、「所得割」を課されている世帯には「一般減免」という制度があります。この制度では、災害や病気、廃業などで生活が著しく困難になった場合で保険料の納付ができなくなった際に、国民健康保険料の減免を申請することができます。

新宿区では「東日本大震災原発事故による減免」にも対応しているため、今回の新型コロナウィルスについても新しく減免制度を設ける可能性があります。

(3)厚生年金保険料等

厚生年金は、企業に勤める従業員が加入し、会社から保険料を支払います。厚生年金保険料等は、国民健康保険料と同様に日本年金機構が管理しています。

新型コロナウィルスの影響で事業者等が厚生年金保険料等の支払いが困難になった場合は「申請による換価の猶予」または「納付の猶予」を申請することができます。「換価の猶予」とは、財産の差し押さえや換価(売却して現金化)が猶予されることです。

この2種類の申請は、納付が猶予される点では違いはありません。「納付の猶予」の場合の方が「延滞税」の全部が免除される可能性がある点が異なります。

適用条件に多少違いがありますが、「1-1.国税の納税猶予」と大きな違いはありません。新型コロナウィルスの影響により申請する場合は、どちらも該当する可能性が高いため、まずは日本年金機構に電話で問い合わせをしましょう。

「納付の猶予」が認められると、以下の事項が認められます。

  1. 猶予された金額を猶予期間中の各月に分割して納付することが認められる
  2. 猶予期間中の延滞金の一部または全部が免除される(申請による換価の猶予の場合は一部免除)
  3. 財産の差押や換価(売却等現金化)が猶予される

猶予期間は通常は1年以内です。特別な理由があるときは、最長2年まで猶予が認められることもあります。

4.その他の措置

(1)法人税の還付

法人税の確定申告において、税務上、赤字であった場合、前年度までに納めた法人税の還付を受けられる制度があります。対象範囲は、資本金1億円以下の中小企業ですが、これを、資本金10億円以下の企業に適用範囲を拡大します。

(2)チケット購入者の税負担軽減によるイベント業者の支援

イベントが中止になった際に、チケットの購入者が事業者に返金を求めなかった場合、そのチケット代金を寄付金とみなして購入者の税負担を減らす検討がされています。購入者の負担が減ることで、返金を求める人が少なくなり、返金に追われるイベント業者を支援できるという公算です。

5.未納せずに早めに相談が重要

今回の新型コロナウィルスは、多くの人々の健康へ影響を与え、経済にも大きな影響を与えると予測されています。現在のところ、税金や社会保険料について特別な制度は設けられていません。

しかし、各税金や社会保険料等には減免や猶予措置がありますので、経済的損失を被り、納付が困難になると思われる場合は早めに管轄する行政に電話で連絡をしましょう。納付できないことを放置することは延滞税の対象になるおそれもあり、大変危険です。

(1)どうしても無理なら債務整理を

税金や社会保険料以外の、民間企業やサービス提供会社への支払いについては、各事業者との相談・調整が必要です。各所への支払いがどうしても無理な場合は、放置せずに、早めに債務整理を行うのがベターです。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「破産」の3種類があります。詳しくは、債務整理弁護士相談Cafeの記事をご覧ください。

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まとめ

今回は、新型コロナウィルスの影響で経済的損失があった場合の「税金」と「社会保険料等」についてご紹介しました。

世界中での新型コロナウィルスの流行により、日本経済への悪影響はいつまで続くのか、そして、どれくらいの規模の損失になるのか分かりません。今後の政府の方針で、税金や社会保険等については特別措置が講じられる可能性も考えられます。資金繰りが厳しい場合は、まず管轄の行政機関へ相談しましょう。

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