確定申告が必要な人/不要な人/必要はないがするとお得な人
確定申告が必要になるケース、しなくていいケースについてそれぞれ条件を解説します。[続きを読む]
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2022年までの確定申告では、「確定申告書A」「確定申告書B」という2種類の申告書がありましたが、2023年の確定申告から様式が一本化されました。
2023年以降の確定申告で用いられる「確定申告書」は、以前の確定申告書Bがベースになっているので、実質的には確定申告書Aが廃止になった形です。
以降は2022年以前の確定申告書についての解説になります。当時の情報となりますのでご留意ください。
確定申告が必要な人とは、一言でいうと、1年間の所得を計算し所得税が発生するが、いまだ申告・納税をしていない人です。
主に、個人事業主や自営業、フリーランスの方がその代表といえるでしょう。
確定申告をする必要はないけれど、確定申告をすることで税金の還付が受けられるお得な人もいます。
主に、年末調整では対応できない控除を受けたい会社員などです。
医療費控除やふるさと納税による寄付金控除などが、この控除にあたります。また、マイホームを購入した場合は、確定申告をすることで、住宅ローン控除を受けることができます。
確定申告が必要ないのは、主に、年末調整を受けている会社員などです。しかし、会社員であっても、副業で収入を得ていたり2ヶ所から給与をもらっていたりすると、確定申告が必要となる場合もあるので注意しましょう。
確定申告の対象者はケース・バイ・ケースなので、次の記事できちんと確認することが大切です。
確定申告書Aの特徴は、次のとおりです。
確定申告書Aが対応している所得の種類は、次のとおりです。
確定申告書Aの対象者は、大きく分けて次の5つです。自分が該当するかどうかを、チェックしてみてください。
次に該当する場合は、確定申告書Aの対象となります。
確定申告が必要な人と、確定申告をすることでお得になる人と2パターンありますが、いずれにしても確定申告をする場合は、確定申告書Aを利用します。
給与所得と雑所得を得ている人は、確定申告書Aの対象者です。
雑所得とは、著述家や作家以外の人がもらう原稿料や印税、講師をしていない人がもらう講演料や放送謝金などがあげられます。
例えば、会社員が副業のWebライティングで得た所得は雑所得となるでしょう。
また、FXや仮想通貨、先物取引などで得た利益も雑所得にあたります。
給与所得と配当所得を得ている人は、確定申告書Aの対象者です。
配当所得とは、株式の配当金や投資信託の収益分配で得られる所得のことです。ただし、株式を売却した際に得られる利益は譲渡所得となり、確定申告書Bに該当するので注意しましょう。
原則、公的年金を受け取っている人は確定申告をする必要はありませんが、次に該当する場合は、確定申告書Aを利用して手続きをしなければなりません。
次のような一時所得を得ている人も、確定申告書Aの対象者です。
雑所得と混同しやすいですが、課税の仕方が違い税額が異なってくるため注意が必要です。ただし、一時所得と雑所得のいずれも確定申告書Aの対象なので、同じ用紙を使っての手続きとなります。
次に、確定申告書Bの特徴を説明します。確定申告書Aより煩雑ですが、きちんと作成することでより多くの控除を受けることができます。
確定申告書Aに該当する人でも、予定納税や損失の繰越がある場合は、確定申告書Bを利用して申告します。
基本的に、確定申告書Bはすべての所得をカバーするため、AかBか迷ったときは確定申告書Bを選択すれば間違いがないでしょう。
上述したように、確定申告書Bは全ての所得に対応しています。特に、事業所得や不動産所得、譲渡所得などは確定申告書Bでなければ申告できません。
ここでは、確定申告書Bの対象者について詳しく説明していきます。
事業所得は、「営業等所得」と「農業所得」の2つに分類されます。いずれの所得も、確定申告書Bの対象です。
それぞれの内訳は次のとおりなので、該当するかどうかを確認してみてください。
①営業等所得
ほとんどの個人事業主や自営業、フリーランスはこちらに該当するでしょう。また、会社員が副業で得た収入が事業所得にあたる場合も、この営業等所得になります。
②農業所得
ちなみに、確定申告書Bの事業所得の記入欄は、「営業等」と「農業」に分かれているので、①に該当する場合は「営業等」の欄に、②に該当する場合は「農業」の欄にそれぞれ記入します。
不動産の賃貸収入がある人も、確定申告書Bの対象者です。
不動産所得は、不動産収入から必要経費を引いた金額ですが、この金額と事業所得や雑所得などの合計が20万円を超えれば、確定申告をしなければなりません。
不動産所得とは、家賃収入だけでなく、次の3つの所得を指します。
利子所得とは、預貯金や公社債からの利息のことです。
一定の利息等を受け取ったときは、通常、源泉徴収されるので確定申告は必要ありません。
しかし、雑所得となる利息にあたる利息を受け取ったときは、確定申告書Bを利用して申告する必要があります。
ここでは、確定申告書のAとBのどちらを利用するべきか、判断に迷いがちな例をいくつかあげて説明します。
上述したように、給与所得を得ている会社員であっても、副業で20万円以上の所得があれば確定申告が必要です。
この場合、その所得が雑所得であれば確定申告書Aでの申告になりますが、事業所得にあたる場合は、確定申告書Bを使わなければなりません。
副業における所得が、事業所得か雑所得かの判断基準は曖昧ですが、趣味などの小遣い稼ぎ程度の収入の場合は、雑所得に該当するでしょう。
副業として人気の高いアフィリエイトやWebライターとしての収入、さらにオークションやフリーマーケットでの収入もほとんど雑所得にあたります。
また、FXなどで得た収入が相当高額であっても、雑所得として扱われることがほとんどでしょう。
雑所得か事業所得か迷った場合は、税務署に問い合わせることをおすすめします。
原則、会社員は職場で年末調整が行われるので、確定申告は必要ありません。
しかし、医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除など、年末調整では対応できない控除を受けたい場合は、確定申告することで税金の還付を受けられます。
この場合は、確定申告書Aを利用して申告します。
また、年末調整の後に家族が増えた場合や控除の申告漏れがあった場合も、確定申告書Aで申告することで適切に控除を受けられます。
個人事業主の場合、白色申告、青色申告のいずれにしても、確定申告書Bに該当します。
所得金額が赤字の場合や、株や建物の譲渡所得などがある場合は、該当する書類を添付して手続きをしましょう。
不動産などの家賃収入がある場合は、確定申告書Bの対象となります。
ただし、家賃収入を得ている物件に対しては、住宅ローン控除を受けることができないので注意が必要です。
住宅ローン控除は、自身の居住用の住宅のみに適用されます。自宅と賃貸を併用した物件であれば、自宅として使用している部分の免責を按分し、その部分に関してのみ住宅ローン控除を受けることが可能です。
住宅ローン控除のみであれば確定申告書Aで申告できますが、家賃収入と住宅ローン控除のどちらも申告する場合は、確定申告書Bとなります。
上記で説明したものの繰り返しとなりますが、株式を売却した際に得られる利益は譲渡所得となり、確定申告書Bに該当するので注意しましょう。
確定申告書のAかBのどちらか迷うことが多いですが、大まかにいうと、給与所得がメインの会社員やアルバイトが、副業などで収入を得ている場合は、確定申告書Aに該当するでしょう。
ただし、会社員が副業で得た収入が事業所得にあたる場合は、確定申告書Bの対象となるので注意が必要です。
確定申告書Bは、主に、個人事業主やフリーランスが事業所得を申告する場合に利用します。確定申告書Bはすべての所得をカバーするので、もし迷った場合は、確定申告書Bを利用しましょう。