眼鏡・コンタクトレンズも医療費控除の対象になる?
「眼鏡(めがね)」の購入で、例外的に、「医療費控除」の対象になることがあります。それは、白内障や緑内障の治療など、医師が治療上必要であると認めた眼鏡を購入した場合です。
ただ、治療用ではなく、一般的な近視や遠視を矯正する眼鏡や、老眼鏡は、医療費控除の対象外になりません。
眼鏡やコンタクトが医療費控除になる場合の条件などを紹介します。
目次
1.医療費控除の基礎知識と、眼鏡が対象になる条件
医療費控除とは、医療費が多額になった場合に、所得税の額を減らす措置で、節税効果を生む仕組みのひとつです。
医療費控除の基礎知識と、眼鏡が医療費控除の対象になる条件を紹介します。
1-1.医療費控除とは
医療費控除では、本人と家族の治療などのために支払った医療費の額を、課税所得の額から差し引きます。
「所得税の額」は「課税所得の額」に税率を掛けるなどして算出するので、課税所得の額が減れば、支払う所得税の額も減ります。
ただし、医療費控除の対象になる「医療費」は、次の条件にあてはまるものです。
- 10万円以上に達した場合の医療費(所得の額が200万円未満の人は、所得金額の5%以上)
- 「医療費」とは病院やクリニックなどで支払った金額のこと。健康保険など公的医療保険が負担した分は除く。本人3割負担なら、3割に該当する額が医療費になる
- 通院時に支払った交通費も「医療費」に含めることができる
- 「家族」は、本人と生計を一にする配偶者や親族
- 対象となる医療費は1月1日から12月31日までに支払った分
- 医療費控除の額の上限は200万円
- 保険金などで補填されたお金は、医療費から差し引く
1-2.治療目的なら、眼鏡・コンタクトも医療費控除の対象になる
医師の治療を受けるために必要な眼鏡の購入費用は、医療費控除の対象になります。国税庁は、医療費控除の対象になる眼鏡として、次のようなものを例示しています。
- 視機能が未発達の子供の治療を行っている医師が、その子供の視力の発育を促すために使用を指示した眼鏡
- 白内障の患者が、手術後の創口(きずぐち)の保護と創口が治癒するまでの視機能回復のために一定期間装用する眼鏡
- その他、医師による治療が必要な症状があり、治療が行われ、その治療で使われる眼鏡
「その他、医師による治療が必要な症状」として、次のような病名が例示されています。
- 弱視、斜視、白内障、緑内障、難治性疾患(調節異常、不等像性眼精疲労、変性近視、網膜色素変性症、視神経炎、網脈絡膜炎、角膜炎、角膜外傷、虹彩炎)
【参照】国税庁:医師による治療のため直接必要な眼鏡の購入費用
さらに、次のような治療費も、医療費控除の対象となる場合があります。
- 白内障の治療用コンタクトレンズ
- オルソケタロジー(角膜矯正療法)による近視治療
- 有水晶体眼内レンズ(フェイキック)の手術
- 視力回復のためのレーシック手術
ただ、上記の4点については、最終的には税務署判断となることがありますので、事前に問い合わせることをおすすめします。
【参照】国税庁:No.1122 医療費控除の対象となる医療費
1-3.視力矯正用の眼鏡は医療費控除の対象外
近視、遠視、老眼など、一般的な視力矯正用の眼鏡やコンタクトレンズは、医療費控除の対象外となります。
ファッション眼鏡やカラーコンタクトレンズも対象外です。
2.確定申告の方法
医療費控除の仕組みを使うには、確定申告を行う必要があります。サラリーマンなどの給与所得者でも、確定申告をしないと医療費控除を使うことができません。
2-1.必要な書類
確定申告に必要な書類のうち、「確定申告書」と「医療費控除の明細書」は税務署で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードします。そのURLは次のとおりです。
その他に必要な書類は次のとおりです。
- 給与所得者の場合は、源泉徴収票
- 健康保険組合などから送られてくる医療費通知
- 治療用の眼鏡やコンタクトレンズに関わる、医師の処方せんの写し
まとめ
いわゆる「普通の眼鏡」は医療費控除の対象になりませんが、目の治療で「特別に必要な眼鏡」は、対象になる場合があります。
医療費控除を適用すると税金の額が少なくなりますので、1年間に多額の医療費を支払ったと感じたら、医療費控除の対象になるかどうか検討したほうがよいでしょう。