確定申告の相談はどこでする?相談先のメリット・デメリットを比較!
確定申告は複雑な税制や書類の多さに、難しいと感じている人も多いと思います。特に自力で確定申告の準備をしていると、途中で分からない事・判断に迷うことも出てくるでしょう。
そんな人のために、税務署や税理士会、各自治体では確定申告の相談を受け付けています。
この記事では、確定申告の相談ができる場所や、それぞれのメリット・デメリットを説明します。
確定申告の相談先と事前準備
まず、確定申告の相談先にはどのようなものがあるのか簡単に説明します。
確定申告の主な相談先
確定申告の主な相談先は次の通りです。それぞれ、相談できることが変わってくるので、自身の悩みに合わせて相談場所を選択しましょう。
- 税務署で直接相談・電話相談する
- 税理士に相談する
- 市区町村の相談窓口に行ってみる
- 青色申告会で相談する
- 商工会・商工会議所で相談する
相談先の比較
各相談先の対応をまとめると以下のようになります。
費用 | 相談内容 | 対象者 | 電話相談 | |
---|---|---|---|---|
税務署 | 無料 | 一般的な質問 | 誰でも | できる |
税理士 | 有料 | 具体的な質問 | 誰でも | できる |
市区町村 | 無料 | 一般的な質問 | 条件あり | できない |
青色申告会 | 有料 | 具体的な質問 | 会員のみ | できる |
商工会・ 商工会議所 |
無料 | 具体的な質問 | 誰でも | できない |
税理士が無料相談会を行ったり、市区町村ごとに対応が違うこともあるため、この表の限りではありません。
事前準備
確定申告期間はどの相談先も混雑が予想されるため、事前に質問を整理し、提出書類を確認しておいたほうがよいでしょう。
確定申告全般と、e-Taxのよくある質問については、国税庁ホームページで紹介されています。
1.税務署で相談する
確定申告の相談先として、まず考えられるのは税務署です。
税務署では、確定申告期間(通常、2月16日~3月15日)に「申告書作成会場」が開設されます。ほかにも、電話相談や予約制の直接面談も行っています。
営業時間は基本的には平日のみ土日は対応していません。ただ、確定申告期間中の一部では、日曜・祝日も行っています。
税務署に相談するメリット
税務署に相談するメリットは以下の通りです。
- 無料で相談できる
- 確定申告書の作成方法を丁寧に教えてくれる
- 確定申告期間に限らずいつでも相談できる
- 匿名で相談できる(電話相談)
- グレーゾーンでも税務署の了解をとっておけば安心
一番のメリットは無料でいつでも相談が行えることです。電話でも簡単に相談できるので、他と比べても相談のしやすさは一番でしょう。
また、他の相談先と異なるのは、税務署は相談窓口であると同時に、課税を決定する機関でもあることです。
何がどんな場合に課税対象となるかは、税法や通達によって定められていますが、グレーゾーンのものは、税務署によって判断が異なることもあります(たとえば、社長の高級車が経費になるかどうか)。
この場合、税務署に相談し、税務署の了解をとっておけば安心です。その際には、担当者の氏名と回答日時をメモしておくようにしましょう。
税務署に相談するデメリット
税務署で相談することによるデメリットもいくつかあります。
- 節税対策は教えてくれない
- 確定申告期間はとても混雑する
- 対応は職員によってまちまち
あくまでも法律に基づいた一般的なアドバイスしか受けられないため、節税対策は期待できません。
また、確定申告期間などの混雑時には数時間待つことや、受付終了が早まることもあるため、時間に余裕をもって相談することが大切でしょう。
また、職員も税法を完璧に理解しているわけではありませんので、担当する職員によって対応や回答が異なることもあります。ですので、必ず担当者の氏名を伺っておくようにしましょう。
以上のようなデメリットこそあるものの、一般的な質問対応や簡単な申告書の作成は税務署に任せても大丈夫でしょう。
税務署に相談する方法
税務署への相談方法は以下の通りです。
- 所轄の税務署に電話し、その後の音声案内の指示に従います。
- 自動音声で「1」を選択すると、電話相談センターにつながり、国税局の職員が対応してくれます。
- 自動音声で「2」を選択すると、税務署職員へとつながり、直接面談の電話予約ができます。
直接、税務署に行く場合は、必ず面談の電話予約をしましょう。そうするとスムーズです。
【引用】国税庁
2.税理士に相談する
税理士に依頼すると、費用はかかりますが、相談だけでなく、確定申告書の作成から税務署への提出まで請け負ってくれます。
また、税理士会では無料相談会や電話相談も行っています。
税理士に相談するメリット
- 間違いのない確定申告書が作成できる
- 節税のアドバイスをもらえる
- 確定申告書の作成、税務署への提出を代行してもらえる
- 生命保険、相続、経営の相談など幅広く相談できる
税理士は、国家資格であり、税金の相談、代理での申告書などの書類作成、代位で申告書の提出をできるのは税理士だけです。
税理士に相談すれば、確定申告の具体的な相談にのってもらえるほか、確定申告書を代わりに作成して提出してもらうこともできます。
また、顧問税理士契約を結ぶことで、節税や資金繰り、経営などに関するアドバイスをもらうことができます。
税理士に依頼するデメリット
デメリットとして考えられるのは、やはり費用がかかるという点です。
現在、税理士報酬に規定はなく、相談内容や税理士によって費用は様々です。
税理士に相談する際は、ホームページ等で費用を確認し、自分が相談したいことと費用がマッチするのかをよく検討するようにしましょう。
税理士の無料相談会
税理士会や各税理士事務所では、無料相談や電話相談を受け付けているところが多いです。また、確定申告期間などに無料相談会を開くこともあります。
ただし、無料相談では、税務署で相談する場合と同様で、税金に関する一般的な質問に答えることを目的とすることが多いです。
個別具体的な相談や、長時間の面談はできないことがほとんどです。
また、例年、確定申告期間前には税理士会による無料相談会が開かれています。
それぞれの地域の税理士会に問い合わせをしたり、各税務署ホームページにアクセスして無料相談が実施されるか確認しましょう。
3.市区町村に相談する
各自治体の役所でも、無料相談や確定申告書の提出を受け付けていることがあります。
市民しか利用しないので、税務署と比べて空いていることもあります。
ただし、相談ができる人には一部条件があるので注意が必要です。
市区町村で相談するメリットとデメリット
各自治体で相談できるのは、一般的な確定申告の相談です。
対象者は、給与収入のみの方や、公的年金収入のみの方です。これに該当する人は身近で相談できるのでメリットも大きいです。
デメリットとして、青色申告の対象者や、上記以外の収入がある方、各種税額控除を受ける方は、自治体での相談を受け付けていないことが多いです。
この場合は、税務署等へ相談しましょう。
千葉市の例
例を挙げると、千葉市では確定申告期間中に各区役所(中央区以外)で確定申告の相談と作成ができます。
しかし、相談できるのは給与所得者と公的年金所得者のみで、給与年金以外の所得がある方や各種税額控除を適用する方は、税務署に行く必要があります。
詳しくは各自治体のホームページをご覧ください。
4.青色申告会で相談する
青色申告会とは、個人事業主を中心として構成される納税者団体です。
青色申告をしている人が、入会費や年会費を払うことで加入でき、様々なサポートを受けられます。
もちろん確定申告の相談も受けることもできます。
【参照】全国青色申告会総連合
青色申告会で相談するメリット
青色申告会では確定申告の相談や、確定申告書の作成の補助を受けることができます。
入会すれば、個別具体的な事例についても無料でアドバイスをもらえるので非常にメリットは大きいです。
その他にも独自のサービスがそろっているため、個人事業主の方は入会を検討してみてもいいかもしれません。
青色申告会で相談するデメリット
年会費がかかる点と、確定申告書作成の代行はしてもらえないという点がデメリットとして挙げられます。
しかし、税理士に依頼するよりは費用は安く済みますし、確定申告以外でも手厚いサービスが用意されているため、総合的に見ても便利なサービスでしょう。
5.商工会・商工会議所で相談する
商工会とは、主に町村の地域に設立された公的な団体であり、中小事業者の支援を目的としています。
また、商工会議所とは、主に市の地域に設立された公的な団体であり、中小事業者の支援だけでなく国際的な活動も含めた幅広い事業を行っています。
商工会・商工会議所で相談するメリット
商工会・商工会議所では、提携する税理士に確定申告や税務に関する具体的な相談にのってもらうことができます。
また、帳簿のつけ方から、起業関連、労務・法律など経営に関することを幅広く相談できます。
商工会・商工会議所の会員でなくても相談できることも多いです。
商工会・商工会議所で相談するデメリット
無料相談という性質上、時間が限られていたり、また、確定申告書作成の代行はしてもらえないという点がデメリットです。
ただ、ほぼどの地域にもある身近な存在ですので、こまめに利用すると便利でしょう。
まとめ
確定申告の相談はどこでできる?
確定申告の主な相談先は次の通りです。
- 税務署
- 税理士
- 市区町村の相談窓口
- 青色申告会
- 商工会・商工会議所
確定申告の相談は有料?
税理士や青色申告会に相談する場合、相談は有料になります。
ただし、税理士が無料相談会を実施しているケースもあります。