キャッシュレスとは?電子マネーと仮想通貨の違いも解説

2019年にキャッシュレス化が本格的に始まり、コロナ禍で物品の受け渡しや接触を控える傾向が出てきたことで、キャッシュレス決済が注目されています。

しかし、一言でキャッシュレスといってもさまざまな種類があるため、うまく活用するためには知識をつけなければいけません。

そこでこの記事では、以下のような内容を解説します。

  • キャッシュレスの概要とおさらい
  • 日頃から活用されている方も多い電子マネーの概要、上手な使い方
  • 今ひとつ分からない仮想通貨の概要、メリット・デメリット
  • 電子マネーと仮想通貨の違い

1.そもそもキャッシュレスの意味とは?

一般に、支払いについて「キャッシュレス」といえば、その名の通り「現金を使わない決済方法」のことです。

しかし、一言でキャッシュレスといっても、様々な種類があります。
そこで、まずは代表的なキャッシュレスの種類を簡単にご紹介します。

(1)主なキャッシュレスの種類

現在あるキャッシュレスの種類は大きく分けると以下のとおりです。

  • 電子マネー
  • デビットカード
  • クレジットカード
  • QRコード決済
  • 仮想通貨

繰り返しになりますが、キャッシュレスとは現金を使わない決済方法です。
大きく分けるとこのようになりますが、その中身は非常に多種多様です。

特に、QRコード決済は近年増え始めたキャッシュレスで、PayPayやLINE Pay、メルペイなどがテレビコマーシャルでも頻繁に流れており注目されています。
一般的な電子マネーと異なり、店舗側の導入コストを抑えやすいのが特徴です。

(2)キャッシュレスが注目されている理由2つ

長年日本で浸透しなかったキャッシュレスが2019年以降注目されるようになった理由としては主に次の2つが考えられます。

  1. 政府がキャッシュレス決済比率を上げるためにポイント還元等を行っている
  2. 新たにQRコード決済でPayPay等が大規模なキャンペーンを展開した

政府のポイント還元政策等

政府としては、キャッシュレス決済を好む外国人観光客への適合や、現金管理に関わる人件費等のコスト削減のため「2025年までにキャッシュレス決済比率を4割にする」という目標を掲げています。

そのため、2019年からキャッシュレスの決済比率を増加させようと様々な施策が展開されました。
消費税増税に伴う消費喚起目的もあって、キャッシュレス決済によるポイント還元制度を行っていたことは、ご存じの方も多いでしょう(2020年6月30日に終了)。

また、2020年9月からは、マイナンバーカードとあわせて「マイナポイント」というポイント還元制度が行われています。

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民間企業の大規模キャンペーン

こうした政府の動きにあわせてPayPay等が20%還元などのキャンペーンを行っています。
クレジットカードでも、三井住友カードがデザイン刷新、年会費無料キャンペーンを行うなど、動きが大きくなっています。

こうした経緯もあって、消費者からは現金よりもお得な決済手段として認識され始め、事業者・お店側はお得を求める消費者を逃さないよう多様なキャッシュレス決済に対応し始めました。

2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響も

2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、①接触時間を短くでき、②感染リスクを高める現金の受け渡しもないという点で、新しい側面からキャッシュレスが注目されています。

現金に付着した新型コロナウイルスによって、自分も感染する可能性が高まるからです。

これに対して、キャッシュレスであれば、例えば電子マネーをかざすだけ、QRコードを読み取るだけですので、少なくとも現金を介して感染することはなくなりますし、決済の時間も短くできます。
クレジットカードも、店員がカードを通して決済するのではなく、お客が自分で端末に通すタイプが増えてきています。

今回の新型コロナウイルスの影響で、キャッシュレス化が進む可能性も高いと判断することができます。

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2.電子マネーとは?

キャッシュレス一般についてご説明してきましたが、ここからは多くの方に身近な電子マネーについて簡単にご説明します。
今や電子マネーはさまざまな場所で使用可能で、生活に欠かせないものといっても過言ではありません。

では電子マネーにはどのような種類があるのでしょうか。
ここからはいくつか電子マネーをピックアップし、特徴や上手な使い方などを紹介していきます。

(1)主な電子マネーの種類

  • Suica,ICOCA等の交通系電子マネー
  • 楽天Edy
  • WAON
  • nanaco
  • QUICPay
  • iD

SuicaやICOCAは交通系ICカードに分類され、公共交通機関を利用する際に活用されますが、コンビニ等の買い物もこれで済ませる方も多いでしょう。

WAONやnanacoは大手スーパーであるイオングループやセブン&アイグループを中心に利用され、それぞれ対象の店舗で利用することによってポイント還元を受けることができます。

QUICPayやiDは単体で利用することは出来ず、何らかのキャッシュレスサービスを紐づけて利用する(クレジットカードなど)サービスとなっています。
例えば、三井住友VISAカードにはiDが付帯しており、そのクレジットカードに紐付いています。
紐付けたクレジットカードのポイントを貯めることができます。

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(2)電子マネーの特徴

電子マネー最大の特徴は、基本的に端末にタッチするだけで決済が完了する点です。
例えばクレジットカードではサインか暗証番号の入力が必要であったり、それらが不要でも決済時にはカードを通して認証されるのに多少時間がかかります。

そして電子マネーはクレジットカードと違い、基本的には審査なく使用できます。
事前にチャージしたお金を使う場合は審査する必要がありませんし、クレジットカードに紐づくタイプであれば、そのクレジットカードで審査されるからです。

また、多くの電子マネーは使用する度にポイントを貯めることが可能で、現金とは違い、ただ支払うだけでなく後々買い物などで活用できます。

(3)知っておきたい電子マネーの上手な使い方とは

電子マネーをうまく活用するには、クレジットカードと連携させる方法がおすすめです。
電子マネーによってはクレジットカードでチャージを行えるため、クレジットカードと電子マネーの両方でポイントを貯められることもあります。

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また電子マネーとクレジットカードを紐付けておくことで、残高が少なくなるとオートチャージできる機能もありますので便利に活用できます。

そしてQUICPayやiDといった電子マネーは、そもそも紐付いたクレジットカードによる後払い制なため、チャージ残額の心配もいらず、かつレジでクレジットカードを通す必要なくスマホやカード1枚で対応できます。

なお、電子マネーのメリット・デメリットについては以下の記事でご紹介しています。
より詳しく電子マネーについて知りたくなった、電子マネーを使いたいと思った方はぜひご覧ください。

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3.仮想通貨ってなに?

それでは、電子マネーと似ている仮想通貨とはどのようなものでしょうか。
どちらも実体としてのお金はなく、同じように感じる方もいるかもしれません。

仮想通貨とは簡単に言えば「国が管理していないデジタル通貨」のことです(国の管理する「法定デジタル通貨」という概念もありますが、ここでは省略します)。

具体的には、資金決済法で概ね次のように定義されています(資金決済に関する法律2条5項)。

  1. 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米ドル等)と相互に売買・交換できる
  2. 電子的に記録され、移転できる
  3. 法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

ここからは、そんな仮想通貨の概要について簡単に紹介していきます。
なお、電子マネーと仮想通貨の違いについて詳しくは「4.電子マネーと仮想通貨の共通点や違い」でご説明します。

(1)仮想通貨の種類

仮想通貨にはさまざまな種類があります。特に有名な仮想通貨にはビットコインやイーサリアムなどがあり、なかでもビットコインは世界初の仮想通貨として話題となったものです。

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他にもさまざまな種類があり、日本国内だけでなく世界で主に投資商品として使用されています。

(2)仮想通貨のメリット・デメリット

仮想通貨のメリット

  • コストが低い(手数料が安い)
  • いつでも取引できる
  • 世界共通で使える

仮想通貨は、大きく分けるとこの3点のメリットがあります。

コストについては、銀行とは異なり現金管理コストや設備コストなどがかからないため、利用者の手数料も安いです。
例えば海外へ送金する場合だと、銀行での送金手数料は1,000円以上になることもありますが、仮想通貨では数百円で済む点は大きなメリットです。

また、世界共通の通貨をいつでも取引できるため、非常に流動性の高い通貨と言えます。
銀行では、時差と為替の関係があり、どうしても時間がかかってしまいます。

仮想通貨のデメリット

次にデメリットですが、以下の要素が考えられます。

  • 利用できる店舗が少ない
  • ハッキング等のリスク
  • 値動きが激しく、日常生活での利用には向かない

仮想通貨は例えば大手家電量販店が決済方法として対応しているものの、まだまだ利用できる店舗は限られています。
値動きも非常に激しいため、あまり日常用の通貨とは言えません。どちらかといえば、投機用の商品と考えるべきでしょう。

また、2018年のコインチェックNEM流失事件や2014年のマウントゴックス事件のニュースを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
このようにまだまだ利用者保護には欠ける部分もあります

仮想通貨のメリット・デメリットについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

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4.電子マネーと仮想通貨の共通点や違い

仮想通貨と電子マネーの特徴などを説明してきましたが、根本的な違いや共通点はどういった部分になるのでしょうか。
ここからは仮想通貨と電子マネーの共通点、そして異なる点をそれぞれ紹介していきます。

(1)共通点

現金が必要ない(電子的に記録されている)

基本的なことになりますが、仮想通貨も電子マネーも現金を必要としません。支払いにおいて現金を使用しないため、スムーズに決済ができる特徴をもっています。

決済方法こそ若干の違いがありますが、小銭やお札を持ち歩かない点は共通しています。

スマートフォンで支払いができる

そして仮想通貨も電子マネーも、支払いに関してスマートフォンで完了させることが可能です。

仮想通貨はアプリを活用してお金を管理し支払いなどを行います。電子マネーに関してもチャージをしておくとカードを使わずスマートフォンで支払いができますし、種類によってはクレジットカードと連携させることでスマートフォンをレジでかざすだけで決済は完了です。

ただし、現時点では仮想通貨を支払いに使用できる店舗は少ないため、あまり決済手段として比較するものではないかもしれません。

(2)異なる点

法定通貨かどうか

仮想通貨と電子マネーの最大の違いは、法定通貨(円やドル等)かどうか、という点です。

上述した資金決済法の仮想通貨の定義に「法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない」というものがありますが、この点が決定的に異なります。

電子マネーはあくまでその国の通貨を利用したもので、これはチャージでも後払い式でも同じです。
一方、仮想通貨は、その仮想通貨自体が独自の価値を持ちます。

そのため、仮想通貨は投資商品でもあり、通貨でもあるのです。
仮想通貨は、特定の国に依存しない通貨、と理解するといいかもしれません。

価値が変動するかどうか

電子マネーはその国の通貨(日本なら円)を利用するため、価値はその国の通貨や経済状態に依存します。
つまり、その国で生活している分には、通常電子マネーの価値が急変することはありません。

しかし、仮想通貨は日々価値が変動します。日本円と米ドルの為替レートが日々変動するのと同じで、別の通貨として取引されている以上、相対的な価値は変化します。

仮想通貨は特にその変化が大きく、昨日は1000円分の価値があったものが明日は2000円になっているかもしれないし、500円になっているかもしれません。

支払いに利用できる範囲

そして仮想通貨と電子マネーは利用できる範囲も異なります。

最近では大型家電量販店であるビックカメラやメガネスーパー、そしてDMM.com等ではビットコインが支払いに使用可能となりましたが、電子マネーと比較すると明らかに利用範囲が狭いです。

まだまだ国内の加盟店は電子マネーの方が圧倒的に多く、支払いにはおおいに活用できます。

ポイントが貯まるかどうか

電子マネーであれば程度の違いこそあれどポイントが貯まるものが多いです。
それに比べて仮想通貨では現状支払いに対してポイントを貯めることはできません。

そのため、日々の支払いをよりお得にしたいという方は、仮想通貨は投資だけにとどめ、電子マネーでの決済を選択することをおすすめします。

5.まとめ

最後にこの記事のまとめです。

  電子マネー 仮想通貨
価格変動 しない
ポイント還元 ×
支払い可能範囲 広い 限定的
投資的役割 ない ある

以上を元に自分に必要なものがどちらであるのかを考え、選択していただければと思います。

また、今後コロナウイルスが猛威をふるい続ける限り現金離れはさらに進み、キャッシュレス化が進むと思われます。

自分がどんな決済手段をメインとして利用していくのか参考にしていただけましたら幸いです。

この記事を最後まで読んでいただいた方に向けておすすめの記事をまとめました。

日々の暮らしをより豊かに、楽しくしてくれる記事を集めましたので、ぜひご覧ください。

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服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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