JCBがQR/バーコード決済に参入!「Smart Code」とは?

PR

QR/バーコード決済に各社が参入し、新規サービスが乱立を続ける中で、利用者/店舗ともに混乱を招いている状況があります。スマホ決済サービスだけでも10以上のサービスがすでにリリースされており、サービス自体の利便性の反面、使いにくさを露呈している部分もあります。

そんな中、クレジットカードの国際ブランドとしても有名な「JCB」がQR/バーコード決済市場に参入しました。「また〇〇Payかよ...」と思われたかもしれませんが、今回JCBがリリースした「Smart Code」は、〇〇Payのような決済サービスとは異なるようです。

JCBがサービス提供を予定している「Smart Code」とは何か?どんなメリットがあるのか? 詳しく解説していきます。

1.JCBが始める「Smart Code」って何?

JCBがQR/バーコード決済市場に参入したことは大きな話題になりました。「Smart Code」という名前のサービスを始めることが発表されましたが、これは一体どのようなサービスなのでしょうか。

(1)「Smart Code」とは?

まず、押さえておくべきポイントとして、今回JCBが参入したのは、スマホ決済サービスの1つではないということです。「Smart Code」は、〇〇PayのようなQR/バーコード決済サービスをリリースするというものではありません。

「Smart Code」は、QR/バーコード決済事業者と加盟店を結ぶサービスでもあり、QR/バーコード決済サービスの一本化を目的に提供されます。

従来であれば、各コード決済事業者と加盟店がそれぞれ契約を結ぶという状態にありました。それによって、加盟店側は利用者が提示したコード決済サービスに合わせて個々に対応する必要があり、対応の複雑化、非効率化を招いていました。

今回の「Smart Code」は、コード決済事業者と加盟店の間に立ち、利用者がどのコード決済を利用したとしても、店側は「Smart Code」として統一した対応が可能となります。

これがJCBの「Smart Code」が狙いとする大きなポイントであり、乱立するQR/バーコード決済サービスを整理して使いやすくするためのサービスです。

そのため、「Smart Code」はいわゆるユーザー向けのサービスではありません。あくまで加盟店とコード決済事業者との間に立つ新たな決済スキームとして機能します。

(2)サービス提供開始時期は?

この「Smart Code」のようなQR/バーコード決済の統一規格については、2018年2月20日に計画が公表されています。その1年後、2019年2月20日「Smart Code」という名称で発表されました。

その後、同年4月をサービス提供開始時期と定めていますが、現状としてはコード決済事業者8社が「Smart Code」に参画しており、7月11日時点で「株式会社キリン堂」「株式会社好日山荘」「株式会社コナカ」での取り扱い開始に合意しています。

今後JCBの加盟店ネットワークの強みを生かして、随時加盟店を拡大させる予定となっています。

(3)どうやって支払い対応を行う?

QR/バーコード決済の規格が「Smart Code」に統一されることによって、実際の支払いはどのように変化するのでしょうか?

利用者側はこれまで通り、レジなどで「〇〇Payで」と伝えれば、変わりなく利用することができます。
変化があるのは店舗側で、従来であれば、利用者の指定したサービスに合わせた個別の対応が必要だったのですが、それを「Smart Code」として統一した対応が可能になり、自動的にそれぞれのサービスとして決済が行われます。

(4)加盟しているコード決済事業者は?(2019年7月11日時点)

「Smart Code」に加盟するコード決済事業者は続々と増えています。2019年2月20日時点で「メルペイ」が参画を決定しており、現時点では、それを含む計8社がSmart Code採用に合意しています

【参画コード決済事業者一覧】

  • ・atone
  • ・auPay
  • ・メルペイ
  • ・EPOS Pay
  • ・KPLUS
  • ・LINEPay
  • ・pring
  • ・ゆうちょPay

2.Smart Codeの特徴やメリット

Smart Code」の提供によって、QR/バーコード決済サービスにどのような影響があるのでしょうか。ここでは、Smart Codeの特徴やメリットを見ていきます。

(1)QR/バーコード決済乱立状態の解決

現状、QR/バーコード決済サービスは乱立状態にあります。各社が新規に参入し、利用者側も混乱している上に、店舗側も対応が複雑化しているという問題が発生しています。

店舗側は利用者が提示したサービスごとに個別の対応を行う必要があり、本来キャッシュレスによって業務の効率化が期待されていたのとは裏腹に、オペレーションの複雑化と非効率化を招いていました。

そんな中で「Smart Code」がコード決済の規格を統一。店舗側は「Smart Code」として対応が可能になります。

(2)店舗側のメリットは?

店舗側のメリットとしては、これまで個別の対応が必要がだったことによる負担を軽減できるという点です。さらに、コード決済サービスを店舗に導入する際にも、個別に手続きを行う必要があったのですが、「Smart Code」1つを導入することであらゆるコード決済サービスの導入が可能になります。

(3)コード決済事業者のメリットは?

コード決済事業者側のメリットとしては、Smart Codeに参画することによって、JCB側が加盟店営業を行ってくれるという点にあります。これまでコード決済事業者の営業力によって新規開拓が行われてきたのですが、営業力が弱い事業者にとっては開拓コストを軽減でき、加盟店の増加に繋げることが可能です。

ただ、新規開拓に強みのあるPayPayがSmart Codeに参画するメリットがあるのかについては疑問が残ります。

(4)利用者にメリットはある?

Smart Codeの提供による利用者側のメリットは基本的にありません。あくまで店舗とコード決済事業者向けのサービスとなっているからです。

ただ、Smart Codeの加盟店が拡大すれば、店舗単位で利用できるQR/バーコード決済の種類が増えることになります。これまでサービスの利用を阻害してきた「〇〇Payしか使えない」といった状態も少なくなる可能性があります。

3.JCBがQRコード決済市場に参入することの影響

クレジットカードの国際ブランド大手のJCBがこのタイミングでQR/バーコード決済市場に参入したことは大きな話題になりました。ここでは、JCBの参入による影響をみていきましょう。

(1)コード決済事業者ではない形での参入

JCBがQR/バーコード市場に参入したのは「〇〇Pay」をリリースするためではなく、加盟店とコード決済事業者の間に立ち新しい決済スキームを生み出すという形でした。

これまで乱立状態にあり混迷を深めていた状態を「Smart Code」によって整理し、サービスの利用をより促進することに貢献します。

加盟店側にとっては、QR/バーコード決済を導入する上でポジティブな影響をあたえるでしょう。

(2)加盟店開拓を一手に担う

「Smart Code」の登場によって、コード決済事業者が個別に加盟店営業を行い新規開拓をする必要がなくなりました。JCBが一手に加盟店営業を担うことによって、これまでクレジットカード事業でのアクワイアリング業務(加盟店契約業務)の実績とノウハウが活かされます。

「JCB」はこれまでクレジットカードの国際ブランドとして事業を行っていましたが、「Smart Code」はQR/バーコード決済における統一ブランドとして位置付けられます。

また、他社によるSmart Codeの加盟店営業「マルチアクワイアリング」も視野に入れているようです。

まとめ

「Smart Code」の提供によって、複雑化していたQR/バーコード決済市場が整理されることが期待できます。今後の課題としては、「Smart Code」に参画するコード決済事業者をもっと増やすこと、そして、加盟店を拡大させることがあげられるでしょう。

「Smart Code」の利用促進によって、QR/バーコード決済導入による業務の効率化の実現にも繋がる可能性もあります。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
服部 貞昭 プロフィール この監修者の記事一覧
\この記事が役に立った方は是非シェアをお願いします/
  • Pocket