消費税の輸出免税とは?還付や輸出取引の範囲について
経済のグローバル化が進む昨今では、ワールドワイドに事業を行っている事業者も多いことでしょう。 商品の輸出販売はもちろ…[続きを読む]
数年前と比べてもより普及したフリマアプリやネットオークション。
個人として頻繁に私物を販売したり、お得な商品を探して購入するのが楽しみという方も増えていることでしょう。
また、利用者が多いアプリに目を付け、法人の事業としてフリマアプリやネットオークションを活用している方も少なくないと思います。
しかし、意外と盲点となっているのが消費税の問題です。
法人であればフリマでの取引も消費税の対象となる可能性があります。
また、個人の場合も、フリマでの取引における消費税の基礎知識を身につけておく必要があるでしょう。
目次
フリマアプリやインターネットのオークションサイトの代表的なものとして、次のようなサービスが挙げられます。
これらのサービスを使ったことがある人は多いはずです。
これら以外にも、様々なフリマアプリがリリースされています。
これらのフリマアプリやオークションサイトで商品の売買をした場合、「消費税はかからない」と言われています。
実際に利用経験がある方も、消費税のことを考慮した記憶がない方が多いでしょう。
事実、これらのサービスを利用した商品売買には消費税がかからないケースが多いのですが、正確に言えば消費税がかかるケースもあるので注意が必要です。
消費税がかかるケースについて次章以降詳しく解説していきます。
まず最初に、消費税がかからないのはどのようなケースでしょうか?
フリマアプリにおける商品売買で消費税がかからないのは、趣味として利用している個人が出品している商品のみです。
「フリマやオークションを使ってる人は皆個人じゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、フリマアプリには事業として商品を販売している会社や個人事業主もいるのです。
そういった相手から商品を購入する場合は、ヤフオクやメルカリで購入した商品でも消費税がかかることになります。
「消費税がかかる」と言っても表示価格にさらに消費税が上乗せされるわけではなく、最初から税込価格で表示されています。
したがって消費税がかかっていることを意識することはあまり無いかもしれませんが、消費税がかかる理屈は覚えておきましょう。
事業としてフリマアプリを利用している個人から商品を買う場合は消費税がかかると解説しました。
ここで疑問となるのが、「事業として」と「趣味」の境界線がどこにあるのかという点ではないでしょうか。
これを理解するためには、消費税からいったん離れて所得税の確定申告制度から考えてみるのが分かりやすいでしょう。
なお、法人がヤフオクやメルカリを利用する場合はどのようなケースでも「事業としての利用」に該当し、消費税がかかる点に留意してください。
メルカリやヤフオクで販売した商品が次に該当する場合には、所得税の確定申告をする必要がありません。
要するに、出品した商品が元々販売する目的で仕入れたものなのか、単にいらなくなった私物を出品しているだけなのかがまず問題となります。
そのうえで、出品した商品の価格が30万円以下と低額であれば、趣味としての利用と判断されるのです。
これは所得税の確定申告が必要か否かの基準ですが、事業としてフリマアプリを利用しているわけではないため、消費税もかからないことになります。
メルカリやヤフオクを事業として利用しているとされるケースは①とは逆のケースとなります。
転売目的で多くの商品を仕入れて販売したり、フリマの収入のみで生計を立てられるレベルの場合は確定申告が必要=事業としての利用と判断されるケースが多いでしょう。
まとめると、次に該当する場合は事業として利用していると判断されます。
上記の場合には、売り手が個人であっても事業とみなされるケースも有り得ます。
その場合には、消費税を課して販売される商品もあるでしょう。
売り手側の立場で考えると、事業としてメルカリやヤフオクで商品を販売した場合、消費税の申告が必要なのでは?と考えるのは自然な流れです。
しかし実際には、消費税の申告が必要となるのは年間の課税売上高が1,000万円を超えるなどの条件を満たした場合のみです。
これは記事の最後で詳しく解説します。
フリマアプリでは売り手と買い手が事業者なのか、単なる一個人なのかによって様々なパターンが考えられます。
ここからはそれぞれのパターンにおける消費税の取り扱いについて解説します。
先ほど触れたとおり、売り手も買い手も趣味として利用している個人である場合、消費税はかかりません。
個人間の売買は消費税は考慮不要であると考えて良いでしょう。
売り手が事業主で買い手が個人の場合、販売される商品には消費税がかかります。
この場合には商品価格に消費税が含まれているものと考えてください。
一方、売り手側である法人や個人事業主は、販売した商品分の消費税額を国に納めることになります。
②とは逆のケースで、売り手側が個人、買い手側が法人や個人事業主である場合です。
この場合、売り手が趣味として利用している個人なので、商品価格に消費税は含まれていません。
しかし、買い手側である事業者の経理処理には注意が必要です。
法人や個人事業者は、誰から購入したかを問わず「商品購入の際に消費税を支払ったもの」として処理することになります。
要するに、法人や個人事業者がメルカリで商品を購入した場合、売り手が誰であるかは無関係に課税仕入れとして処理してOKなのです。
ただし、当然ながら購入した商品が非課税商品である場合は課税仕入れとはなりません。
一方、売り手側である個人は実際には消費税分の金額をもらっているわけではありません。
また、事業として販売したものでもないため、消費税を国に納める必要はありません。
売り手も買い手も法人や個人事業主である場合は、通常の企業間取引と実態は同じです。
したがって出品されている商品には消費税が含まれていると考えてください。
売り手側は消費税を受け取っているため、その消費税額を国に納めることになります。
一方、買い手側においては、購入した商品は課税仕入れとして処理します。
売り手・買い手それぞれの場合を表で整理します。
売り手 | |||
---|---|---|---|
個人(趣味) | 個人事業主・法人 | ||
買い手 | 個人(趣味) | 消費税がかからない | 消費税がかかる(税込) |
個人事業主・法人 | 消費税がかかる (消費税含むとして処理) |
消費税がかかる(税込) |
フリマアプリやオークションサイトで商品を販売する際には、各種手数料がかかります。
販売手数料をはじめとして、各アプリごとにその他独自の手数料が発生する場合もあります。
これらの手数料には、「全て消費税がかかる」と考えてください。
特に消費税額の記載がない場合も、手数料に消費税が含まれていると考えて良いでしょう。
これらの各種手数料はサービス利用料のような性質を持ちます。
事業者が提供するサービスには消費税がかかるのは当然なので、あまり難しい点はないかと思います。
インターネットを利用したサービスは、海外在住の相手とも簡単に取引できるという利点があります。
しかし、消費税の観点から考えると、海外の相手との取引には少々注意が必要です。
フリマアプリやオークションサイトで、海外に在住している相手に商品を販売する場合、消費税の免税取引に該当します。
したがって海外在住の相手に販売する商品には、消費税を含めないのが通常です。
売り手が事業主の場合、海外への輸出販売が多いと消費税が還付になるケースもあります。
還付になる仕組みについてはここでは説明を省きますが、気になる方は別記事を参照してください。
なお、売り手が一個人の場合は、そもそも消費税の考慮は不要です。
これは国内取引のケースと同様ですね。
あまり無いケースかもしれませんが、海外在住の出品者から購入した商品には消費税は含まれません。
商品価格に消費税が含まれるのはあくまで国内取引に限られると考えてください。
ただし、購入した商品が税関を通過する際に、関税や輸入消費税を課せられるケースがあります。
税関から納付書が送られてきた場合、買い手が事業者であっても個人であってもその税額は支払わなければなりません。
フリマやネットオークションで頻繁に商品を販売している事業者の方で「今まで消費税を納付したことがない」と不安に思っている方もいることと思います。
それはなぜかというと、消費税には「免税事業者」という制度があるためです。
一定の要件を満たす場合には、免税事業者として消費税が免除されます。
免税事業者であれば、事業者であっても消費税を納付する必要はないのです。
免税事業者となるのは、主に次に該当する場合です。
自分が免税事業者に該当するかどうかの基準はやや複雑な面がありますし、判断を間違えた場合のリスクがかなり大きいです。
より詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照するか、税理士に相談してみることをおすすめします。
なお、免税事業者に該当したとしても、商品価格に消費税額を上乗せすることに問題はありません。
この記事では、メルカリやヤフオクに代表されるフリマアプリやネットオークションに消費税はかかるかどうかについて解説してきました。
趣味の範囲内で私物を売買している個人は消費税を気にする必要がないことは分かっていただけたと思います。
一方、法人や趣味の範囲を超えた個人は「事業として」フリマアプリ等を利用しているとみなされ、消費税がかかるケースがあります。
ただし、免税事業者であれば消費税を納付する必要はない点には注意してください。
この辺の判断はやや複雑な面がありますので、自己判断で済まさずに、税理士や税務署に問い合わせてみるのが確実でしょう。