消費税の課税事業者・免税事業者の違いと判定方法【図解】
消費税の免税事業者と課税事業者の違いについて、また、判定フローについて、図を使ってわかりやすく解説します。課税売上高…[続きを読む]
「メルカリって消費税がかかるの?」
答えは「消費税がかかる時と、かからない時がある」です。
メルカリ・ヤフオク・ラクマ・モバイクなどのフリマやオークションのサイトでは、
などについて、消費者/事業主の両者に向けて、図を使ってわかりやすく解説していきます。
目次
まず初めに、どんなときに消費税がかかる?かを簡単に紹介します。
消費税がかかるのは、次の4つの条件にすべて当てはまる場合です。
消費税がかかる条件の1つ目は、物の売買、物の貸し借り、サービス提供に対してです。
2つ目は、国内の取引です。海外への輸出には消費税はかかりません。正確には「免税」といいます。
3つ目は、事業として行う場合です。
事業として行うというのは、簡単にいうと、仕事として継続的な取引をしている場合です。私的な売買は含まれません。
ここは後で詳しく解説します。
4つ目は、対価を得て行う場合です。ボランティアや贈与など、無料の取引は含まれません。
では、メルカリなどフリマの場合はどうでしょうか?
この3つの条件には当てはまります。
については、一般個人は該当しませんが、個人事業主や法人(会社)は該当します。
まず、ざっくり説明しますと、一般個人は、不用品など自分の私物を販売していますので、消費税はかかりません。
もともと、メルカリ・ラクマなどのフリマ(フリーマーケット)は、一般個人が自分が持っている中古品を販売して多少のお金を得ることが目的ですので、それであれば消費税はかかりません。
一方、個人事業主は、継続的に仕入れて販売をしていますので、消費税がかかります。
個人事業主としての開業届けを出していなかったとしても、金額の大小にかかわらず、継続的に仕入れて販売していれば、「事業として行っている」ことになりますので、消費税がかかります。詳しくは「どこからが事業者になる?」を参照ください。
ただ、年間の売上1,000万円未満であれば消費税の納税は免除されていますので、副業程度の収入であれば、結果的に、消費税の納税は必要ありません。
なお、営利法人(株式会社など)は、基本的に事業を行うことが前提の組織ですので、非課税・不課税となる取引を除いて、ほぼすべての取引に消費税がかかります。
フリマアプリでは出品者(売り手)と購入者(買い手)が、一般個人なのか、事業者なのかによって様々なパターンが考えられます。
ここからはそれぞれのパターンごとに、消費税がかかるか/かからないかについて詳しく解説していきます。
なお、事業者として「個人事業主」を前提にしていますが、法人(会社)も同様です。
バッグを1000円で販売したとしましょう。出品者が一般個人で、購入者も一般個人の場合、消費税はかかりません。
次に、出品者が個人事業主で、購入者が一般個人の場合、消費税がかかります。
ところで、メルカリの価格に消費税の金額は書いてありませんよね。この場合、価格1000円のうち、本体価格は910円で、消費税90円が含まれていると考えます。
個人事業主は、消費税90円を受け取りますが、仕入で支払った消費税を引いた分を納税します。仕入にかかる消費税を引くことを、仕入税額控除といいます。ただし、免税事業者は、納税を免除されています。
②とは逆のケースで、出品者が一般個人で、購入者が個人事業主の場合、出品者の立場からすると消費税はかかりません。
ただ、個人事業主から見ると、価格1000円のうち、本体価格は910円で、消費税90円が含まれているとみなします。そして、この個人事業主が課税事業者なら、90円の消費税を控除できます。つまり、実質、910円で購入したことになります。
少しややこしいところですが、出品者の一般個人が消費税をもらうわけではありません。
出品者の立場は関係なく、購入者が事業主であるがゆえに消費税が発生しています。そして、もし課税事業者なら、仕入の消費税90円を控除できます。
出品者が個人事業主で、購入者も個人事業主の場合、消費税がかかります。
すべてのパターンをまとめると、この図のようになります。
2023年10月からインボイス制度が開始すると、消費税はどうなるでしょうか?
こちらの2つのパターンでは特に何も変化はありません。
次の2つのパターンでは、購入者が課税事業者である場合に影響が出ます。
インボイス制度開始後は、課税事業者である個人事業主が消費税を控除するにはインボイスが必要になります。
しかし、一般個人はインボイスを発行できません。すると、消費税を控除できなくなります。出品者が事業者でも免税事業者なら同様です。
このことは、メルカリだけでなく、同じフリマである、ラクマやヤフオクにもいえます。
また、アマゾンマーケットプレイスには一般個人も出品していますし、楽天市場、ヤフーショッピングは個人事業主だけですが、免税事業者も出品しています。他のECサイトやネットモールも同様です。
消費税を控除したい課税事業者は、販売元がインボイス登録していることを事前確認のうえで、購入する必要があります。これはかなり大変になりそうです。
ただ、古物商は例外です。古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、インボイス登録していない事業者や一般個人から仕入れた場合、一定の事項が保存された帳簿のみの保存で、仕入税額控除が認められます。
つまり、古物商の許可をとっていれば、一般個人から仕入れたとき、インボイスがなくても、消費税を控除できるのです。
もともと、中古品の転売をしている事業者は、古物商の許可が必要です。まだの人は早く許可をとりましょう。最寄りの警察署に申請しますが、許可されるまで40日程度かかります。
【引用】国税庁:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問103
フリマやオークションサイトで商品を販売する際には、各種手数料がかかります。
販売手数料をはじめとして、各アプリごとにその他独自の手数料が発生する場合もあります。
メルカリでは、販売金額に対して10%の手数料がかかります。
これらの手数料には、全て消費税がかかります。
特に消費税額の記載がない場合も、手数料に消費税が含まれていると考えて良いでしょう。
これらの各種手数料はサービス利用料のような性質を持ちます。
事業者が提供するサービスには必ず消費税がかかります。
事業として、フリマアプリを利用すると消費税がかかると解説しました。
ここで疑問となるのが、どこから「事業として」になるかという点ではないでしょうか。「事業」と「個人的趣味」の違いはどこにあるのでしょうか?
これを理解するためには、消費税からいったん離れて所得税の確定申告について考えてみるのが分かりやすいでしょう。
※なお、法人がヤフオクやメルカリを利用する場合は、どのようなケースでも「事業としての利用」に該当し、消費税がかかります。
メルカリやヤフオクで販売した商品が次に該当する場合には、所得税の確定申告をする必要がありません。
要するに、出品した商品が元々販売する目的で仕入れたものなのか、単にいらなくなった私物を出品しているだけなのかがまず問題となります。
そのうえで、出品した商品の価格が30万円以下と低額であれば、趣味としての利用と判断されるのです。
これは所得税の確定申告が必要か否かの基準ですが、事業としてフリマアプリを利用しているわけではないため、消費税もかからないことになります。
メルカリやヤフオクを事業として利用しているとされるケースは①とは逆のケースとなります。
転売目的で多くの商品を仕入れて販売したり、フリマの収入のみで生計を立てられるレベルの場合は確定申告が必要=事業としての利用と判断されるケースが多いでしょう。
まとめると、次に該当する場合は事業として利用していると判断されます。
上記の場合には、出品者が個人であっても事業とみなされるケースも有り得ます。その場合には、消費税を受け取ったとみなされます。
ただ、実際には、消費税の申告が必要となるのは、年間の課税売上高が1,000万円を超えるなどの条件を満たした場合のみです。
消費税がかかる場合、メルカリの価格は、税込みの金額のみが表示されています。これを「総額表示」といいます。
総額表示制度では、税込み金額だけ表示していれば問題ありません。
値下げを要求することはできますが、出品者が免税事業者だからといって消費税分を払わないようにすることはできません。
同じ1,000円のバッグを購入する場合、出品者が一般個人なら1,000円を払うのに、出品者が免税事業者なら消費税分を払わずに910円だけ払うというのは、変なことになるからです。
メルカリは基本的には一般個人が出品して取引するフリマであるため、現状、プロフィール等にインボイス登録番号を記載する欄はないようです。
課税事業者として、メルカリからの仕入の消費税を控除したければ、インボイス発行に対応しているかどうか、個別に出品者に確認する必要があるでしょう。