学生がビットコインで稼いだお金って税金かかるの?
一般のアルバイトは、会社に雇われ、その会社が源泉徴収などの税金の申告を行ってくれます。
しかし、いま話題の「ビットコイン」の場合はどうでしょうか?ビットコインで稼いだお金は申告しなくていいのでしょうか?もしするのであれば、どこでどうやって申告すればいいのでしょうか?
社会人の副業や学生のお小遣い稼ぎに人気の「ビットコイン」について、税金との関係を詳しく解説していきます。
目次
1.ビットコインとは
1-1.ビットコインの仕組み
ビットコインとは、インターネット上などで使用できる仮想通貨の1つです。普通の通貨と違い、実体を伴わず暗号化されたデータのため、暗号通貨とよばれることもあります。日本では、ビットコインなどの仮想通貨を次のように定義しています。
- 円やドルなどの法定通貨と交換が可能
- 不特定の人を相手に代金の支払いなどに使用できる
- 電子的に記録され、移転ができる
上記の条件に該当し、法定通貨やプリペイドカードなどの法定通貨建資産でないものが仮想通貨です。
ビットコインには2つの側面があります。1つは支払手段であること。QRコードを読み取るだけで、金融機関を通じずに24時間、決済や送金が可能です。
もう1つは投資の対象であること。ビットコインは株や外貨のように、円やドルなどの法定通貨を通じて値が上下します。取引所の専用口座(ウォレット)を通じ、いつでも売買が可能です。
1-2.普通のアルバイトとの違い
1-2-1.控除
学生がビットコインで利益を出した場合と、アルバイトで収入を得た場合では何か違いがあるのでしょうか。ビットコインであれ、アルバイトであれ、収入やもうけがあれば、所得税などの税金を支払う必要があります。
税金を計算するうえで重要なのが、控除です。学生がアルバイトをしている場合に受けられる控除に「勤労学生控除」があります。勤労学生とは、12月31日で次のすべての要件に該当する人のことです。
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 合計所得金額が65万円以下で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
- 小学校、中学校、高等学校、大学などの学生であること
一般にビットコインで得た利益は、勤労による所得には該当しないとされています。そのため、学生がビットコインでのみ利益を出した場合には、勤労学生控除を受けることはできません。また他にもアルバイトをしている学生が、ビットコインで10万円を超える所得を得た場合も、勤労学生控除を受けることができないので注意が必要です。
1-2-2.親の扶養
次に、学生にとって大事なのが、親の扶養に入れるかどうかということです。親の扶養に入るためには、1年間の所得金額が48万円以下である必要があります。アルバイトの場合は1年間の収入が103万円以下であれば、給与所得控除額(55万)を差し引き、所得金額が48万円以下になるため、所得税では親の扶養に入ることができます。
1-3.ビットコインの社会的立場
ビットコインは、物を購入したりサービスを受けたりした場合に支払いに使える「支払い手段」として位置づけられています。しかし、円のように法定通貨とはなっていません。
そのため、国として価値を保証しておらず、万が一、取引所(ビットコインの運用会社)が倒産してもお金が返却されない可能性があります。ビットコインを保有する場合は、あくまで信頼により価値が成立していることを頭に入れておく必要があります。
2.ビットコインにかかる税金は何税?
2-1.ビットコインに対する税金とは
学生がビットコインで利益を得た場合に関係する税金には、所得税と住民税などが考えられます。
所得税とは、個人が1年間に得た所得(もうけ)に対して課される税金のことです。所得税では、1年間の収入をお店経営などの個人事業の収入は「事業所得」、サラリーマン等の給料は「給与所得」など、収入の形態によって10種類に分けて、所得金額や税額などを計算します。
では、ビットコインで得た利益はどの所得に該当するのでしょうか?
個人がビットコインで得た利益がある場合は、事業所得等になる場合を除いて原則、「雑所得」になります。
事業所得になる場合とは、大型の機械等を導入して事業としてビットコインのマイニングや取引を行っている場合と考えられるため、個人で、ビットコインの価格変動などを通じて利益を得ている場合は、原則「雑所得」です。
雑所得とは、事業所得や給与所得などの他の9種類の所得に該当しない所得のことです。
雑所得金額の計算は、「収入金額-必要経費」の計算式で求めます。
例えば、40万円で購入したビットコインを50万円で売却した場合は、売却価額の50万円が収入金額、購入価額の40万円が必要経費となるので、所得金額は差額の10万円となります。所得税では原則、所得が高くなればなるほど税率が高くなる累進課税制度を導入しています。そのため、ビットコインの所得が高くなれば、税率も高くなります。平成27年以降は5%~45%の間で変動します。
2-2.ビットコインによる稼ぎはいくらまでなら税金を納めないでいいのか
学生がビットコインで得た利益で支払う税金は、所得税と住民税です。では、いくらまでの稼ぎなら税金を納めなくてもいいのでしょうか?
所得税では48万円(令和元年までは38万円)の基礎控除があります。また、住民税には45万円の非課税限度額があります。そのため、所得金額が48万円以下なら所得税を、45万円以下なら住民税(自治体により均等割がかかる場合あり)も納める必要がありません。
基準は収入金額でなく、収入金額-必要経費の計算式で求めた所得金額ということに注意しましょう。
3.申告方法
3-1.そもそも申告はどこで何をすればいいのか
学生がビットコインで支払う税金が出た場合は、翌年の2月16日~3月15日の間に、確定申告と所得税の納付を行う必要があります。
確定申告書は、住所地を所轄する税務署に提出します。確定申告書の提出は、税務署への持参、郵送、e-Taxなどの方法があります。不安であれば、最初は税務署に持参したほうがよいでしょう。所得税は税務署の担当窓口や銀行などの金融機関で納付します。
確定申告書の用紙は税務署の窓口や国税庁ホームページからダウンロードすることが可能です。所得税の納付書は税務署の窓口で受け取ることができます。一度、確定申告をすると、2年目以降は毎年、申告書や納付書が税務署から送られてきます。
所得税の確定申告を行うと、その内容が地方自治体に共有されるので、住民税の申告は不要です。また、住民税の納付書が6月ぐらいに自治体から送られてくるため、それを使って納付します。
3-2.未成年と成人とでの違いはあるのか
所得税や住民税は、1年間の所得に対して課税される税金です。また、家族単位ではなく、個人を単位として計算します。そのため、特に未成年と成年で違いはありません。未成年であっても、所得がある場合は確定申告をする必要があります。
3-3.申告しなかったり、遅れたりした場合は?
確定申告をしなかったり、期限までに申告・納付ができなかった場合はペナルティがあります。申告期限までに申告しなかった場合は最大15%の税率の無申告加算税が、納付期限までに納付しなかった場合は最大14.6%の延滞税が課されます。
また、悪質な隠ぺいや仮装があったは、最大40%の重加算税が課されたり、最悪の場合(特に悪質な場合)は、刑事罰を受ける可能性さえあります。確定申告や税金の納付は必ず期限内に行いましょう。
4.FXや株の場合は?
4-1.FXと株の仕組み
ビットコインと似ている取引に、FXや株があります。価格の変動により利ザヤを稼ぐという点では同じですが、取引内容には違いがあります。
FXとは2国間の通貨の売買を通じて利益を得る外国為替取引です。ビットコインのように取引所などを通じて売買を行います。一定の証拠金を担保にして、何十倍もの取引が可能になります。FXでは、購入して売却という取引だけでなく、売却してから購入するという取引も可能です。
株取引は、証券会社などを通して、実際に株式の売買を行い、その差益を得る取引です。
4-2.FXや株は何税にあたるのか
個人がFXや株で利益を得た場合は、ビットコインと同じく所得税や住民税が課されます。しかし、所得の種類や税金の計算方法がビットコインと異なります。
FXで得た所得は、ビットコインと同じく雑所得です。しかし、FXは雑所得の中でも「特別な先物取引に係る雑所得等」として他の所得と区別されます。利益が出た場合は、その利益に対して所得税15%(その他復興特別所得税0.315%あり)、住民税5%が課されます。このように他の所得と区別して税金を計算する方式を「分離課税」といいます。また、損が出た場合は繰り越され、翌年以後3年内のFXで得た利益と相殺することができます。
株式の取引で得た所得は、「譲渡所得」です。所得金額の計算は、ビットコインと似ており、売却金額から購入金額等を差し引いて計算しますが、税金の計算は、FXと同じく分離課税です。譲渡所得金額に対し、所得税15%(その他復興特別所得税0.315%あり)、住民税5%が課されます。上場株式の売買で損失がでた場合は繰り越され、、翌年以後3年内の上場株式の売買で得た利益と相殺することができます。
まとめ
「ビットコイン」でお金を稼ぐという人も増えています。しかし、その中で稼いだ後のことをあまり考えていなかった人も多いと思います。
必要な申告をしなければ、脱税の罪に問われることもあります。お金を稼ぐ以上は、これらの知識を常識として頭に入れておくのがよいでしょう。
所得の区分 | 税率 | 控除 | |
---|---|---|---|
ビットコイン | 雑所得 | 5%~45%(累進課税) | 必要経費 |
FX | 雑所得 | 15%(分離課税) | 必要経費 |
株 | 譲渡所得 | 15%(分離課税) | 必要経費+特別控除(5年以内のもの) |