18歳以下の子供に10万円の臨時特別給付金!いつもらえる?
【最新情報】 ・年内に10万円一括支給を容認する考えを政府が示した結果、10万円一括給付を予定する自治体が続々と発表…[続きを読む]
こちらは、18歳以下への10万円給付金の経緯と課題点を下記の記事から抜き出してきたものです。
給付金の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
突然降って湧いたような10万円給付金の件について、これまでの経緯をまとめてみます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた生活困窮者への支援として、2020年に「生活福祉資金の特例貸付」が制度化され、緊急小口資金・総合支援資金と合わせて1世帯最大200万円借りることができました。さらに、2021年7月には最大30万円もらえる「自立支援金」も制度化されました。
しかし、どちらも期限を迎えることから、生活困窮者に対する新たな支援策が必要となっていました。
10月31日に行われた衆院選において、各党は給付金の公約を掲げました。ここでは、与党である自民党、公明党の公約を掲載します。
自民党は、具体的な金額には言及していませんでした。対象者は、「非正規雇用者・女性・子育て世帯・学生をはじめ、コロナでお困りの皆様」としていましたが、具体的には絞り込んでおらず幅広い含みをもたせていました。
一方、公明党は「18歳以下のすべての子どもに一人当たり一律10万円相当の給付」と対象者と金額を明確に盛り込んでいました。
衆院選は、自民党の勝利に終わり、引き続き公明党と連立与党を組みますが、自民党と公明党で公約の内容が異なることから、現在、政府内では議論が紛糾しています。
自民党・公明党の両者では、10万円相当の支援という金額の点では一致していますが、対象者には大きな隔たりがあります。
公明党は、18歳以下の子どもに一律給付という姿勢を崩していませんが、自民党は、低所得層の生活困窮者への支援の方向を目指しています。
世論調査では、18歳以下の子どもへの一律給付は子供のいる高所得者へは給付するのに独身の低所得者は給付されないで不公平だという意見や「バラマキ」だという意見が多くを占めています。
対象者の調整に難航して給付が遅れれば、生活困窮者支援という本来の目的を達せられなくなります。
結局、公明党は自民党に譲歩する形で、所得制限を設けることになりました。
10万円給付は現金と誰もが思っていた矢先、突如、半分の5万円分はクーポン券で配布されることが発表されました。
いったいどこから、現金給付がクーポン券に置き換わってしまったのか定かでありませんが、これはかなりの愚策といえます。
現金のほうが圧倒的に使い勝手が良いからです。
クーポン券は、指定された店舗でしか利用できず、子育て支援ということであれば商品も限定される可能性があります。そうなると、結局、ほとんど使われないことになりかねません。
現金であれば貯金にまわる部分もありますが、それはいつか使われますので、長期スパンで見れば無駄にはなりません。一方、クーポン券は期限がありますので、その期限が過ぎれば完全なる無駄に終わってしまいます。
また、紙のクーポンの場合、対象店舗を募集したり、対象商品をどうするのか検討したりと、かなり時間とコストがかかることになります。
通販サイトの場合、Amazonや楽天市場などの民間の通販サイトは対象にならず、自治体が独自に作成した通販サイトが対象になります。独自の通販サイトは、商品が限られていて、かつ、市場価格より高価なことが多く、使い勝手が非常に悪そうです。また、そのサイト構築にもかなりの費用がかかり、税金の無駄使いといえます。
政府は、東京都の子育て支援事業のカタログサイトを参考にしているようですが、こちらのサイトのカタログをご覧になるとわかるように、実際の市場価格よりも1.5倍程度高いポイント価格となっています。
政府は11月19日、過去最大となる55.7兆円の財政支出を臨時閣議で決定しました。民間資金も入れた事業規模は78.9兆円になります。ただ、それぞれの支出の項目を見ると、既存の政策の延長や再給付などが目立ち、賢い支出とは言いにくい状況です。
給付金関連では、それぞれ、以下の予算を計上して、正式に決定しました。
5万円のクーポン券支給は、国民や自治体の間でも非常に不評で、現金支給の要望が多数あがっていました。
12月8日時点で、大阪市、群馬県太田市、静岡県島田市、山梨県富士吉田市は、全額5万円を現金で支給することを表明していました。その後、各自治体が続々と全額現金支給を表明しました。
当初、政府は、「2022年6月末までにクーポンの給付を開始できない見込みである場合」にのみ、現金給付を認めるという姿勢を示していました。
ところが、12月14日、政府は、クーポンでの支給が難しい場合には、現金での10万円一括給付もOKとする考えを示しました。それを受けた、10万円を一括給付すると宣言する自治体が続々と登場しました。
中学生までの子どもを扶養している人は児童手当をもらえるのですが、ある基準の収入額を超えると、「特例給付」といって5,000円に減額されます。そのラインが、子ども2人+年収103万円以下の配偶者の場合は、所得だと736万円、年収の目安では960万円になります。
夫が働いていて、妻が専業主婦またはパート、子ども2人という、いわゆる政府の「モデル家庭」を基に、年収960万円という線引を設けたようです。
国税庁の民間給与実態統計調査結果では、年収900万円を超える人の割合は全体の約1割ですので、今回の線引きでもらえなくなるのは、約1割くらいの家庭です。
ただ、昨今では、夫婦共働きも多く、子供の人数によっても生活の大変さは異なりますので、一律で年収960万で良いかは疑問なところです。
今、一番問題となっているのは、所得制限が、現在の日本の家庭の実態と合っておらず不公平な内容になっていることです。
今回の所得制限は、家族で最も収入の高い人の金額で判断します。
たとえば、夫・妻それぞれ年収950万円で世帯年収1,900万円の家庭の子供はもらえますが、夫だけで年収1,000万円の家庭の子供はもらえないのです。
仮に世帯年収が同じだとしても、1人で年収1,000万円の人のほうが、夫婦合わせて年収1,000万円の人より、税金・社会保険の負担がはるかに大きいにもかかわらず、前者の人はもらえなくなります。
これは大変に不公平な政策といえるでしょう。
政府は迅速な給付のためには、すでにある児童手当の所得制限の枠組みを利用せざるをえないと釈明していますが、自民党の役員でもある、高市政調会長や福田総務会長が「世帯年収が基準であるべきだ」という意見を表明するなど、自民党内でも見直しを求める声が起こっています。
2020年の10万円の給付金でも、検討段階で問題点が続出し、最後は結局、国民全員に一律10万円という結果になりましたが、今回の給付金にも様々な問題点があります。
そのうち、大きなものをここで紹介します。
今回の給付金では、年収960万円のラインで所得制限を設けて、その年収以下(または少ない)人に支給をすることになるようです。
ただ、ここで、非常に大きな課題点があります。それは、誰がどうやって、年収960万円のチェックをするのかです。
まず、年収960万円という考え方は、給与所得者であればわかりやすいですが、自営業者の場合は、事業内容によって、売上の考え方がまったく異なりますので、所得(売上-経費)で判断する必要があります。その所得も、経費の付け方で如何様にでも変化しますので、所得の基準をいくらにするのか難しいところです。
さらには、不動産・株式の売却益や、副業による収入は含めるのかなど、いろいろなケースに対する判断が必要となります。
また、年収(所得)の証明方法として、会社から発行される源泉徴収票または確定申告書を利用することが考えられますが、現時点では、今年(2021年)の収入は確定していませんので、昨年(2020年)の収入(所得)に基づいて判断することになります。
しかし、このコロナ禍で1年が経てば経済状況も大きく変わっていていますので、1年前の収入があまり参考にならない可能性があります。1年前が良くても今経済的に苦しい人もいますし、逆パターンの人もいます。
また、「年収960万円」について、夫婦共働きの場合、収入の高いほうで判断するとのことですが、結婚・離婚などで世帯構成が大きく変化した場合の対応も必要です。
しかし、これは相当に時間のかかる確認作業となり、自治体の職員が対応するとなれば悲鳴をあげることになるでしょう。
こんなことになると、迅速な給付どころか、給付までに何ヶ月も待たされる自治体も出てきかねません。
子供への給付として児童手当があり、児童手当にも所得制限がありますが、これはある程度の時間をかけて議論され立法化されて決められたものです。突然降って湧いたような10万円給付金の所得制限を明確にするのは簡単なことではありません。
所得制限を設ける場合は、政府はその道筋を早めに示してほしいところです。
18歳以下の子供への給付10万円のうち、半分の5万円は子育て支援に利用できるクーポン券で発行されることになりました。
しかしながら、「迅速な経済支援」という観点からすると、これは最悪の政策といえます。
まず、クーポンを発行するということは、政府と自治体の支出アップにつながります。
クーポンを発行するためには、その仕組を整え、紙面であれば印刷、電子であればシステム構築が発生します。さらに、クーポンを利用可能な店舗を募集し、審査・登録が必要です。商品を子育て支援関連に限るのであれば、さらに細かい商品の審査まで必要になります。
これらを実行するには、民間業者への委託が必要ですが、5万円×2000万人×90%(所得制限)=9,000億円規模のクーポン券発行となると、少なくとも2,000億円くらいの委託費が必要となるでしょう。
さらに、おそらく、クーポン券を利用できる店舗は各自治体ごとに決めることになるでしょうから、自治体での職員の対応コストも大変なものになります。
「子育て支援に利用できるクーポン券」でいったい、どこで何を買えるのかが問題になります。
クーポンを利用できる店舗と商品が限定されることになり、日常的に利用している店舗で商品を購入できなければ、せっかくクーポンをもらっても利用できません。
子育て支援というと、文房具や参考書などという案があがっているようですが、家庭によって子どもに使うお金の使途は様々であり、いわゆる「教育費」で簡単に分類できるものでもありません。たとえば、プログラミング教育のために子どもにパソコンを買ってあげたとしても、パソコンが対象商品に含まれていなければ、利用の価値はないでしょう。
さらに、配布時期に問題があります。来年の春、入学の時期ということですが、そもそも、入学や進学に必要なもの(制服やかばんなど)は、年明けくらいから揃えていき、入学直前の時期にはほぼ揃っています。その段階でクーポンが配られても、あまり意味がありません。
消費者の利便性が悪いクーポンを配れば、そのほとんどが利用されず、委託費と運用コストのほうが高いという最悪の事態になりかねません。