離婚すると年末調整はどうなる?控除に大きな影響あり!
結婚や離婚をすると、年末調整の申告内容や還付金に大きな影響が出ることがあります。この記事では、離婚が年末調整に与える…[続きを読む]
離婚のようにプライベートな事情については会社に知られたくないという方もいるかと思います。しかし会社に勤めている以上、年末には年末調整を行うことになり、配偶者について記入することになりますよね。それでは、年末調整によって離婚の事実がばれてしまうのでしょうか?
目次
結論から言うと、年末調整では離婚がばれるケースとばれないケースがあります。ばれるケースとばれないケースの違いは、簡単に言えば「婚姻中の年末調整でどのような控除を利用していたか」がポイントとなります。具体的な理由は後ほど詳しく解説します。
「なぜ会社に報告しなければいけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。実は法律上は離婚の事実を会社に報告しなければならないという規定はありません。
ただし、法律違反でないからといって会社に報告しなくてもいいというわけではありません。例えば下記のケースのように、給与や税金に直接影響がある場合は会社に報告する必要があるでしょう。
例えば離婚を隠して離婚後も継続して家族手当を受け取っていると、トラブルに発展する可能性があります。場合によっては離婚後に受け取った家族手当の返還を求められる可能性もあるため、その点は慎重に考えましょう。
なお、会社によっては就業規則等で報告することを定めている可能性もあります。就業規則に違反した場合は何らかの処分を受ける可能性があるため、確認しておくことをおすすめします。
離婚の報告をした場合、会社の誰にばれてしまうのかが気になる点ではないでしょうか。会社の人事部や経理部に直接報告した場合、あなたの離婚の事実を知ることができるのは人事部と経理部内の人のみです。基本的には離婚に関連する手続きを行う部署のみに伝わるものであり、社内全体に広まる恐れは少ないと考えて良いでしょう。
ただし、「部下の管理責任を負う直属の上司にも報告することが望ましい」と考える人も一定数います。信頼関係に響く可能性もあるということは留意しておくべきでしょう。
上司に報告する場合は他言しないよう念を押しておきましょう。
冒頭で触れた通り、年末調整では離婚がばれるケースとばれないケースがあります。年末調整で離婚がばれないのは以下のケースです。
年末調整の際に提出する「扶養控除等(異動)申告書」には、配偶者や扶養親族の情報を記載する欄があります。ただし、これらの欄は「配偶者控除」「扶養控除」を受ける人のみが記入する必要があるものです。したがって元々これらの控除を受けていなかった方は離婚後も記載内容が変わらないため、書類を見ただけで離婚の事実がばれることはありません。
続いて、年末調整で離婚がばれるケースを解説していきます。
離婚前に妻あるいは夫を扶養していて「配偶者控除」を利用していた方は、離婚後は配偶者控除が適用できなくなります。また、子を扶養家族として「扶養控除」を利用していた方は、離婚によって子供の親権を手放すと扶養控除が利用できなくなります。
離婚によってこれらの変更点が生じるため、離婚後に提出する扶養控除等(異動)申告書は婚姻中のものと記載内容が変わることとなります。年末調整の書類に変更点がある場合、人事部や総務部など年末調整を担当する部署から問い合わせが入り、それをきっかけに離婚の事実がばれる可能性があります。
離婚によって苗字が変わった方の中には「社内では同じ苗字を使い続けるからばれない」と考えている方もいるかもしれませんが、その考えは誤りです。なぜなら年末調整の申告書には離婚後の氏名を記載する必要があるためです。したがって年末調整の申告書を見ればあなたの苗字が変わっていることは一目瞭然であり、そこから離婚がばれる可能性が考えられます。
離婚した場合どのような手続きが必要となるのでしょうか?
まず初めにすることは人事部や総務部への報告です。これを怠ってしまうと家族手当や通勤手当、社会保険の扶養等に影響が生じます。
続いて年末調整の手続きです。11月頃になると会社から年末調整の申告書類が配布されますので、申告書に現在のあなたの情報を記載します。離婚によって変更点が生じる部分は人によって異なりますが、考えられるのは次の項目です。
扶養控除申告書の項目 | 変更点の例 | |
---|---|---|
離婚前 | 離婚後 | |
あなたの氏名 | 夫の姓 | 旧姓 |
住所 | 同居していた家の住所 | 引っ越し後の住所 |
世帯主の氏名・続柄 | 夫 | 本人 |
源泉控除対象配偶者 | 妻の情報を記載 | 空欄 |
控除対象扶養親族 | 子の情報を記載 | 空欄 |
障害者、寡婦、ひとり親又は 勤労学生 |
適用なし | 「寡婦」または「ひとり親」にチェック |
16歳未満の扶養親族 | 子の情報を記載 | 空欄 |
上記の表の内容を参考に、あなたに当てはまる項目を現在の状況に従って記入してください。特に寡婦控除やひとり親控除の控除は忘れやすいポイントとなるため注意が必要です。
なお、離婚した場合の年末調整の手続き方法については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
会社に離婚を報告しないことによるデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか? まずは「寡婦控除」「ひとり親控除」といった離婚後に利用できる可能性がある控除を利用できない点が挙げられます。
また、離婚の事実を報告しなかったとして、何らかのタイミングで離婚の事実がばれてしまった場合、職場の信用を失うこともありえます。家族手当を不正に受給していたりといった場合は当然ですが、お世話になっている上司にも隠していたとことで角が立つケースもあります。
「離婚」は様々な面に影響を与える重要な問題であるため、それを隠すことであなたの評価が下がる可能性もあることを頭に入れておきましょう。
年末調整以外でも会社に離婚がばれてしまうことはあるのでしょうか? 実は別れた妻(夫)や子どもを扶養家族としていた方は、年末調整以外のタイミングでも離婚がばれる可能性があります。
別れた妻(夫)や子どもがあなたの扶養に入っていた場合、年末調整だけでなく社会保険の手続きによって離婚がばれる可能性があります。さらに、住民税の申告において離婚後であるにもかかわらず別れた妻(夫)や子どもが扶養家族となっていた場合、役場から会社に連絡が入る可能性があります。
社会保険や住民税の手続き上、どのような理由で離婚がばれてしまうのでしょうか? 婚姻中はあなたの扶養に入っていた妻(夫)も、離婚後は自分の名義で社会保険に加入したり、住民税の支払いをすることになります。
しかし、あなたが離婚の事実を隠していれば離婚後も妻(夫)はあなたの扶養に入っている状態です。このような矛盾点が発覚すると年金機構や市区町村から会社に問い合わせが入り、それをきっかけにして離婚がばれる、ということが考えられます。
このように、配偶者や子を扶養に入れていた場合は年末調整以外にも離婚がばれるシチュエーションがあります。隠し通すのは難しいと考えた方が良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は年末調整で離婚はバレてしまうのかについて解説しました。最後にこの記事のおさらいをしましょう。
離婚によって年末調整がどう変わるのかについては以下の記事も詳しいので是非参考にされてくださいね。