年末調整をしないとどんな罰則がある?|会社側・従業員側の罰則を税理士が解説
年末調整をしなかったらどうなるのか、会社側・従業員側それぞれの罰則について税理士が解説します。[続きを読む]
年末調整は会社の担当者にとって、まさに年末の一大イベントです。賞与の支払い、年度末など、ただでさえ忙しい時期に重なってきます。特に、専属の経理・人事の担当者がいないような中小企業では、経営者が自ら担当し時間を割かれることになります。
できれば、税理士などの専門家に年末調整をお願いしたい!と思っている経営者の方に向けて、
をお伝えします。
目次
年末調整は手間のかかる面倒な作業です。「できることなら年末調整をしたくない」と考える事業主の方もいるかもしれません。
しかし、年末調整は給与の支払者の義務です。会社はもちろん、個人事業主の方も、1人でも雇用していたら年末調整を行う義務が生じます。年末調整を実施しなかった場合、所得税法違反となるため注意が必要です。
そうは言っても「知識も時間もないから年末調整をするのが難しい」という方もいるでしょう。設立間もない会社では経理スタッフがいない場合も多いでしょうから、社長が全て行うのは相当な時間と手間を要します。そういった方は無理せずアウトソーシングすることをおすすめします。
なお、従業員から扶養控除申告書が提出されていなければ、その従業員の年末調整を行う義務は生じません。扶養控除申告書を未提出の従業員は、その従業員本人が確定申告を行う必要があります。
年末調整は誰にアウトソーシングするべきなのか、いまいちピンと来ない方もいるでしょう。
選択肢として考えられるのは以下の3つではないでしょうか。
まず、税務や労務の専門家である税理士と社会保険労務士、どちらに依頼するのが良いのでしょうか?これには明確な正解があります。まずはそれぞれの資格保有者しか行うことができない「独占業務」を見てみましょう。
税理士の独占業務 | 税務の代理 税務書類の作成 税務相談 |
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社労士の独占業務 | 労働・社会保険関係の申請書の作成、手続き代行 労働・社会保険関係の帳簿作成 |
税理士の独占業務は税務全般に関することであるのに対し、社会保険労務士の独占業務は労働や社会保険に関する業務となっています。
年末調整には「税務代理」「税務署類の作成」といった業務が絡んできます。これらの業務は税理士の独占業務なのです。
したがって年末調整を社会保険労務士が代行することは税理士法違反となります。つまり、年末調整は税理士にしか依頼することができないのです。当然、税理士資格を有しない給与計算代行業者も年末調整を代行することはできません。
税務関係の業務は税理士の独占業務となりますが、その線引きは意外と難しいところがあります。
例えば「年末調整の還付金・追加徴収の計算のみであれば、給与計算代行業者が行うことができるのか?」という疑問が生じます。
年末調整の還付金・追加徴収の金額を計算するだけで、税金の納付書を作成したり、源泉徴収票を作成したりしていなければ税理士の独占業務には抵触しないように思えます。
しかし、この計算を行うことは「年末調整事務」に該当する可能性があります。年末調整に関する事務を行うことは「税理士法第2条第1項」に抵触するとされているのです。
したがって、「還付金・追加徴収の計算」のみでも税理士法に抵触する可能性があるといえます。ただし、判例があるわけではないためどこまでがOKかの線引きは非常に難しい問題です。
給与計算代行業者であれば安い費用で年末調整の計算を依頼することができますが、問題になる可能性があることは頭に入れておくと良いでしょう。
年末調整を税理士に依頼する際、どのくらいの費用がかかるものなのでしょうか?費用は税理士によってまちまちですし、料金の基準も異なります。
通常、税理士の顧問料には売上高や業種も影響するものですが、それらは年末調整の処理自体には影響を及ぼしません。年末調整費用は「社員数」に応じた料金を設定している税理士が多いと言えるでしょう。
多くの税理士は年末調整料金を「基本料+従業員数」で設定しています。従業員数によりますが、基本料が1万円~3万円、それに加えて従業員数×1,000円~2,000円ほどの料金がかかります。目安になりますが、下記の相場表を参照してください。
従業員数 | 年末調整費用 |
---|---|
3人以下 | 10,000円~30,000円 |
10人以下 | 20,000円~50,000円 |
20人以下 | 40,000円~70,000円 |
30人以下 | 60,000円~90,000円 |
50人以下 | 80,000円~150,000円 |
100人以下 | 100,000円~ |
税理士によっては上記の料金とは別に「源泉徴収票作成料金」「法定調書合計表作成料金」「給与支払報告書作成料金」などを設けている場合もあります。これらは年末調整とは切っても切り離せない業務ですので、年末調整費用に含まれているかどうかをしっかり確認しておきましょう。
年末調整には毎月の給与や賞与の情報が必要となります。毎月の給与計算を社労士や給与計算代行業者に依頼している場合、そのデータを税理士に共有するという手間が生じるためスムーズとは言えませんよね。
また、年末調整には社会保険、雇用保険などの要素も関連してきます。これらは社会保険労務士の独占業務となるため「年末調整は税理士、その他は社労士」と依頼先が2つとなるのは面倒に感じる方もいるのではないでしょうか。
このような理由から、業務効率化を図るためには税理士と社労士が在籍している税理士法人や、税理士と社労士が提携関係にありワンストップでサービスを受けられる税理士事務所に依頼するのがおすすめです。
下記のサイトでは、全国の税理士を紹介しています。
掲載されている税理士は相続税申告がメインですが、年末調整をはじめ、決算申告など、それ以外の業務でも依頼を受けつけている事務所が多いですので、お近くの税理士にご相談されると良いでしょう。