よくわかる、すまい給付金②申請方法と必要書類を徹底解説

住宅 お金

本記事は、前半・後半の2部構成です。
前半の記事では、「すまい給付金は誰がいつもらえるのか?条件は?」について分かり易く解説をしました。

「すまい給付金」を受給できそうだと分かった方が受給手続きで挫折するのは、住宅ローン減税と違い、その手続きが、自分ですべて判断して必要書類を用意して受給申請書を完成させなければならないからです。
また、住宅購入をした不動産会社では、その住宅が「すまい給付金」の対象であるかどうかは分かっても、手続きの詳細までは把握していないという実態があります。

この後半の記事では、すまい給付金の受給手続きに必要ではあるけれども入手方法が分かり難い必要書類の取り方を中心に、申請方法(申請の準備から受給に至るまで)について分かり易く解説します。

1.すまい給付金の受給申請から受給まで

すまい給付金は、住宅事業者などによる代理申請も可能ですが、ここでは、住宅を購入した本人が申請を行って給付金を受け取ることを前提に説明をします。

一番重要なのは、申請期限です。
すまい給付金の申請は、売買契約書を締結して住宅の引渡しを受けてから、1年以内が申請期限です。しかしながら、当面、申請期限は1年3ヶ月以内となっています。また、すまい給付金事業自体は、令和3年12月末日までに住宅の引渡しを受けて、実際に所有者がその住宅に入居する人を対象としています。

すまい給付金の申請には、その住宅を取得した人の所有権(移転)登記手続きを完了した登記簿謄本が必要になります。従って、一般的な受給申請手続きは次の通りになります。

  1. 住宅の売買契約書の締結及び住宅の引渡し
  2. 所有権(移転)登記手続きの完了とその住宅への住民票の異動の完了
  3. 申請書類をダウンロードして、申請に必要な添付書類の準備
  4. 申請書類の記入(この段階でサポートセンターを利用することも可能)
  5. 申請書類と添付書類の準備完了(提出前にコピーを取ることが望ましい)
  6. 郵送又は持参による申請書類と添付書類の提出
  7. すまい給付金受給決定届の受領後、指定した銀行口座への入金完了

なお、申請書類提出から給付金受領まで概ね1.5カ月~2カ月程度が想定されていましたが、コロナ感染防止策を行っている間については、この期間が伸びています。最大3か月、書類の不備等があるとそれ以上の期間が掛かる見通しです。

2.最初に、すまい給付金申請書をダウンロードしよう!

すまい給付金の受給申請手続きが難しいのは、「添付書類を入手しないと記載できない内容が多い」からです。しかも、いくつかの添付書類は、受給申請時において、発行日より3か月以内であることが必要です。サポートセンターに何度か相談をしている間に、手元の添付書類の有効期限が切れてしまう方がいらっしゃるようです。そのため、申請書類の準備は段取りを上手にやる必要があります。

また、受給条件資格要件により申請書類が別なので、まずは正しい申請書類をダウンロードすることが必要です。(この記事では本人申請用書類のみ説明しています)

【参照】すまい給付金事務局:申請書類のダウンロード
http://sumai-kyufu.jp/download/

新築/中古、住宅ローン/現金のパターンによってダウンロードする書類が異なります。

  • A:新築⇒住宅ローンあり
  • B:新築⇒現金取得
  • C:中古⇒ローンあり
  • D:中古⇒現金取得

すまい給付金

すまい給付金

自分が該当する給付申請書類をすべてダウンロードしたら、実際に記入をするのは「申請書」だけなので、申請書はプリントアウトしてください。なお、下書きをしてから申請用に転記をした方が良いので、2セットプリントアウトすると便利です。

3.最初に添付書類を入手して、それから申請書を記入します!

自力で申請書の記載が出来る人は少ないと思われますので、サポートセンターなどにアクセスをして質問をしながら申請書の記載をすることになると思います。その場合に、スムーズに申請書の記入を進めるためには、最初に添付書類をすべて用意してしまうことがポイントとなります。

3-1.添付書類の準備の仕方について

ここでは、「新築住宅を現金で購入した方」と「中古住宅で住宅ローンを利用した方」が必要になる添付書類を取り上げます。4つのパターンがありますが、残りの二つはこの2つよりも用意する添付書類が少ないので、この2つのパターンを使って、添付書類の準備の仕方について説明をします。

添付書類は下記のように入手します。

役所等に行って入手するもの
市町村区役場
(現住所)
住民票の写し
(発行日から3ヶ月以内のもの)
市町村区役場
(前住所)
個人住民税の課税証明書又は非課税証明書
(発行日はいつでも良い )
法務局 購入した建物の登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)
(発行日から3ヶ月以内のもの)
住宅ローンの窓口となる銀行等が用意してくれるもの
住宅取得に係る金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約書)
(添付書類は原本ではなくコピーになります)
不動産会社から入手するもの
売買契約時に入手するもの 工事請負契約書または
不動産売買契約書
 最終決済日(物件引渡しの日)
に入手するもの
下図の中で赤枠で囲ったもの
通常最終決済日に入手するもの
ただし、後日入手も可能なもの
(不動会社次第)
・中古住宅販売証明書
・現金取得者向け新築対象住宅証明書
(新築住宅で現金購入者の方が必要な添付書類)

すまい給付金

(中古住宅で住宅ローン利用者の方が必要な添付書類)

すまい給付金

赤枠で囲った部分の書類については、用意される書類は、不動産会社によって異なります。
列記されている書類の中から、それぞれ1つあれば良い書類です。これらの書類については、最終決済日(住宅の引渡しの日)に入手しないと、原則として後から入手することが出来ないものですので注意が必要です。

3-2.登記簿謄本(登記事項証明書)の入手について

発行日から3ヶ月以内となっている「登記簿謄本(登記事項証明書)」は、購入した住宅の所有権登記手続きが完了すると、担当した司法書士から権利書と共に必ず送られて来ます。

しかしながら、所有権登記手続きが完了してから3ヶ月以内に、すまい給付金の申請手続きが完了する人か極めて少ないと思われますので、申請書類の準備中は、司法書士から送られてきた登記簿謄本を利用して、申請書類が完成したら、申請の添付書類として改めて取得するのが効率的です。

登記簿謄本は、その不動産を管轄する登記所(法務局や、法務局の支局、出張所)の窓口へ行って直接請求するか、郵送で請求することが出来ます。
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を使って、ネットで取得手続きをすることも出来ますが、やり方が簡単ではないので、ネットに慣れている人以外にはお勧めしません。

3-3.その他の書類の留意事項

①住民票の写し

住民票の写しも、申請書類の提出日から遡って3か月以内に発行されたものが必要になります。一般的には、最終決済日の前に住民票を異動して、住宅の所有権登記手続きのために準備をすることになりますので、その時に多めに取得をしておき、それを使って申請書類作成の準備をして、申請書類が完成したら添付書類用の新しい住民票の写しを入手するのが効率が良いです。

②個人住民税の課税証明書(非課税証明書)

役場によって呼称が違うことがありますので、窓口で「住民税の支払い額を証明する書類」であると説明をして取得します。また、住宅取得のタイミングで何年度の書類が必要か違います。申請書の中にある下表を参考にしてください。

③給付金受取口座を確認できる書類(通帳等)

通常は、通帳を開いて最初のページをコピーしたものを添付書類とします。ネット銀行等を指定する場合には、それぞれの銀行に問い合わせをして該当するものを確認してください。

4.すべての添付書類を準備したら申請書を記入します!

すまい給付金の申請書は、基本的に添付書類にある内容を記載するものとなっています。ですから、添付書類を見ながら、一つ一つの項目を記入していくだけになります。

しかしながら、いくつかフローチャート式で、選択をして行く事項があります。良く読めば分かりますが、分かり難かったら、サポートセンターかすまい給付金の事務局に問い合わせをすることをお勧めします。手元に、添付書類一式と申請書があれば、問い合わせがスムーズに出来るはずです。

5.まとめ(すまい給付金の申請書提出までの流れの確認)

すまい給付金のサイトは、情報量が膨大で、どこから読んでいけば良いのか今一つ良く分かりません。けれども、確認等の順番さえ間違えなければ、意外にスムーズに申請書準備を行うことが出来ます。
最後に、当記事の前半、後半で説明をしたステップをおさらいしましょう。

  1. 自分がすまい給付金が受給可能かどうかの確認
  2. 買った住宅が対象物件かどうかの確認
  3. 申請書類のダウンロード(親切な不動産会社は用意をしてくれるところもありますが、4種類の中で該当するものが必要で、該当しない書類を読んでしまうと混乱するので、自分でダウンロードする方が確実です)
  4. 必要な添付書類を準備
  5. サポートセンターなどに確認をしながら申請書類の記入
  6. すべての書類のコピーを取る
  7. 郵送(レターパックを使うのが一番確実です。追跡可能であり、重さ4㎏まで可能)又は持参で申請書一式を提出
  8. 受給決定書が届く(現在は2ヶ月から3ヶ月程度掛かります)
  9. 受給!!

最後に、すまい給付金は、受給条件が住宅ローンよりも厳しいため、住宅を購入する際にすまい給付金が貰える住宅に絞って購入する家を探すことはお勧め出来ません。

内覧をして購入しようと思う住宅が見つかった段階で、不動産会社に、その住宅がすまい給付金の対象であるかどうかを確認するのが良いと思います。

前半の「すまい給付金は誰がいつもらえるのか?条件は?」をまだお読みでない方は、合わせてご覧ください。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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