インボイス制度経過措置 値引き計算ツール【免税事業者向け】

免税事業者の場合、インボイス経過措置の期間、従来の価格からいくら値引きして請求すれば、取引先に影響を与えずにすむ(取引先の消費税の負担を増やさない)かを計算するツールです。

税抜き金額 税込み金額
10% 8%

利用方法

入力項目

請求金額を円単位で入力してください。

入力する金額の消費税

  • 入力する金額を「税抜き」で入力した場合は、「税抜き金額」を
  • 入力する金額を「税込み」で入力した場合は、「税込み金額」を

選択します。(デフォルトは「税抜き金額」)

経過措置

それぞれの期間に合わせて、以下から選択します。(デフォルトは80%控除)

  • 80%控除(2023年10月~2026年9月)
  • 50%控除(2026年10月~2029年9月)
  • なし(2029年10月~)

※日本税理士会連合会が経過措置の延長を政府に要望しており、その結果次第では、経過措置の内容や期間が変更される可能性があります。

消費税の税率

10%または8%から選択します。(デフォルトは10%)

1円未満(小数点以下)の端数処理について

デフォルトでは、一般的な「切り捨て」になっています。
「四捨五入」「切り上げ」を選択することができます。

出力項目

「値引き前の本体価格」「値引き額」を表示します。

請求書に記載する金額として、「値引き後の本体価格」「消費税額」「合計額」を表示します。

請求書を受領した課税事業者の経理処理として、「消費税控除額」「消費税控除後の金額」を表示します。

消費税控除額計算は、以下の計算式で行い、1円未満の端数は四捨五入しています。

消費税控除額=消費税額×控除率(80% or 50% or なし)

インボイス経過措置 値引き計算ツールの意味について

インボイス制度では、買い手が、消費税を控除するには、適格請求書発行事業者が発行したインボイスが必要になります。

しかし、免税事業者は、適格請求書発行事業者として登録することはできずインボイスを発行できません。

もし、免税事業者が従来と同じく、消費税分を取引先に請求すると、取引先は、その消費税分を控除できず損失になってしまいます。

経過措置

ただし、インボイス制度が始まってから、一定期間、経過措置があります。免税事業者から仕入れてインボイスがない場合でも、次の割合で消費税の一部を控除することができます。

 
2023年9月
2023年10月

2026年9月
2026年10月

2029年9月
2029年10月
免税事業者
からの仕入で
控除可能な
消費税額
100% 80% 50% ゼロ

たとえば、本体価格10,000円+消費税1,000円(10%)に対して、最初の3年間は、1,000円×80%=800円の消費税を控除できますが、残り200円は控除できず損失となります。

取引先に影響を与えないようにするには?

それでは、取引先に迷惑をかけないようにするには、免税事業者は取引先に、本体価格10,000円+消費税800円を請求すれば良いように思われますが、消費税の税率は10%(食料品・新聞のみ8%)ですので、本来の消費税は1,000円なのに800円だけ請求するという、おかしなことになってしまいます。

そこで、簡単に考えると、80%控除可能な期間(2023年10月~2026年9月)は2割値引きし、50%控除可能な期間(2026年10月~2029年9月)は5割値引きすることです。

インボイス 経過措置

ただ、厳密には、これだと免税事業者の負担が少し増えてしまいます。

本体価格を200円引いて9,800円にすると、どうなるでしょうか?

  • 本体価格:9,800円
  • 消費税:980円
  • 合計:10,780円

このうち、取引先は、消費税の80%を控除できますので、

  • 消費税控除額:980円×80%=784円
  • 消費税控除額の金額:9,996円

となります。取引先の実質負担が4円減りますが、その分、免税事業者の負担が4円増えることになります。

最適な請求金額を求める

そこで、最適な請求金額を求めるのが、このツールです。

計算の過程

値引き前の本体価格をx、値引き額をaとすると、仮に税率10%/80%控除の場合、

(x-a)*1.1 - (x-a)*0.1*0.8 = x

が成り立ちます。この式を整理すると、

a=0.02x/1.02

となります。

インボイス制度について

インボイス制度の詳細については、下記の記事で解説しています。

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【リンク】インボイス制度に関する記事

利用上の注意点

本ツールは、2023年(令和5年)10月時点での税制等に基づいて計算しています。

本ツールを利用して、不利益や損害等が発生したとしても、当社は一切の責任を負いませんので、ご了承ください。
ご自身の税金の金額についての質問は、最寄りの税務署にお問い合わせください。

よくある質問

80%控除の期間中、消費税8%と請求書に記載しても良いですか?

2%分を値引きするために、本体価格100,000円に対して、消費税(8%)8,000円、合計金額108,000円と記載すると、税率が間違っている請求書になります。

インボイス制度は、正しい税率を記載するためにできた制度なのに、間違った税率をあえて記載することになったら問題です。

本体価格を約2%値引きして、取引先の負担が同じ100,000円になるようにするのが、正しい書き方です。

本体価格98,040円、消費税(10%)9,804円、合計金額107,804円

最適な請求金額にして、取引先の消費税の負担を増やさなければ、取引を継続できますか?

取引を継続できるかどうかは、両者の交渉によるものですので、一概に言及することはできません。

経過措置では一部の消費税を控除できますが、このような処理は今までにないものであり、そのために取引先の事務負担が増すことになります。

また、経過措置は一時的なものですので、将来的にどうするのか、取引先とよく話し合われることをお勧め致します。

インボイスの経過措置は延長される予定はありますか?

今のところ、インボイスの経過措置が延長されるかどうかの公式的な情報はありません。

日本税理士連合会が、インボイスの経過措置の8割控除を当分の間ずっと継続することを要望していますが、政府や国税庁からは特に延長に関する情報は出ておりません。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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