【2024年版】配偶者控除と配偶者特別控除の違い|どちらがお得?
「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の控除の違いを図を使ってわかりやすく解説します。どちらの控除を受ければ良いのか、ス…[続きを読む]
年収の壁といえば「103万円の壁」が有名ですが、主婦(夫)パートの方の場合、「150万円の壁」もあります。
知名度は少し下がりますが、むしろ、こちらのほうが影響が大きい壁です。
「150万円の壁」とは、どんな壁で、誰にどんな影響があるのか? わかりやすく解説します。
目次
「150万円の壁」とは、税金(所得税・住民税)に関する壁で、配偶者特別控除が減り始めるボーダーラインです。
影響するのは、夫婦世帯で、パート主婦(夫)をしている人です。学生や子ども・親などの扶養家族は関係ありません。
「配偶者特別控除」が減るとはいっても、そこまで大きく減るわけではありません。社会保険の壁である「106万円の壁」や「130万円の壁」と比べると、減り幅は小さいです。
「150万円の壁」が実際どんなものか、グラフで体感してみましょう。
こちらのグラフは、夫婦のうち、片方が年収500万円、その配偶者の年収が100~210万円の範囲で1万円ずつ増えたときの、夫婦世帯の手取りをシミュレーションしたものです。従業員51人以上企業の働いているとして、106万円を超えると社会保険料が発生しています(106万円の壁)。
一番左の赤い丸が「150万円の壁」です。ここを超えると、配偶者特別控除が減りますが、実際のところ、夫婦世帯の手取り額は減っていません。
年収150万円を超えると配偶者特別控除は、階段状に少しずつ減っていきますが、その減るタイミングは、9個あります。それぞれ赤い丸をしたところです。減り幅が小さいところもあれば少し大きいところもありますが、最大でも1万円程度です。これら9つの赤い丸をすべて合わせて、150万円の壁みたいなものです。
一番右側の赤い丸は「201万円の壁」で、これを超えると、配偶者特別控除が完全になくなります。
いずれにしても「106万円の壁」では15万円も手取りが減るので、それよりはるかに小さい壁であることが実感できるでしょう。
「150万円の壁」は、配偶者特別控除が減り始めるボーダーラインと説明しましたが、「配偶者特別控除」とは何かについて説明します。
「配偶者特別控除」とは、所得税・住民税の扶養控除の一種です。
扶養する対象が配偶者の場合には、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2種類の控除があります。
細かい内容は、このあと説明しますが、わかりやすく図にすると、こんな感じです。配偶者の所得(年収)によって、名称が変わります。
つまりは、配偶者の年収が103万円を超えて、年収約201万円(※)になるまで、配偶者特別控除を受けられます。
※正確には、年収201.6万円未満
配偶者の年収が約201万円になるまでが、扶養に入れる範囲となります。
配偶者特別控除を受けるためには、受ける人の年収の条件があります。
配偶者特別控除を受けられるのは、その受ける人の年収が1,195万円以下の場合です。それを超えてしまうと控除を受けられません。
また、所得900万円(年収1,095万円)を超えると、金額が減ります。
配偶者特別控除の金額は、「受ける人の年収」と「配偶者の年収」の両方によって金額が違います。
こちらは、所得税の配偶者特別控除の金額です。
配偶者の給与年収 | 納税者本人の給与年収 | ||
---|---|---|---|
1,095万円以下 | 1,095万円超 1,145万円以下 |
1,145万円超 1,195万円以下 |
|
103万円超150万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
150万円超155万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
155万円超160万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
160万円超166.8万円未満 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
166.8万円以上175.2万円未満 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
175.2万円以上183.2万円未満 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
183.2万円以上190.4万円未満 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
190.4万円以上197.2万円未満 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
197.2万円以上201.6万円未満 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
201.6万円以上 | 0万円 | 0万円 | 0万円 |
控除を受ける人の年収が1,095万円以下で、かつ、配偶者の年収が150万円以下なら、満額の38万円が控除されます。この金額は、配偶者控除と同じ金額です。
配偶者の年収が150万円を超えると、配偶者控除の金額が少しずつ減っていきます。
住民税にも配偶者特別控除がありますが、所得税とは少し金額が異なります。
配偶者の給与年収 | 納税者本人の給与年収 | ||
---|---|---|---|
1,095万円以下 | 1,095万円超 1,145万円以下 |
1,145万円超 1,195万円以下 |
|
103万円超150万円以下 | 33万円 | 22万円 | 11万円 |
150万円超155万円以下 | 33万円 | 22万円 | 11万円 |
155万円超160万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
160万円超166.8万円未満 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
166.8万円以上175.2万円未満 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
175.2万円以上183.2万円未満 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
183.2万円以上190.4万円未満 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
190.4万円以上197.2万円未満 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
197.2万円以上201.6万円未満 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
201.6万円以上 | 0万円 | 0万円 | 0万円 |
控除を受ける人の年収が1,095万円以下で、かつ、配偶者の年収が150万円以下なら、満額の33万円が控除されます。この金額は、配偶者控除と同じ金額です。
「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いは、配偶者の年収の範囲と、控除の金額です。
さきほど説明しましたが、配偶者の所得48万円(年収103万円)以下なら「配偶者控除」、それを超えたら「配偶者特別控除」です。
配偶者控除の金額は、受ける人の年収と、配偶者の年齢によって金額が違います。
受ける人の給与年収 | 控除額 | |
---|---|---|
70歳未満 | 70歳以上 | |
1,095万円以下 | 38万円 | 48万円 |
1,095万円超1,145万円以下 | 26万円 | 32万円 |
1,145万円超1,195万円以下 | 13万円 | 16万円 |
1,195万円超 | 0円 | 0円 |
本人の年収が1,095万円以下なら、満額の38万円が控除されます。配偶者が70歳以上なら、48万円になります。
こちらにあげたのは所得税の配偶者控除の金額ですが、住民税も金額が異なるだけで同様です。
配偶者の所得48万円(年収103万円)をボーダーラインにして、それ以下は「配偶者控除」、それを超えたら「配偶者特別控除」とわかれますが、配偶者控除の年収が150万円以下までは、どちらも控除額は同じ金額です。控除を受ける人の年収が1,095万円以下なら、控除額は同じ38万円です。
ですので、配偶者については、税金上は「103万円の壁」は存在しなく、「150万円の壁」のほうが存在することになります。
ただし、会社によっては、年収103万を基準にして、家族手当を支給するかしないか決めているところもあります。その場合は、「103万円の壁」も存在しているといえるかもしれません。
「150万円の壁」と、それを超えたら存在するいくつかの壁は、小さな壁であり、超えても手取りがちょっと下がるくらいで、影響はあまりありません。
むしろ、社会保険料が発生する「106万円の壁」「130万円の壁」のほうがはるかに大きな壁です。これらの壁を超えると、約15万円くらい手取りが突然減ります。
最初に紹介したグラフを再度掲載しますが、「106万円の壁」は大きいことがわかるでしょう。
「130万円の壁」のほうも同じです。
ちなみに、最初のグラフで、赤い丸をつけたところ以外にも、ところどころ手取りが下がっているところがありますが、これは、社会保険料の標準報酬月額がアップすることによるものです。
社会保険料は、給料の金額に直接、保険料率をかけるのではなく、1年ごとに決定される「標準報酬月額」に保険料率をかけることで計算します。この「標準報酬月額」は階段状になっています。
たとえば、月収83,000円以上93,000円未満の人は、標準報酬月額は88,000円です。もし、月収が92,000円だったら、標準報酬月額は88,000円です。月収が1,000円アップして93,000円になると、標準報酬月額は次のレンジの98,000円になります。すると、10,000円分、保険料が一気に増えます。